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小1の時、母が不倫相手とダイナマイトで心中。トラウマを乗り越えるには

  • 2022.3.24
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過干渉な母親との関係に悩む娘の話はメディアでもたびたび取り上げられるが、男性の声を聞く機会は少ない。しかし、母親の呪縛から逃れられないのは、娘だけではない。本書、『猫コンプレックス母コンプレックス』(イースト・プレス)はそんな「心に居座る母の呪い」を解こうともがく2人の男性の対話だ。

『自殺』(第30回講談社エッセイ賞)や自伝『素敵なダイナマイトスキャンダル』(2018年映画化)の著者、末井昭さんと、精神科医の春日武彦さんによる往復書簡のかたちをとっている。

小学校1年生のときに実の母が不倫相手とダイナマイトで心中をしたという衝撃的な経験を持つ著者が、70歳を超えても母からの呪縛が解けないことを精神科医に相談すると、実は精神科医もすでに亡くなっている母の重い呪縛が解けていないと言う。ともに猫好きという共通点から、どうやって母親の呪いを解くのかという切実な言葉のやりとりが綴られている。

小説家の中島京子さんは、「融通無碍に出入りするかれらと、深部に居座って出て行かないあのひとと。大人の男の心の中は繊細で滋味豊か。いろいろしんどいものを抱えても、とりあえず長生きしようと思わせてくれました」とコメントを寄せている。

消えてくれない「あのひと」をどうするのかが、猫との交感を交えて味わい深く語られる。猫がいれば母親の呪いから逃れられるのか。気になる一冊。

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