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3人の革靴ラバーによるスタイル学。なにしろ革靴好きなもので

  • 2022.3.27
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〈ダナー×サルバム〉アウトドアブーツ、〈パラブーツ〉プレーントゥシューズ、〈ドリス ヴァン ノッテン〉Uチップ

服部昌孝(スタイリスト)

革靴=堅苦しいは、勝手なイメージなだけ。

「自由に服との相性を楽しむ」という服部さんの靴選びに教科書的なルールは一切なし。ひとクセあるデザインをどう取り入れるか、そこに哲学がある。

「考えているのは、全身のバランス。一般的に、革靴=ドレスアップという位置づけだけど、僕にとってはドレスダウンにもカジュアルアップにも使えるもの。〈ダナー〉のタフなマウンテンブーツを、上品に真っ白でアップデートした〈サルバム〉の別注モデルは、まさにそれ。

スニーカーでは出せない品があり、老舗の革靴にはない遊びがある。唯一無二な一足に出会うとつい手を出してしまうのは、新しいスタイリングが切り開けそうだから。先入観を取っ払った先にファッション本来の楽しさがある」

〈パオロ・スカフォーラ〉プレーントウ
PAOLO SCAFORA/一枚革のプレーントウシューズをサドルシューズ風にペイントした、老舗ブランドらしからぬデザイン。
〈リオスオブメルセデス〉ウエスタンブーツ
RIOS of MERCEDES/足首がくびれたフォルムで、アッパーはスクエアトウ。「武骨なのに、こんなに品があるのは流石」
〈エンツォ ボナフェ×生チェコ〉シューズ
Enzo Bonafe for NAMACHEKO/服部さんをして「この挑戦が好き」と言わしめる、オーセンティック×鮮やかなブルーの組み合わせ。
〈ドリス ヴァン ノッテン〉スリッポン
DRIES VAN NOTEN/「木型が面白い」という、ぽってりとしたフォルム。濃紺にベージュのパイピングという配色も新鮮。
〈ダナー×サルバム〉アウトドアブーツ
Sulvam × Danner/アウトドアブーツでありながら、上品な白レザー。服部さん好みのカジュアルアップをデザインで体現。

profile

服部昌孝(スタイリスト)

はっとり・まさたか/1985年静岡県生まれ。2012年独立し、一昨年、制作会社〈服部プロ〉設立。老舗ブランドからドメスティックブランドまで約100足の革靴を所持。

公式サイト:https://www.masatakahattori.com/
Instagram:@masataka_hattori

長山一樹(フォトグラファー)

履き続けると、わかることがある。

“今日、何をするか”に応じてオーダースーツを選び、革靴を決める、長山さんのルーティン。たとえ、山中でのロケ撮影でもこのスタイルを崩さない。

「これが習慣化して5年。オケージョンに合わせた細分化が進んできました。例えば、砂浜でのロケには、〈パラブーツ〉のプレーントウ。装飾が少ないアッパーは砂がついても叩けばすぐ落ちる。窮屈で動きにくそうと思う人がいるなら、それは革靴を履き込んできていないから。

諦めず続けると、コードバンのように硬い動物の革が人間の皮との反発をやめる時が来るんです。それが馴染むということ。そうなれば、スニーカーなんて比じゃないくらいラク。シワの数が、自分だけのスタイルの証しなんです」

〈クロケット&ジョーンズ〉タッセルローファー
Crockett & Jones/シアサッカー、リネンなどの春夏用のスーツは、茶スエードで足元も軽く仕上げる。
〈オールデン〉フルブローグ
Alden/ロケに着ていく、タフでざっくりした生地のスーツの日は、ツヤのあるブラックシューズで引き締める。
〈パラブーツ〉コインローファー
Paraboot/靴紐はなく、靴べらなしで履ける。靴を脱ぎ履きすることが多い日にスリッパ感覚でチョイス。
〈パラブーツ〉プレーントゥシューズ
Paraboot/山、海、雨天は、これ一足。縫い目も装飾も少ないため、靴の中に雨も砂も侵入しにくい。
〈オールデン〉ストレートチップ
Alden/グレースーツに合わせて、色気を出したい時には、モデファイドラストのストレートチップ。

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長山一樹(フォトグラファー)

ながやま・かずき/1982年神奈川県生まれ。2007年からファッションの分野を中心に活躍。スーツのオーダーは年2着以上。履いて、着て、自分自身が納得したワードローブをこよなく愛する。

公式サイト:https://www.ngympicture.com/
Instagram:@kazuki_nagayama

山岸慎平(〈BED j.w. FORD〉デザイナー)

色が変われば、スタイルが広がる。

「ソールまで、真っ黒でないと落ちつかない」とブラックシューズへの一途な思いを貫いてきた山岸さん。ただ、そんな気分にも変化の兆しが……。

「好みのものを見つけたらそればかり。革靴も同じ。色は決まってブラック。普段は爪先が尖ったウエスタンシューズで、作業日なんかはスニーカー感覚でブーツを選びます。

そんな中、最近好みとは真逆の〈ドリス ヴァン ノッテン〉のUチップシューズに惹かれたんです。茶色で幅広いフォルムと、根本的に好みの要素はゼロのはずなのに、心に刺さりました。まだはっきりとはわかりませんが、その理由を知ることで新たな価値観が生まれる気がしています。革靴って、そんな発見があるのも面白い」

〈アン ドゥムルメステール〉ブーツ
Ann Demeulemeester/靴紐専業ブランド〈シューシフト〉の平紐でカスタムし、4年愛用。トウのシワもいい味わいに。
〈ドリス ヴァン ノッテン〉Uチップ
DRIES VAN NOTEN/2021 S/Sシーズンのもの。まだ新品同様だが、「これから履き込んでいきたい」という一足。
〈ベッドフォード〉シューズ
BED j.w. FORD/ヒールの高さや、ウエスタン調のステッチなど、自身の嗜好を詰め込んだ、定番のオリジナルシューズ。
〈ホワイツブーツ〉ブーツ
WHITE’S BOOTS/アトリエに籠もって作業する時に履く一足。「気を使わずに履けて最もギア要素の高い靴です」
〈ベッドフォード〉シューズ2
BED j.w. FORD/自社の定番ラストで軽快にアレンジしたストラップシューズは、夏に愛用。履く時は、素足が多い。

profile

山岸慎平(〈BED j.w. FORD〉デザイナー)

やまぎし・しんぺい/1984年石川県生まれ。2010年、高坂圭輔とともに〈BED j.w. FORD〉をスタート。18年、自身の趣味嗜好を凝縮したブランドのオリジナル靴を、デザイナー、三原康裕と共に製作。

公式サイト:https://bedjudewillford.com/
Instagram:@bed_j.w._ford

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