ハリウッドから米大統領夫人までが支持する日本人デザイナー、タダシ・ショージの新たな挑戦とは。

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Photo: Genki Ito

先日公開されたばかりの2016春夏プレタポルテコレクションの新作はこちらから。

2015年9月10日、ニューヨーク ファッションウィークで、タダシ・ショージ(TADASHI SHOJI)が初めて「日本」をテーマとしたコレクションを発表。4月にはミシェル・オバマ米大統領夫人が、訪米中の安倍首相夫妻をもてなす晩餐会で、同デザイナーのロングドレスを着用したのも記憶に新しい。今やアメリカ、中国、日本を拠点にハリウッドから中国セレブにまで愛されるブランドとして成長。次なる挑戦でもある「日本」と「キッズ」市場について、デザイナーの庄司正さん(67)に、東京・青山にあるショールームで聞いてみた。

ニューヨーク・コレクションで初めて挑戦する「日本」というテーマ。

——タダシ・ショージというブランドは1982年にアメリカで発足され、2015年のニューヨーク・コレクションで初めて「日本」というテーマに挑戦。このテーマを選んだきっかけは、何だったのでしょうか?

「デザイナーとして長くやってきたけれど、実は日本をテーマにしたことがなかった。それは、うちのドレスはイブニングドレスだったり、カクテルドレスだったりするなか、日本人がたとえば着物をテーマにすると、「ああ、日本人だから」と言われるのがとても嫌だった。無意識に避けてきたのだと思います。でも、年も年だし(笑)、日本を正面から見てぶつかってもいいんじゃないか。そんな余裕が出てきたんじゃないかなぁ」

——直近の2015年秋冬の「Beauty of Flight (飛ぶことの美しさ)」コレクションでは、「飛行」というテーマを中心に鳥の羽や、飛行機のギアなど、常に異質の素材やコンセプトを融合させていらっしゃいました。

「そのほうが驚きとフレッシュさがあるでしょ?」

——発想の背景にあるものは何でしょうか?

「イブニングドレスやカクテルドレスを作るということは、西洋の物を作ること。一方で、自分は日本で生まれてアメリカでビジネスをしている人間。アメリカ人と同じことをやろうと思ったらダメ。いかにひねって何かをするか、いかにサブカルチャーを正面に持ってくるか、そういうことを考えるのが好きだね。多分、ひねくれているからだと思う(笑)。物作りをするなら、定番じゃないものを作ろう、と。イブニングドレスというのは、カチッとして、着心地が悪いのが定番。それをやったらつまらないうえ、今の女性のライフスタイルには合わないと思った。そこで、Tシャツ感覚のイブニングドレスをやろうとした。Tシャツとイブニングドレスは正反対でしょ? それをやろうとしたのが始まりなんです」

ミシェル・オバマ米大統領夫人が着用したドレス。

——今年4月にミシェル・オバマ米大統領夫人が晩餐会で着ていらしたパープルのロングドレスが話題になりました。ドレスができるまでのお話をお伺いできますでしょうか?

「大統領夫人の担当スタイリストから連絡があり、必要な条件や色やサイズなどを伝えられました。けれど、実際に着ていただくまでドレスが採用されたかどうかがわからない。また、着た後も宣伝はできない」

——実際に何着作られたのでしょうか?

「イブニングドレスを4着、デイウェアは日本訪問の時を含めて12着ぐらい。最終的にはデイウェア2着とイブニングドレス1着を着ていただきました。やっぱり、大統領夫人にご着用頂いたのは素晴らしい名誉です」

アカデミー賞受賞ドレスという伝説。

—— アメリカでは1990年代に入ってから、テレビでレッドカーペットの模様を特集する番組が増え、「タダシ・ショージ」というブランドがいかにセレブリティたちに愛されているかが一気に広まりました。レッドカーペット用のドレスで一番重要なポイントは何でしょうか?

「カメラ映えしないといけないから、色が重要です。いくらかっこよくても、カメラに写らなかったらダメ。そういう意味では、スタイリストの役割が重要です。客観的に見てくれる人が必要だから。また、アメリカの場合、大きなイベントの直後に、「ワースト・ドレス・リスト」などを容赦なくメディアが発表するので、厳しい世界ですよ。いいスタイリストに、たくさんのお金を払って最先端のデザイナーの服を着せても、そこに入ってしまったらすぐに契約が切られる。なので、みんなプロに徹してやっていますね」

——女優のオクタヴィア・スペンサーがアカデミー賞を受賞したときに着用していたドレスは今や伝説になっていますが、フィッティングにはよく立ち会われるのでしょうか?

「オクタヴィアの場合は、私に来てほしいという要望があったので行きましたが、基本的に立ち会いません。うちにはとても優秀なチームがいるので、彼らにある程度任せていますが、最終的な確認はすべて私がします」

世界のスターたちに支持されるブランド。

——これまで数多くの著名人がタダシ・ショージを着用した中で、特に感動をされたのは?

「ヘレン・ミレンに着てもらったときは、すごくうれしかったですね。彼女のことが大好きだから(笑)

——ファッションデザイナーになる前は、マイケル・ジャクソンなどの衣装をずっと手がけたビル・ウィットンのアシスタントだったと伺っています。

「そうです、「ザ・ジャクソンズ」のメンバーとして活躍していた時代(1970年代)ですね。よくマイケルの家に行きましたよ。ジャネットが6歳ぐらいの頃かな? すごく頭のいい、好奇心旺盛な子どもで、アジア人の僕を見て驚いたのか、「Who are you?(あなたは誰?)」と聞きにきたのを覚えています(笑)。実は、今年秋にカタールのドーハに出店するのですが、その商業施設のオーナーがジャネットの旦那さん(実業家のウィサム・アル・マナ)。不思議な縁です」

——タダシ・ショージのブランドがアメリカで成功したと感じた瞬間はいつでした?

「ブランドを立ち上げて2、3年目に、ロサンゼルスにあった「Bullocks Wilshire (ブロックス・ウィルシャー)」(という老舗高級百貨店)がクリスマスの時季に、すべてのショーウィンドウにドレスを飾ってくれたとき。すごくうれしくてたくさん写真を撮ったのを覚えています(笑)。もう29年ほど前のことでしょうか」

——中国でも、チャン・ツィイーやファン・ビンビンなど、人気スターがタダシ・ショージを着用しているレッドカーペット写真をよく見ます。

「アメリカでドレスを作っていくうちに、自分が育てたパタンナーが他のブランドの引き抜きにあいまして。もちろん、その前からいずれは中国にも進出したいと思っていたので、2012年には上海と北京に出店。現在、20人弱のパターンメーカーを含む200人ほどの従業員がいて、ショールームを設置した当初から一流のスターの方々に着ていただいています」

日本向けシルエットやキッズ市場も開拓。

——日本市場をどのようにご覧になっていますでしょうか?

「ハリウッドと中国のセレブリティ文化は非常に似ていますが、日本ではむしろ、「知る人ぞ知る」ブランドとして、ステージで活躍する一流の歌手や演奏家の方々にご愛用いただいています。最近はより一般的に人気のあるセレブリティにも着用が増えているようです。日本に進出して10年以上たちますが、日本でのビジネスのボリュームは確実に拡大しています」

——今後、日本人向けのシルエットを取り入れたサイズ展開をされるのでしょうか?

「日本市場での活動が小さかったときは、日本向けにパターンを変えるのは、ビジネス的によい選択ではありませんでした。しかし、今はボリュームが大きくなったので、特にサイズ0、2、4、6あたりの胸の位置やシルエットを、日本人の体型に合わせたジャパンパターンを今秋シーズンからスタートしています

——アメリカではキッズラインも始められたとか?

「インターネットで開始し、予想以上に好調です。特に中東からの需要が大きいのには驚きました。海外のほうが子どもがフォーマルを着なければならないオケージョンが多いですからね」

——そして、子どもこそ、着心地のいいドレスでなければ着ていられないですし。

「そうなんです

——最後に、庄司さんがお考えになるタダシ・ショージの女性像は?

「ナチュラルに、自信を持って、人生を楽しんでいる女性。だって、女性がドレスに着られているようでは、ドレスだってアンハッピーではありませんか? たかがドレス、されどドレス。ドレスはその人の生き方をリアルに反映しますからね」

2016春夏ニューヨーク ファッションウィークのランウェイから。

2015年9月10日にニューヨークで開催されたタダシ・ショージの2016春夏プレタポルテコレクションでは、デザイナーの庄司正が初めて「日本」というテーマを手がけた。ランウェイを歩くモデルたちのドレスには、春の日本庭園を彷彿とさせる藤、桜、小花などのモチーフがさりげなく上品にあしらわれた。また、コレクションに使われたオープニング曲には、由紀さおりさんの名曲「夜明けのスキャット」が使用されるなど、終始、「レトロでモダンな新しいニッポン」をニューヨークの会場から世界へと発信した。

2016春夏ニューヨーク ファッションウィークのバックステージにて。

アメリカでは古くからハリウッドのセレブリティたちに支持されるブランドとして有名なタダシ・ショージ。2015年9月10日のショーの後には、米人気ドラマなどで活躍する女優たちがデザイナーの庄司正さんを囲んでフォトセッション。

参照元:VOGUE JAPAN

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