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『ヘチ』ヒットの理由は「主役と悪役のがっぷり対決」にあったのか

  • 2022.4.29
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テレビ東京の韓流プレミアで放送されてきたチョン・イル主演の『ヘチ 王座への道』が、いよいよ大詰めを迎えてきた。

21代王の英祖(ヨンジョ)は「イ・インジャの乱」によって窮地に陥るのだが、彼が信頼して送り出した官軍が反乱軍を破り、ようやく朝廷に安堵の空気が流れた。

それにしても、凱旋した官軍を迎えた英祖の国王らしい威厳が素晴らしかった。彼は勇敢に戦った兵士たちを大いに讃え、さらに、今後も民衆のための正しい政治を積極的に遂行する決意を立派に述べていた。

それを演じたチョン・イルには惚れ惚れさせられた。端正な顔立ちの彼が表情をキリリと引き締めて国王にふさわしい雄姿を存分に見せてくれた。

「本当に絵になる主役だ」

その思いをさらに強くした。

『ヘチ 王座への道』で主役と悪役を演じたチョン・イルとチョン・ムンソン
記憶に残る時代劇

特に、『ヘチ 王座への道』の終盤になって英祖が即位してから、チョン・イルの演技はまさに神がかっているほどカリスマ性が発揮され、ドラマを大いに盛り上げていた。

チョン・イルにとって英祖は本当に当たり役になったと素直に思える。

一方の密豊君(ミルプングン)。典型的な悪役になっていた彼は、国王になる欲望を満たす最後のチャンスだとして「イ・インジャの乱」に加わった。そして、国王気どりで羽目を外していたのだが、完全に破綻してしまった。結果的に、没落は目に見えていた。

そんな情けない密豊君に扮していたのがチョン・ムンソンだ。彼はひどい悪役を引き受けたわけだが、迫真の演技で憎らしさを巧みに表現していた。

チョン・イルとチョン・ムンソン。演じる役は180度違うとはいえ、俳優としての表現方法には共通点がある。それは、ドラマに迫真の臨場感を持ち込むほど、役に完全になりきっていたということだ。確かな演技力の裏付けがあったから、説得力がある表現を続けてこられたのであろう。

結局、歴史巨編となった『ヘチ 王座への道』は、主役と悪役が正面からぶつかって最高の演技対決を見せてくれた記憶に残る時代劇であった。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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