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親に反対されながらも結婚した2人…ずっと「親の呪縛」から逃れられない?

  • 2022.4.4
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親に反対された結婚の行く末は…
親に反対された結婚の行く末は…

現代は、さまざまな結婚の形が生まれつつあります。その中で、「親に認めてもらえない結婚」に踏み切る2人も少なくありません。親との初顔合わせのときは、既に2人の気持ちは“100%結婚”なので、親に「結婚するのはやめろ」と言われても覆るわけはなく、当人たちは「中学生じゃないんだから」という心境になるのが普通です。

しかし、やはり「親に祝福されて結婚したい」と思うのが人の心理でしょう。結婚式のスピーチで親が涙し、孫が生まれたら喜んでもらい、家族写真を撮る。お盆や正月は一緒に食卓を囲む――。日本における結婚の一般的な光景です。

今回はデータも交えながら、私の知る「親に反対された結婚」の事例をご紹介します。

「親に結婚を反対された人」の方が離婚率は低いのか

ネクストレベル(横浜市)が運営する婚活メディア「縁結び大学」が2021年10月、親に反対された相手と結婚した男女185人を対象に実施した調査によると、結婚した相手と今も婚姻関係を継続中か否かという問いに対し、「婚姻継続中」と回答した人の割合が82.2%でした。一方で、「離婚した」と回答した人の割合は17.3%です。この離婚の割合は、厚生労働省「人口動態統計の概況(2019年度)」による婚姻数/離婚数の割合である34.8%と比較すると半分以下という実態です。

「親に反対されても結婚したのだから、幸せになってみせる! 何としてでも結婚生活を継続させるんだ!」という強い意志によるものなのでしょうか。

同調査の中で興味深かったのは、「両親共に反対」という割合は32.4%だったのに対し、「母親だけが反対」という割合は半数以上の51.9%にも上ったという点です。かわいいわが子の伴侶を見る目が厳しいのは、意外にも父親より母親だったのです。そして、結婚反対の理由の第1位は「相手の収入が十分でない」(22.7%)で、第2位が僅差で「態度や性格が気に入らない」(22.2%)でした。

「結婚するのはあなたじゃなくて子どもだよ」と親に言いたいところですが、手塩にかけて育ててきた子どもが、自分には理解できない相手と結婚する事実をどうしても許せないという親御さんの気持ちは、親になったら想像できるかもしれません。

なお、結婚相手を親に紹介したときには反対されたものの、「結婚するときには許してもらっていた」というケースが70.3%と高い数値に。そして、許されずに結婚を強行したケースでも、「結婚後に許してくれた」ケースが57.1%と過半数以上でした。実際に、好きになった相手と結婚生活をスタートさせて幸せなわが子を見れば、親としてはうれしいもの。いつまでも意地を張らずに仲良くやっていきたいな、というのが一般的な親心のようです。

不倫の末に結婚した娘、どうしても許せぬ母

晴美さん(44歳、仮名)は10歳年上の男性と4年前に結婚しました。晴美さんは現在の夫と、4年にわたって不倫関係を続けていたのです。夫は元妻との間に子どもが1人いて、その子が成人したら結婚したいと晴美さんに話をしていたそうです。彼のことを好きな晴美さんは、我慢して待とうと思いました。

ある日、晴美さんは彼とのLINEのやりとりを母親に見られ、問い詰められます。一人っ子の晴美さんと母親は姉妹のように仲がよかったのですが、不倫の彼のことは秘密でした。専業主婦の母親は娘が生きがいで、娘のことなら何でも分かっていると思っていたようです。そんな娘が長年、妻子ある人と不倫をしているということにショックを受け、別れたくないという晴美さんをなじり、相手のことを教えるように言いました。晴美さんはかたくなに言いません。そこで、探偵を雇って調べさせました。

なんと、相手は、晴美さんの父親が勤める会社の、取引先の人で、しかも、父親も知っている人物だったのです。あまりのことに激怒した母親は、父親に事情を話します。父親も驚き、怒り心頭に。両親は彼を呼びつけ、「どういうつもりなんだ」と詰め寄りました。

彼が、「子どもが5年後に成人したら結婚するつもりだ」と正直に話すと、両親は「そんな都合のいい話はない。5年後、自分の娘は40歳。自分たちは孫の顔が見られないかもしれないじゃないか」と身勝手な言い分を吐き出したそうです。両親は別れを強要し、彼は晴美さんに別れを告げることに。

しかし、事態はここから急展開を見せます。晴美さんの“反乱”です。

泣きながら両親を怒鳴りつけ、本やクッションを床に投げつけたのです(後にご本人が笑いながら言うには、「お皿は割れるから、投げてもいい物を無意識に選んでいた」と)。両親思いで優しく従順だった晴美さんの変貌ぶりに、両親は絶句。「自分たちが間違っていた」「ただ、離婚だけはしてもらってから」と言いました。彼はやはり「晴美さんと別れる」と言い、晴美さんは絶望的な心境に。

その後、晴美さんには内緒で、両親と彼は連絡を取り合い、どのようにすれば晴美さんが諦めてくれるか、策を練ったそうです。しかし、晴美さんの強い意志は変わりませんでした。彼も晴美さんを好きだったので突き放すことなく、ついに妻と離婚。そして2人は結婚しました。

しかし、今度は年老いて頑固になっていた母親が、「こんなことはおかしい」と晴美さんと連絡を絶ってしまいました。専業主婦として夫と子どもに献身的に尽くし、理想の家庭を築いてきたと信じていた母親にとって、不倫の末、略奪するように結婚した晴美さんが全く理解できない存在になってしまったのかもしれません。彼の元妻のことも心配でした。

晴美さんには現在、1人の子どもがいます。高齢出産で大変な思いをして産み、子育てをしていますが、晴美さんの母親は一度も手伝いに来ないどころか、現在も孫の顔を見てもいないそうです。

「親子だから分かり合えて当たり前」ではない

親が子どもの結婚に反対するとき、そこにはさまざまな理由があることでしょう。許す、許さないとはいいますが、“許し”とは一体何でしょうか。自分の人生を、誰に許されることがあるのでしょう。自分の幸せは自分でしかつくれないものです。

とはいえ、晴美さんの場合は不倫からのスタートなので、どう考えても周囲に反対されるケースです。本来、親が反対の理由として、「相手の経済力」「相手の性格」「家の格差」「子どもがいる」などが挙げられますが、さすがに不倫には度肝を抜かれます。

晴美さんは、ご両親を「自分が何をしても認めてくれる、自分を全部受け入れてくれる存在」だと思っていたのかもしれません。しかし、親が子どもに見せている顔は一面的なものです。親も一人の人間として、さまざまな思いを抱えながら自分の人生を生き、価値観をつくってきています。

「“親子だから分かり合えて当たり前”ではない」ということを踏まえ、まずは結婚相手のいい面を伝えるところから始めるのがよいでしょう。なぜ、自分が相手を好きになったかという理由を30個挙げて説明できれば、親も一部は共感してくれるはずです。共感を増やす努力を続けることができれば、家族仲良く食卓を囲む日が来ると信じて進んでください。子どもの幸せを遮断する親などいないと信じて。

「恋人・夫婦仲相談所」所長 三松真由美

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