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永遠に閉店しない「閉店セール」が続出…「閉店商法」は違法行為にならないのか?

  • 2022.4.2

「閉店につき在庫一掃」をうたってセールを実施しているにもかかわらず、いつまでたっても閉店する様子がない。そんなお店を街なかで見かけたことはありませんか?

閉店するつもりがないのに「閉店セール」と表現するのは、違法ではないのでしょうか。「閉店しないのに閉店セールをしているお店」と法律のかかわりについて解説します。

■何年も閉店セールを続けている店

閉店セールと書いた貼り紙を出しながら閉店せず、お店の営業を続けるスタイルは「閉店商法」とよばれています。消費者法が専門の法学者・細川幸一さん(日本女子大学教授)が行った調査によると、閉店商法のうたい文句はおもに「完全閉店」と「改装閉店」に分かれるそうです。

完全閉店は文字どおり「閉店にともなうセール」です。一方の改装閉店は、店の改装による一時休業にともなうセールです。つまり「改装」が終わると「新装開店」するというわけです。

■閉店商法と景品表示法違反

完全閉店、改装閉店のいずれも「本当に閉店、あるいは改装閉店したケース」はあります。しかし、閉店していなかったケースもあり、細川さんの調査によると、都内で調べた9店舗中5店舗は後者のパターンだったといいます。

本当は閉店しないのに、消費者に閉店するかのような印象を与える閉店商法は、法律に触れないのでしょうか。日本広告審査機構(JARO)は、長期にわたる「閉店セール」は景品表示法という法律に違反する可能性があるとしています。

景品表示法(景表法)とは、消費者が買い物をしたりサービスを受けたりする際に正しく判断できるよう、販売側の広告や景品について規制を設ける法律です。具体的には以下の2点について規制しています。

・商品やサービスの内容や価格などを偽った表示の禁止(不当表示の禁止)
・商品やサービスにつける景品、および懸賞による景品の最高額を規制(景品類の制限及び禁止)

■閉店商法が景表法違反になりうるケース(1)期間を限らないセール

「閉店セール」とうたっていながら、閉店日が表示されておらず、何ヵ月もセールを続けているケースがあります。「閉店セール=商品が安くなっているから、普段よりもたくさん買おう」と消費者に思わせる可能性があり、景表法の不当表示にあたる恐れがあります。

■閉店商法が景表法違反になりうるケース(2)不当な二重価格

「閉店セール」において、よく見られるのが「定価1万円の商品を2,000円に値引き」などと打ち出しているケースです。

このとき、1万円で販売した実績がないにもかかわらず、値引きを打ち出していると「不当な二重価格」として、景表法が禁止する不当表示にあたります。消費者は「閉店するから安くしているのだな」と誤認する恐れがあるからです。

■閉店商法は景表法違反の可能性はあるが明確な基準はなし

消費者庁やJAROは、閉店商法が景表法の不当表示に触れる恐れありとの見解を示しています。しかし、閉店セールが不当表示となる開催期間について具体的な基準はありません。

いつも通っている通りで閉店セールが行われていれば、その店が本当に閉店しているかどうか判断できますが、初めて訪れる場所の場合は判断が難しいものです。期間を限っていない閉店セールは、閉店商法を疑ったほうがよいでしょう。

文・はせがわあきこ

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