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〈ユキ フジサワ〉が紡ぐ記憶。一点物ニットを預かり、編み直して新たな形へ

  • 2022.4.6
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〈ユキ フジサワ〉の新章は、「記憶の『先』のセーター」。ブランドの代名詞的シリーズのニットを預かり、編み直すという試みだ。第一回の募集受付は2022年4月25日(月)まで。

ヴィンテージ素材に箔や染めレースをあしらい、手仕事によるプロダクトを展開する〈ユキ フジサワ〉。洋服と着る人・持ち主の関係を深く考えてきたブランドは昨年10年目をむかえた。そこでデザイナーの藤澤ゆき氏が思い描いたのは、過去に販売した一点物のニットを預かり、編み直し、新たなストーリーを与えるプロジェクトだ。

〈ユキ フジサワ〉が10年間続けてきたのが、「NEW VINTAGE/記憶の中のセーター」というシリーズ。ヴィンテージのアランセーターを買い付け、手入れし、一点一点に箔や染めを施したものだ。これまでに800点が制作され、それぞれ旅立っていった。

ものは、持つ人とともに「記憶」を重ねていく存在。デザイナーのそんな思いが背景にあるシリーズだ。

「記憶の中のセーター」シリーズ

そして今回のプロジェクトは、その「記憶」をさらに先につないでいこうとする。「記憶の中のセーター」を持ち主から預かり、ミトンとミニセーターのセットに生まれ変わらせるのだ。

長年愛用した洋服でも、状況が変わって着なくなることはある。そんなときに、「手放す」以外の選択肢を作れたら--そこでたどり着いたのが、ニットだからこそできる「編み直し」。

手作業で丁寧にセーターをほどいていく。

しかし編み直すとひとくちに言っても、ただ毛糸をほどくだけでそのまま新しい一着を編めるわけではない。長い間編まれていた毛糸には癖がついているので、蒸気に当てるなどの工程を経て、毛糸玉にする。そこからやっと、もう一度編める状態になるのだという。

「ミニセーターは、きゅっと記憶を小さくとじこめる、お守りのようなもの」とデザイナーの藤澤氏。

丁寧な手仕事を経て、セーターは姿を変えて持ち主のもとにふたたび送り出される。ブランド定番でもあるミトン一組と、手のひらサイズのミニセーターだ。

記憶を重ねた「先」の時間を、さらに一緒に過ごしていけるように。「着る・着ない」を超えた、思いのよすがとしての価値が、そこには溢れている。

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