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BTSのステージから、エディターIが感じたポジティブで温かなメッセージ。

  • 2022.4.10

K-POPラバーとなって10年目、スターからの愛をありがたく受け取り日々のエネルギーとして生きているエディターI。第64回グラミー賞(日本時間2022年4月4日開催)でのBTSのステージ、スタイリッシュなパフォーマンスの背景に投影されたふたつの曲に、グッときてしまいました。

4月4日はK-POPを愛するひとりとして感極まった1日でした。BTSが出席したグラミー賞授賞式に始まり、夕方はSUPER JUNIORの来日イベント最終日で、2年ぶりにキラキラなメンバーを双眼鏡越しに見て涙。さらにその夜、5日に日付が変わって、BIGBANGが4年の空白期間を経て新曲「春夏秋冬(Still Life)」を発表、これが実にいい曲で涙。

話をBTSに戻すと、まずBTSの7人が誰ひとり欠けることなく一緒に、グラミー賞授賞式のラスベガスの会場でカッコいいパフォーマンスをやり遂げられたことが心底うれしかったです。JINの手の負傷は手術を終えたとはいえ3月のことで心配でしたし、次いでグラミー直前にメンバーのJ-HOPE とJUNG KOOKが新型コロナウイルスに感染したニュースが入った時は思わず天を仰ぎました、なぜー!ふたりが完治して授賞式に参加できると報道されてからも無事に終えられますようにと、緊張に胃を痛くしていました。気分は見守りばあやです。

だから、授賞式でのスタイリッシュなパフォーマンスに大いに感動し、大成功を収めたことに安堵。ここまでの彼らの道のりに思いを馳せ、SNSを眺めている時に、ARMYの方の投稿にハッとさせられました。ステージに映し出されたテキストが、「FIRE」と「DOPE」の歌詞だったとあったからです。

『花様年華』シリーズからあの2曲が!

改めてステージを見返すと、スパイ映画のワンシーンのように放たれたレーザー光線をメンバーが飛び越えるようにして踊った後、左のバックに「Fire」の文字が。目をこらすと右には「DOPE」の冒頭、「バンタン ヌン チョウミジ?(バンタンは初めてでしょ?)」のハングルが。2015年~16年の『花様年華』シリーズで発表されたこの2曲は、聴くと心が熱くなる楽曲です。

友人に勧められて聴き始めたデビューシングルアルバム『2 COOL 4 SKOOL』から『DARK & WILD』まで、40代の自分は、「学生にはそんな悩みがあるよね」と過去を懐しむような感覚で聴いていました。そこに、ガツンとやってきたのが15年の「DOPE」。「DOPE」の韓国語タイトルは「쩔어(チョロ)」で、日本語で言う、ヤバい、ものすごくイイ、半端ない、という意味だそうです。君が遊んでいる間、僕らは毎日夜通し働いている、という歌詞が残業続きの身に刺さりました。防弾のスタイルでやる、と言い切る強さとバッキバキのダンス。MVでは警官や白シャツ&タイ姿などいろいろな職業をイメージさせる衣装で7人が現れます。これこそ汗して働く人々(含む自分)への応援歌だと思い込み、一時出勤ソングにしていました。グラミー賞という舞台で、BTSのスタイルで行くと堂々と告げる歌詞を投影するってヤバい(チョロ)!と思ったのは自分だけでしょうか。

「FIRE」の歌詞もBTSが世界的なスターとなったいま、グラミー賞授賞式会場で見ると感慨深いものがあります。力強いダンスが印象的な曲ですが、人生はその人のものだから思うように生きたらいい、頑張りすぎなくていい、負けたって大丈夫、というメッセージが込められた「FIRE」は、日常のささいなことで、あるいは人生の大きな局面で、さまざまに痛みを抱える幅広い世代に響くのではないでしょうか。グラミー賞の結果についても動じる必要はないし、BTSは彼らのやり方で音楽をやり、それを楽しむ人々がたくさんいる――そのことが十分に、幸せなことだなと思えました。

BTSは「2! 3!」で、悲しい記憶は忘れて、これから良い日がたくさん訪れますように、と歌ったように、折に触れて優しいメッセージを届けてくれてきました。ARMYの方々は、メンバーの日々の発信から感じるところも多いでしょう。

個人的な感じ方に過ぎないかもしれませんが、以前、JUNG KOOKがカバー曲としてZion.Tの名曲「楊花大橋(ヤンファテギョ)」を選んだところからもそんな優しさがうかがえるように思います(JUNG KOOKは「仕事中」のタイトルで、一部歌詞を変えてカバー)。「楊花大橋」は、家族に頼られる大人となって幼い頃を振り返り、親を思いやる歌。僕ら幸せになろう、というリフレインは、家族を思い、世界の人々を思ういまこの時、胸に沁みます。

2015年のKBS歌謡祭で、Zion.TとJUNG KOOKがデュエットした「楊花大橋」。英語字幕で歌詞を味わってみてください。

JUNG KOOKによる「楊花大橋」のカバー、「仕事中」はSoundCloudで聴くことができます。일하는 중 by 정국https://soundcloud.app.goo.gl/x6MpqknRBQJ17SuM9

つらいニュースで心が塞ぎがちな日々、みなさんの好きななにかに触れる時間をもつことによって、少しでも気持ちが和らぎますようにと願っています。

エディターI好きな音楽はソウル、ラテン、K-POP。K-POPは神話に始まり少女時代など王道を経て、3文字のグループ(複数)にハマっている。記憶に焼き付いているBTSのステージは2015年のソウルで見たOne Kコンサートの「DOPE」。ライブにアート、建築、食と酒をプラスした海外&国内旅行が再開できる日を待ち望んでいる。雑誌『Pen』の「平壌、ソウル」特集(2020年2月15日号)を担当。

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