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みそは知れば知るほど楽しい!万能おかずみそ4種の作り方

  • 2022.3.30
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素材の組み合わせは無限大知れば知るほどハマるみその世界

日本を代表する発酵食品「みそ」。体に良いといわれ調味料として幅広く使われていますが「意外と知られていないことが多い」と教えてくれたのは実践料理研究家の岩木みさきさん。“みそ”に魅せられ各地のみそ蔵70蔵を探訪するくらいの「みそ好き」としても知られています。

そして「みそは知れば知るほど、無限大の楽しみ方がある調味料。特徴や料理への生かし方を知るだけで、毎日が豊かになる」とみそ愛を語ります。今回はみその魅力や、知るだけで食の楽しさが広がる万能おかずみそレシピを紹介します。

複雑な「みその種類」の見分け方

なんとなくは知っていると思いますが、みそと一口にいっても、さまざまな種類が存在します。そして「みその種類やその数は膨大。全国に存在するみそは正確な商品数が把握されておらず、分類についても明確な基準がなく、曖昧に認知されています」

そう語る岩木さんですが、「こうじ(原料)の種類」「色の違い」「味(甘・辛)の違い」という3つの分類ポイントを知っておくと、多種多様で複雑なみその見分け方を身につけることができるといいます。

インタビュー中の岩木さん
探究心がもともと強かったという岩木さん。「料理業界であまり追求されていなかったみそを深掘りした結果、簡単には攻略できない複雑さに余計好奇心をかき立てられました」。これまで岩木さんが訪れたみそ蔵は今70以上、ご自宅のみそ専用冷蔵庫には160種類以上の愛すべきみそが貯蔵されているそうです

1.こうじの種類
大豆を分解して発酵をすすめるこうじは、みそに必須の原料。おもに「米こうじ」を使った「米みそ」、「豆こうじ」を使った「豆みそ」、「麦こうじ」を使った「麦みそ」の3種類に分けられます。ちなみに、国内生産量の8割を占めるといわれているのが「米みそ」です。そして、種類の違うみそを2種類以上合わせたものを「合わせみそ」と呼びます。

2.色の違い
基本的には熟成時間が短いものは「白色」(白みそ)、長くなるにつれて「淡色」(淡色みそ)、「赤色」(赤みそ)と変化していきます。またそれに加えて寝かせる温度やこうじの割合も色に関係してきます。

「米みそ」や「麦みそ」は熟成期間が短いものから長いものまであるため、「白みそ」から「赤みそ」まで幅がありますが、「豆みそ」は基本的に長期熟成のため「赤みそ」のみ。

6種味噌紹介
(写真左上から時計回りに)米みそ(白みそ)、米みそ(淡色みそ)、米みそ(赤みそ)、合わせみそ、豆みそ、麦みそ

「白みそ」は甘みが強いものが一般的で、料理に使用するときはほかのみそよりも量を多めに。「淡色(黄色)みそ」は中辛〜辛口のものが多く、最近の主流。スーパーでいちばん多く見かけるのがこのみそです。さわやかな香りのものが多く、和食をはじめかんきつ類とも相性抜群。「赤みそ」は甘みが少なく、コクと深みが特徴。煮込み料理と相性がいいとされています。

3. 味(甘・辛)の違い
色やこうじの種類のほかに、味による分類も。みそは塩の量が多くなれば辛口に、こうじの量が多くなれば甘口になります。岩木さんいわく、一般的なみそ商品ではおもに「甘みそ」「甘口みそ」「辛口みそ」に分類することができるそうです。甘口みそは苦味のある山菜やルッコラと合わせると、苦味が中和されて食べやすくなるのが特徴。辛口みそは、料理に使用すると味がしまって決まりやすいのが特徴です。

複雑なのが、色と味(甘・辛)が連動しているかと思いきや、必ずしもそうでないところ。色が似ていても、甘いもの、辛いものが存在するそう。「パッケージの原材料の部分を見ると、ある程度見当をつけることができます。原材料は量が多い順に並んでいるので、大豆よりも先にこうじ(米、麦)が書いてあれば甘め、ということになります」

種類ごとに味わいや特性があることを知っていくと、使い分けの幅が一気に広がるみその世界。いろいろ試しながら、自分の好みのみそを探していくのも楽しみ方のひとつだそうです。

簡単! 万能おかずみそ4種の作り方

多種多様なみその楽しみ方は無限大。その入門編として、今回教えていただいたのが「みそ+◯◯」の組み合わせで作るおかずみそ。ごはんにそのままのせたり、パンにのせてトーストしたり、焼いた肉や魚にソースとしてかけてもOKという万能さです。

「実はみそに合わない素材はほとんどない」というほど、さまざまな組み合わせが可能でこれまで数々の組み合わせを試してきたという岩木さん。その中でも、簡単で万能な4種のおかずみその作り方を教えていただきました。

(1)白みそ×ゆずこしょう
白みそ×ゆずこしょう
「簡単で鉄板のおいしさ! まずこのレシピでみそと素材を組み合わせる楽しさを知ってほしい」と岩木さん

<材料>(作りやすい分量)
・白みそ 大さじ4
・ゆずこしょう 小さじ1

<作り方>
ボウルに材料を入れて混ぜ合わせる

白みそ×ゆずこしょう作り方
量は目安なのでお好みで。自分好みの味を見つけるのも楽しさのひとつです
(2)米みそ×しょうが
米みそ×しょうが
冷え対策にぴったりのしょうがを加えたおかずみそ。お好みでにんにくを加えてもOK

<材料>(作りやすい分量)
・(A)しょうが 30g、酒 大さじ1、みりん 大さじ2、水 大さじ1
・米みそ 大さじ1

<作り方>
1. しょうがを千切りにする
2. フライパンに(A)を入れて弱火で2分煮てみそを加え混ぜる

米みそ×しょうが作り方
水分がほどよく飛んでからみそを入れるのがポイント
(3)麦みそ×バジル
麦みそ×バジル
洋風にアレンジした万能おかずみそはナッツの食感が加わることで食べごたえもアップ

<材料>(作りやすい分量)
・バジルの葉 4枚
・好みのナッツ 10g
・オリーブオイル 大さじ1
・麦みそ 大さじ2

<作り方>
1. バジルの葉とナッツを刻む
2. ボウルに材料を入れて混ぜる

麦みそ×バジル作り方
バジルの代わりにディルを使ってもOK。ハーブの香りと合わせることで癒やし効果も
(4)豆みそ×チリパウダー
豆みそ×チリパウダー
チリパウダーの代わりにガラムマサラを使ってもOK。ひき肉の量を多めにすれば餃子の具にもなります

<材料>(作りやすい分量)
・(A)豚ひき肉 60g、酒 大さじ2
・(B)チリパウダー 大さじ1/2、水 大さじ1、豆みそ 大さじ1

<作り方>
1. フライパンに(A)を入れて加熱する
2. ひき肉に火が通ったら(B)を入れて煮詰める

豆みそ×チリパウダー作り方
みそは焦げやすいので後から入れるのがポイント

保存期間は冷蔵庫で5日。保存方法については「みそは香りが大切。なので香りが逃げないようにふたがあって密閉できる容器で保存することをおすすめします」と教えてくれました。

万能おかずみそ4種で作る! みそ汁&焼きおにぎりレシピ

4種の万能おかずみそ。これらそれぞれの魅力を生かしながら、もっともみその魅力を堪能できるのが定番の「みそ汁」と「焼きおにぎり」。「4種類それぞれ、違った味わいが楽しめると思います」と岩木さん。

今回はその中でも春にぴったりの食材「うるい」と合わせた「油揚げとうるいのみそ汁」と、残りの3種類の万能おかずみそでミニ焼きおにぎりを作っていただきました。

(1)白みそ×ゆずこしょうで「油揚げとうるいのみそ汁」
味噌汁
うるいの緑が映えるように、白みそ×ゆずこしょうをセレクト。「うるいは下処理がいらない山菜。手軽に使えて栄養価もたっぷり。春の食材としておすすめです」

<材料>(二人分)
・油揚げ 1枚
・うるい 3本
・水(お湯)
・万能おかずみそ(白みそ×ゆずこしょう)大さじ1+白みそ適宜(※辛さによって白みそをプラスして調整)
(※ゆずこしょうが入っているのでだしは入れないでOK)

<作り方>
1. 油揚げとうるいを食べやすい大きさに切ってゆでる
2. ひと煮立ちしたら万能おかずみそ(白みそ×ゆずこしょう)を加える

(2)3種の味を楽しむミニ焼きおにぎり
3種の味を楽しむミニ焼きおにぎり
(左から)麦みそ×バジル、豆みそ×チリパウダー、米みそ×しょうが

<材料>(3つ分)
・お米 適量(1個あたりにぎりこぶし2分の1)
・それぞれの万能みそに大さじ1に足して油小さじ1/2~1

<作り方>
1. 小さめのおにぎりをクッキングシートを敷いたフライパンで焼く
2. 豆みそ×チリパウダーと米みそ×しょうがにそれぞれ油(みそに味があるので油は菜種油などがおすすめ)を混ぜたものをのせて、その面を焼く
3. 麦みそ×バジルはそのままのせる

毎朝のおみそ汁の習慣

みそは楽しい……ということを十分理解できたところで、最後に忘れてはいけないのが、その健康効果について。「近年、みそは腸を元気にするなど、その健康効果が特に注目されていますよね」と岩木さん。みそに出合ってから「体や肌の調子が良くなった気がする」とご自身でも実感しているそうです。

そんな岩木さんですが「毎朝のおみそ汁」は長年の習慣でもあるそう。「みその種類やそれに合う素材を変えるだけで、バリエーションは無限大。食欲がないときは、みそを溶かしただけの素みそ汁を飲んだり、逆に具をたくさん入れてしっかりめの食事にしたり、自分の体の状態に合わせて調理しやすいところも魅力ですね」

お椀に盛り付ける岩木さん
おみそ汁を飲む器は、お椀だけではなく、マグカップやスープ用のカップなど、そのとき作るおみそ汁によって変えるのがポイント。「気分を変えたり、見た目を楽しむことも大切だと思っています」

気分に合わせてみそを選ぶ楽しさに加えて、毎日とることで健康や美容に役立つ生活ができる……といったら、確かにいいことずくめ。ぜひ今回教えてもらったレシピを参考に、みその世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。

PROFILE
岩木みさき

実践料理研究家・みそ探訪家

10代の頃、拒食症・過食症・ひどい肌荒れに悩み、食生活を見直し改善に成功。“日々の中で実践できることが健康につながる”と考え、レシピ考案・撮影、中小企業支援、ラジオやTVなどにも出演。料理教室misa-kitchenを主宰。料理教室講師回数は1350回を超える。 “みそ”に魅せられ各地のみそ蔵を60蔵を探訪。木桶仕込みのみそを「ガチみそⓇ」と名付け、日本の伝統調味料をたくさんの方に伝えたいと活動中。著書に『みその教科書』『1分美肌みそ汁』など。

Instagram:https://www.instagram.com/iwakimisaki.miso/

CREDIT

取材・文/坂本アヤノ 撮影/服部希代野

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