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横山由依さん、AKB48卒業後初の舞台「お芝居一本でやっていくぞという気持ち」

  • 2022.4.5
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戦前戦中の日本で映画作りをする若者たちの姿を描いた舞台『三十郎大活劇」(パルコ・プロデュース)が2日、東京・新国立劇場で始まりました。主人公の役者・紅三十郎(青柳翔さん)と恋仲になる芸者・おやつを演じるのは、昨年12月にAKB48を卒業した横山由依さん。卒業後初となる舞台にかける思いや、物語の見どころなどを聞きました。

リアルな空間のエンタメ、すごく惹かれる

――『三十郎大活劇」は、激動の時代に映画作りに情熱をかける若者たちの姿を描いた物語。横山さんにとってAKB48卒業後、初の舞台です。

横山由依さん: お芝居にしっかりと取り組みたいと思っていたので、卒業してすぐに舞台に立てることが幸せです。
AKB48にいた時は、グループの活動としてやらなきゃならないことに日々追われながら、お芝居をやっていました。今は一つ一つ丁寧に向き合うことができるし、「お芝居一本でやっていくぞ」という気持ちです。

朝日新聞telling,(テリング)

――「ステージとお芝居が好き」と気付いてAKB48の卒業を決意された横山さん。舞台ならではの魅力をどう捉えていますか?

横山: コンサートや舞台といったリアルな空間でのエンターテインメントは、お客さんが同じ空間にいるからこそ成立します。ステージに立つ人と見に来てくれる人それぞれに思いがあるから、その瞬間にしか生まれないものがあるんです。その、たった一度しかない空間を共有したお客さんとの通じ合いが、私にとっては特別。人って、決して1人ではなくて、支え合ったり助け合ったりしながら生きているから、思いがぶつかり合うリアルな空間のエンタメにすごく惹かれるんですよね。

私自身も2003年に大好きなCHEMISTRYのコンサートに行ったことがきっかけで芸能界を目指しました。あの日、あのコンサートに行っていなかったら、志も生まれていなかった。舞台に立つことで、誰かに何かを届けられるような人になりたいですね。

朝日新聞telling,(テリング)

初の芸者役、新しい自分を見せられる

――横山さんが演じるのは、おやつという芸者です。

横山: 戦前の物語だから話し方や言葉使いなどが現代のものとは違う。お稽古は浴衣でしたが、本番は着物を着るので所作の指導もしていただきました。私は普段、前髪を下ろしているのですが、今回の舞台では前髪を上げて和髪にするんです。かつら合わせをしてもらった時、制作のスタッフさんから「雰囲気変わるね!おでこ出すのいいね!」と言っていただけて、テンションが上がりました。

朝日新聞telling,(テリング)

――役作りはいかがでしたか。

横山: 他の芸者さん2人と一緒に登場するシーンが多いおやつは、2人のお姉さん的な存在。その“お姉さんっぽさ”をどう表現しようかなって、色々考えました。話し方に大人の色気がある感じなのか、行動がお姉さん的なのか……。

私自身、AKB48にいた時も後半は特に“先輩”という立場だったから、悩んでる子の話をよく聞いたし、後輩の面倒を見るのも好きでした。おやつも「困っている人を放っておけない」というタイプ。でも時代が違うから、男性より一歩下がったところから支えているような、奥ゆかしさの中にある強さや優しさを表現したいですね。

芸者さんを演じるのは初めてなので、新しい自分を見せられるだろうし、歌ったり踊ったりするシーンもあるので、今までファンでいてくださった方々にも楽しんでもらえると思います。

朝日新聞telling,(テリング)

初演は30年前。今だからこそ伝えたい

――演出は、ラサール石井さんです。

横山: ラサールさんとは昨年上演した舞台『熱海五郎一座』でご一緒させてもらって、当時もお芝居のアドバイスをたくさんしていただきました。また一緒にお仕事したいと思っていたので、1年も経たないうちに声をかけてくださったのが嬉しかったですね。

『三十郎大活劇』の演出をやりながら別の舞台にも出ているラサールさんは、すごく忙しいはず。でも「おやつをどう演じたらいいか」とアドバイスを求めたら、「由依ちゃんの真面目さが出ちゃってる。おやつは“明るいお姉さん”として作っていこう」と言ってくださって。その言葉を意識して、稽古に取り組んでいます。

朝日新聞telling,(テリング)

――物語は戦前と太平洋戦争初期を描いています。

横山: 私たちはコロナ禍を経験しているし、海の向こうには戦争をしている国も……。一人ひとりが、一度立ち止まってしっかりと向き合わなければならない問題が起きてる。初演は30年近く前の1994年だけれど、今だからこそ伝える意味がある作品だと感じています。

劇中では、若者たちが映画作りを純粋に楽しんでいた時代と、戦争が始まって自分たちが作りたいものが作れない、制限がかかる時代が出てきます。世の中が暗い空気に包まれたとしても、自分たちの生き方を考え直し、もがきながら前に進んでいく――。
いつの時代だって、自分たちがやりたいことが突然できなくなるかもしれないし、大切な人との関係性も変わっていくかもしれない。そんなメッセージを繊細に表現しているので、何か受け取ってもらえたら嬉しいです。

■奥 令のプロフィール
1989年、東京生まれ。2013年に入社後、記者・紙面編集者・telling,編集部を経て2022年4月から看護学生。好きなものは花、猫、美容、散歩、ランニング、料理、銭湯。

■齋藤大輔のプロフィール
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。

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