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前夫の遺産はキープ? 連れ子の「養子縁組と相続権」の関係性

  • 2015.9.19
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【男性からのご相談】

先日、結婚しました。妻はバツイチで、前夫との間に10歳の子どもがいます。子どもの親権は妻が持っており、連れ子と自分の関係は非常に良好で、私も自分の子どもと思ってかわいがっています。そして、 新たに妻のおなかに命が宿り、妻と私の子が生まれる予定です。そこで、気になったことがあります。連れ子のままでは相続権がないと聞き、新たに生まれる子と平等にするため、養子縁組をしようと思っています。しかし、養子縁組をしてしまうと、連れ子は前夫の遺産を相続することはできなくなってしまうのでしょうか。

●A. 通常の養子縁組であれば、引き続き実父からも相続できます。

ご相談ありがとうございます。アディーレ法律事務所弁護士の島田さくらです。

まずは、ご結婚おめでとうございます! 連れ子のいる女性との結婚、夢がありますね。

ただし、注意するべきことがあります。連れ子との関係も良く、自分の子ども(実子)と同じように扱いたいと思っていても、手続きをとっていないと法律上同じように扱われないことがあるのです。

●連れ子には相続権がない?

連れ子に相続権がないというのは、本当です。

相続権というのは、親族間において発生するものです。相談者さんと奥さんが結婚した場合、相談者さんと奥さんは配偶者ということになるので、当然相続権が発生します。しかし、相談者さんと奥さんの連れ子との間に、何か権利関係が発生するわけではありません。

ですから、連れ子との間で何の手続きもとらなかった場合、相談者さんの相続人は、奥さんと実子だけということになります。

連れ子も実子と同じようにしてあげたいと思うのであれば、おっしゃるとおり養子縁組が必要です。連れ子と養子縁組をした場合、相続人は、奥さんと実子と連れ子ということになり、相続分は、奥さんが2分の1、実子と連れ子がそれぞれ4分の1ずつということになります。

●養子縁組をすると実父の相続権がなくなる?

連れ子と養子縁組をしたからといって、実の父親との関係がなくなるわけではありません。

連れ子は、実父の相続人でもあるので、相談者さんと実父の両方から相続できるということになります。

ちなみに、特別養子縁組という制度により特別養子になった場合には、子どもと実父との関係はなくなります(民法817条の9)。これは、実の親の虐待などといった事情がある場合、家庭裁判所の判断で、子どものために実の親との縁を切らせて養子縁組をする制度です。普通の養子縁組は、それほど難しいものではないのですが、特別養子縁組については、養子が原則として6歳未満の子どもであること、養親が結婚しており25歳以上であることなどの、厳格な要件が定められています。

●新しい家族とより良い家庭を築くためには

血がつながっていなくても、自分の子どもとして育てているのは、とても素晴らしいことですね。

しかし、どんなに家族仲が良くても、やはりあなたが亡くなったときの遺産の相続でトラブルになるケースもあります。連れ子との絆をより強いものにするためにも、今のうちに法的な手続きをやってあげるとよいでしょう。

●ライター/島田さくら(アディーレ法律事務所所属弁護士)

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