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「生理がこない…」月経不順・無月経について医師がアンサー!

  • 2022.4.1
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女性のカラダにとって大切なサイクルである「生理」。今まで滞りなくきていた生理が突然こなくなったことはありませんか? 今回は、無月経や月経不順について「直レディースクリニック」の院長である竹村直也さんに伺いました。

無月経の原因を教えてください

今まできていた生理がこなくなっている状態のことを医学的に「続発性無月経」と言い、生理が3カ月以上停止しているものを指します。原因としては、急激なダイエット、肥満、強いストレスや環境の変化などによるホルモンバランスの乱れが考えられます。美人百花世代は仕事、人間関係、恋の悩みなどでストレスを受けやすい年代でもあります。続発性無月経を含めた月経不順を訴えて婦人科を受診される方も数多くおられますが、ストレスが原因で一時的に不順になっていることが多いようです。

原因を調べるため、ホルモンバランスを採血で確認することがあります。女性ホルモン以外のホルモンの影響で月経不順を起こしていることがあるからです。20代の若い女性にはダイエットの影響で急激な体重減少が原因となって生理がこなくなることがあります。急激な体重減少により頭から分泌されているGnRHが低下し無月経になると考えられています。

次にホルモン異常として「高プロラクチン血症」があります。プロラクチンとは頭から分泌されるホルモンの一つです。プロラクチンは出産後に大量に分泌されることで授乳を促し、排卵を抑える働きがあります。授乳中に生理がなかったりするのはこのホルモンが大量に分泌されており排卵を止めているからです。妊娠・授乳中ではないのにプロラクチンが血中に多く存在している状態を高プロラクチン血症といいます。多くは原因不明ですが時に胃薬や心療内科のお薬が原因となって血中プロラクチン値が高くなっていることがあります。またまれにですが脳腫瘍の影響で高プロラクチン血症になっていることがあります。
甲状腺機能異常で生理周期が乱れることもあります。甲状腺とは首にある臓器で新陳代謝をコントロールしています。この甲状腺の機能異常で排卵障害がおこり生理不順になることが知られています。

PCOS(多のう胞性卵巣症候群)について

生理不順に悩み婦人科受診された方にはこの診断をされた方も多いと思います。若い女性の5〜8%の割合でPCOSが認められます。Polycystic Ovarian Syndromeの頭文字をとってPCOSと呼ばれています。Polyは「多い」、cysticは「のう胞」、ovarianは「卵巣」、syndromeは「症候群」という意味です。「のう胞」というのうは、袋状のもの。PCOSの患者さんの卵巣を超音波検査で観察するとたくさんののう胞(袋状のもの)が見えます。これらは排卵されなかった卵胞と呼ばれているものです。つまりPCOSであれば排卵しにくい状態にあるといえるでしょう。排卵しにくければ不妊の原因にもなります。

原因:通常、排卵には脳から分泌されるLH(黄体ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)という2つのホルモンが関わっています。PCOSではこのバランスが崩れて、LHばかりが過剰分泌されることによって、排卵がうまく行われなくなります。男性ホルモン値が高いことも原因に挙げられます。

診断:生理不順、エコーでの特徴的な卵巣の見え方、採血でLH値、FSH値、男性ホルモン値の確認で行われます。

治療:PCOSでは肥満の方もおられます。肥満があれば減量が最優先に行われます。適正体重に戻すことで月経不順が改善することが知られています。

適正体重であれば次の2通りに分類されます。

(1)いますぐ妊娠希望がある場合と(2)いますぐの妊娠希望がない場合です。

(1)いますぐの妊娠希望がある場合

排卵を促すために排卵誘発剤を使用します。飲み薬の排卵誘発剤で排卵を認めない場合は注射が必要なこともあります。また排卵誘発剤のほかに体内の水分バランス、ホルモンバランスを整える漢方薬を使用することもあります。このほかにもPCOSの患者さんには糖の代謝能力が低下している方もおられるため糖尿病薬を使用することもあります。

(2)いますぐの妊娠希望がない場合

ピルなどのホルモン剤を内服したり体質改善目的で漢方薬を内服することで生理周期を整えていきましょう。

早発閉経について教えてください

40歳未満で閉経を迎えてしまうことがあります。生理がこなくて、ほてり・のぼせ・動悸などといった更年期症状が出現することがあります。40歳未満の女性の1%、30歳未満では0.1%の女性に発生することが知られています。原因は不明のことが多いですが卵巣から分泌されているエストロゲン(女性ホルモン)が低下している状態で、採血でホルモン値を調べることで判明します。エストロゲンは骨を強く保つ効果がありますので早発閉経では将来的に骨がもろくなる骨粗しょう症のリスクが上がります。このため早発閉経の方は一般的な閉経年齢である50歳ころまでエストロゲンを補充する治療がすすめられます。

生理不順といっても原因はいろいろありますが、心配なあなたは一度婦人科を受診してみてはいかがでしょうか。

教えてくれたのは

出典: 美人百花.com

「直レディースクリニック」院長 竹村直也さん

2000年神戸大学医学部卒業。現在は直レディースクリニック院長として診療を行う。婦人科診療は生理、妊娠に関する相談、更年期治療、筋腫、卵巣のう腫などの管理など産科婦人科疾患全般の診療に携わっている。

直レディースクリニック公式サイト:https://nao-ladies.com/
インスタグラム:https://www.instagram.com/nao_ladies_clinic/

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