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本当は同じ食べ物では?「釜飯」と「炊き込みご飯」の違いを料理研究家に聞く

  • 2022.4.12
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「釜飯」と「炊き込みご飯」の違いは?
「釜飯」と「炊き込みご飯」の違いは?

毎週日曜日の「相葉マナブ」の番組内に、「釜-1グランプリ」という人気コーナーがあります。視聴者からオリジナル釜飯のレシピを募って実際に作り、おいしさを競うものですが、ふと思ったのが、「釜飯を茶わんによそうと、見た目は炊き込みご飯と同じでは?」ということです。見た目は同じでも、「釜飯」と「炊き込みご飯」とそれぞれ呼び方が異なるのは、何か違いがあるからだと思います。その違いは何なのでしょうか。料理研究家の長田絢さんに聞きました。

現在は違いが分かりづらい

Q.「釜飯」と「炊き込みご飯」の違いは何ですか。

長田さん「釜飯は、釜ごとに米、具材、調味料などの材料を入れて炊き、そのまま提供するのが元々の姿です。一方、炊き込みご飯は、米、具材、調味料などの材料をまとめて炊いたものを、茶わんなどによそって食べるものです。

また、釜飯は専用の釜で炊く場合を指すことが多いのに対し、炊き込みご飯は炊く道具は関係ありませんので、釜でも鍋でも炊きます。釜飯は、調理器具や配膳の仕方を含めて、料理名となるのに対し、炊き込みご飯は料理したものを指します。

つまり、炊き込みご飯という料理の中に、カテゴリーの一つとして釜飯があり、使用する調理器具と配膳方法の違いによって、『釜飯』と分類されているのです」

Q.ということは、釜でご飯を炊かないと「釜飯」とは呼べないのでしょうか。

長田さん「本来は、釜で炊いたご飯のことを『釜飯』と呼びます。しかし、現在は、釜風の器に入っていたり、炊飯器で炊く市販の『釜飯調味料』が販売されていたりと、『釜飯』の概念が広がっているように感じます。釜風の器に入っていたら“釜飯風”と呼んでもよいかと思います」

Q.ほとんどの家庭では、釜を持っていないと思います。「釜飯」と呼べる料理を簡単に作ることはできないということでしょうか。

長田さん「正確に言えば、釜がなければ釜飯と呼べる料理は作れません。しかし、炊飯器で作った炊き込みご飯を一人分ずつ大きめの器、できれば釜風の器に盛りつけ、それぞれ具材をのせたら“釜飯風”の料理になると思います。家庭でも釜飯を楽しむための釜が市販されていますし、釜飯弁当の空き容器などを利用して作る人も多いようです」

Q.「相葉マナブ」の番組内では、釜飯を炊く前に氷を必ず入れます。なぜですか。

長田さん「釜飯を作る際に、釜に氷を数粒入れて炊くと、水が沸騰するまでに時間がかかります。そのことで、米の芯まで水分が浸透しやすくなり、また、じっくりゆっくり加熱されるので、米本来の甘みが引き出され、ふっくらとおいしく炊き上がるからです」

Q.炊飯器で炊き込みご飯などを作るとき、氷を入れるとは聞きません。なぜですか。

長田さん「炊飯器では、おいしく炊けるように炊飯の時間や温度などが設定されています。氷を入れると、水加減が分かりづらくなったり、炊き上がりにむらができたりするからです。

炊飯器で釜飯のようにご飯を炊きたいのであれば、冷水で米を研ぎ、さらに冷水に浸して水を吸わせてから、炊飯することで、十分においしいご飯が炊けるでしょう。炊き込みご飯の場合は、具を入れた状態で時間をおくと腐敗の原因になりますので、水に浸した米をざるにあげて水気を切った後で、水、調味料、具材をのせて炊くとよいでしょう」

オトナンサー編集部

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