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20年の時を経て初めて語る過酷な半生。難民であり、ゲイであるという2つの葛藤

  • 2022.3.24
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20年の時を経て初めて語る過酷な半生。難民であり、ゲイであるという2つの葛藤
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サンダンス映画祭グランプリ、アカデミー賞3部門同時ノミネートの快挙!

本年度アカデミー賞にて史上初となる国際長編映画賞、長編ドキュメンタリー賞、長編アニメーション賞3部門同時ノミネートの快挙を成し遂げたドキュメンタリー映画『FLEE フリー』の公開日が6月10日に決定。今回、特報が公開された。

主人公のアミンと周辺の人々の安全を守るためにアニメーションで制作された『FLEE フリー』。いまや世界中で大きなニュースになっているタリバンとアフガニスタンの恐ろしい現実や、祖国から逃れて生き延びるために奮闘する人々の過酷な日々、そして、ゲイであるひとりの青年が自分の未来を救うために過去のトラウマと向き合う物語を描く。

本作品は多くの観客に深い感動と衝撃を与え、昨年のサンダンス映画祭でワールド・シネマ・ドキュメンタリー部門の最高賞であるグランプリを獲得。アヌシー国際アニメーション映画祭でも最高賞となるクリスタル賞ほか3部門を受賞するなど、ドキュメンタリー、アニメーションという表現の垣根を越えてジャンル横断的に高い評価を受け、各国の映画祭で76受賞140部門ノミネートという圧倒的な評価を獲得している。

公開された特報映像は、「親友である映画監督(ヨナス・ポヘール・ラスムセン)の「誰かに話したことは?」という問いに対し、主人公・アミンが「一度もない」と答えるシーンから始まる。アミンが誰にも明かしたことのなかった自身の過去を、20年の時を経て初めて語り始める様子と、その言葉により回想される幼少期からのあまりに過酷な経験を捉えていく。

アミンの複雑な感情をより忠実な形で伝えるために、本作品ではシーンに応じて2つの全く異なるスタイルのアニメーションが用いられている。また、ニュース映像など実際の映像も織り交ぜながらドキュメンタリーとしての臨場感も伝わってくる。アミンの言葉を通じて明らかになっていく心を揺さぶる物語だけでなく、映像表現としての斬新さも確認でき、本編への期待の高まる内容となっている。

もともと数々のラジオ・ドキュメンタリーを手掛けてきたヨナス・ポヘール・ラスムセン監督は、独創性に溢れるスタイルで本作品を作り上げたことについて、「私的な物語を語る過程で、私は常に新しい方法や新しいアプローチを探求しようと心がけています。語られる物語に沿うように、映画の形式を捻じ曲げる方法を探るのです。『FLEE フリー』では、そのレパートリーにアニメーションを加えました。アミンが惜しみなく私に共有してくれた、貴重な証言にふさわしい舞台を与えられるよう、説得力があり、魅力的な語り口を作ることを目指したのです」と語っている。

ラスムセン監督はアカデミー賞授賞式を控え、先ごろ行われたインタビューでこう語っている。「この物語は、過去やセクシュアリティも含め、自分が誰なのか。それを知ることのできる場所を見つける、1人の人間の物語なのです」

『FLEE フリー』は6月10日より全国公開される。

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