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3月も活躍!暖房器具はオフシーズン前、どう手入れする?手入れを怠るとどうなる?

  • 2022.3.23
暖房器具のお手入れ、どうする?(ダイキン工業提供)
暖房器具のお手入れ、どうする?(ダイキン工業提供)

今年の冬は特に寒い日が続き、3月下旬にも強烈な寒の戻りがあったことや、新型コロナウイルスのオミクロン株の流行で在宅時間が長くなったことで、石油ファンヒーターやエアコンなどの暖房器具を使う機会が増えた人も多いと思います。暖かくなってきたタイミングで片付ける必要がありますが、その際、暖房器具はどのように手入れをしたらよいのでしょうか。また、手入れを怠ったまま収納した場合、製品にどのような影響が生じるのでしょうか。暖房器具メーカーに聞きました。

灯油や電気を無駄に消費

まずは、石油ファンヒーターなどの製造、販売を手掛ける、ダイニチ工業(新潟市南区)広報室の中川花美さんに聞きました。

Q.冬に使用した石油ファンヒーターやセラミックファンヒーターを収納する際は、事前に手入れをした方がよいのでしょうか。

中川さん「長期保管する前は、必ず機器の手入れをしてください。手入れをせずに収納した場合、次のシーズンでの使用時にトラブルが発生する可能性があります。

例えば、石油ファンヒーターの場合、本体内に灯油が残った状態で保管してしまうと、内部で灯油の性質が変化するほか、残った灯油とともに、ごみや水がたまります。そのような状態で次のシーズンに製品を使った場合、うまく着火しなかったり、途中で火が消えてしまったりするなどのトラブルが発生し、修理が必要になることもあります。毎年、石油ファンヒーターの使い始めの時期になると、変質した灯油の使用が原因と見られる着火不良や途中消火に関する相談が多く寄せられます。

このほか、製品の背面にある空気の取り入れ口にほこりがたまっていると、空気を吸い込みにくくなり、灯油を無駄に消費してしまいます。きれいな状態で運転した際の灯油の消費量を100とした場合、ほこりのたまった状態で運転した際の灯油の消費量は114にまで増加します。

セラミックファンヒーターの場合、空気の取り入れ口の汚れを放置すると、雑菌が繁殖して悪臭が発生したり、送風音が大きくなったりします」

Q.では、ファンヒーターを手入れする際の注意点や、適切な方法について教えてください。

中川さん「予期せぬ事故を防ぐため、手入れ前は必ず電源プラグをコンセントから抜いてください。また、石油ファンヒーターの場合、手に灯油が付く可能性があるので、作業時はゴム手袋を着用するのがおすすめです。

石油ファンヒーターは、本体内やタンク内に残った灯油を抜き取ることが大切です。灯油を入れるタンクと、その下の油フィルターを取り出すと、本体の底の部分に灯油をためる受け皿があります。市販の給油ポンプやスポイトを使い、受け皿に残った灯油を抜き取ってください。

油フィルターにごみや水が入っている場合は、きれいな灯油ですすぐなどして、取り除いてください。その後、柔らかい布などでしっかり拭きましょう。また、空気の取り入れ口にほこりがたまっている場合は、掃除機で吸い取りましょう。セラミックファンヒーターは、空気の取り入れ口のほこりを掃除機で吸い取った後、本体のほこりや汚れを拭き取ってください。

なお、危険なので、製品は絶対に分解しないでください。詳しい手入れ方法は、各製品の取扱説明書に記載されているので、そちらを確認してください」

Q.製品はどのような場所に収納するのが望ましいのでしょうか。また、収納時は箱に入れるか、カバーなどで覆った方がよいのでしょうか。

中川さん「湿気の少ない場所に保管しましょう。その際、傾けたり、横に倒したりした状態で保管しないでください。製品が故障する可能性があります。また、ごみなどが製品内に入らないよう、保管する際は製品の包装箱に入れてください。すでに包装箱を廃棄している場合は、ポリ袋などに包んでから保管しましょう」

エアコンの手入れは?

続いて、エアコンの製造などを手掛ける、ダイキン工業(大阪市北区)広報グループの高木旭さんに聞きました。

Q.冬に使用したエアコンは、手入れをした方がよいのでしょうか。

高木さん「エアコンの使用期間中は汚れやほこりがたまりやすいので、冬に使い終えたエアコンは忘れずに手入れをしましょう。汚れやほこりを放置すると、夏に再度使用したときに嫌な臭いが発生したり、エアコンの効率が低下することで、電気代が余計にかかったりする原因となります。

当社が昨年実施したアンケートでは、エアコンの使用再開時に経験したトラブルとして、『不快な臭い』を挙げた人が52.7%に達したほか、当社の検証で、室内機のフィルターを1年間掃除せずにエアコンを使用した場合、約25%の電気代が無駄になることが分かりました。

今年の冬はコロナ禍で在宅時間が増え、エアコンの使用時間や使用頻度が高かった人も多かったと思いますが、その場合、汚れやほこりが多くたまっている可能性があります」

Q.エアコンを手入れする方法について、教えてください。

高木さん「エアコンの手入れの主なポイントは、『フィルターの掃除』と『室外機周辺の風通しの確保』です。具体的な手入れの方法は次の通りです。

【フィルターの掃除】フィルターを取り外し、掃除機でほこりを吸い取りましょう(使用期間中は2週間に1度の掃除がおすすめ)。エアコンの近くに台所があると、エアコンが油煙を吸い込んで、フィルターの汚れがひどくなっていることもあります。その場合、中性洗剤を溶いたぬるま湯と柔らかい布などを使ってフィルターを洗ってください。その後、しっかり陰干しをしてから室内機に戻すようにしましょう。

また、手入れの際は、フィルターの奥にある熱交換器(薄いアルミ板が多く並んでいる部分)も確認してください。そこに汚れが付着していると、カビの発生や嫌な臭いの原因になる場合があります。ただし、ご自身で掃除しようとすると、熱交換器が変形してエアコンの能力低下につながったり、誤って指を切ってしまったりすることもあります。熱交換器が汚れているときは、エアコンの専門業者に洗浄を依頼することをおすすめします。

【室外機周辺の風通しの確保】室外機は背面から空気を吸い込んで前面に吹き出すことで、熱交換を行っていますが、室外機周辺に物やごみがあると、空気の通りが悪くなって運転の効率が下がるため、電気代が余計にかかってしまいます。室外機周辺に物やごみがある場合は、必ず取り除いてください。エアコンの使用期間中は、室外機周辺に物やごみがないか、小まめにチェックすることをおすすめします。

また、春一番など、季節の変わり目に発生した強風による飛来物や落ち葉が、室外機の裏側に入り込んでいることがあります。夏にエアコンを使用する前は、背面にこうした物が挟まっていないか、注意してください」

Q.室外機の確認のほかに、夏にエアコンを使う前にやるべきことがあれば、教えてください。

高木さん「5月から6月前半までの間にエアコンの『試運転』を行い、製品に不具合がないか確認してください。

エアコン業界では例年、7月から8月にかけて、エアコンの修理や買い換えの問い合わせが集中します。夏になってエアコンを使い始めたときに、エアコンの不具合に気付く人が多いためです。点検や修理、据え付け工事に関する問い合わせが短期間に殺到すると、一時的に人手不足に陥り、修理対応までに長期間お待ちいただくことになります。その場合、エアコンが使えない状態で夏を過ごさなければならなくなる可能性もあります。

試運転の方法ですが、まず冷房運転を最低温度(16度から18度)、風量を最大に設定し、10分間運転をしてください。その間に冷風がきちんと出るか、製品の異常を示すランプが点滅していないかを確認しましょう。その後、さらに30分間程度運転し、室内機から水漏れや異臭、異音が発生していないかを確認しましょう」

Q.エアコンを夏に使用した場合と冬に使用した場合とでは、どちらの方がフィルターに汚れやほこりがたまりやすいのでしょうか。

高木さん「冬は厚い布団や衣服などの布製品の使用が増えるので、比較的多くのほこりが舞います。その意味で、夏よりも冬の方がフィルターに汚れやほこりがたまりやすいのではないかと思います」

Q.エアコンを夏まで使用しない場合、電源プラグは抜いた方がよいのでしょうか。

高木さん「電気製品の電源プラグをコンセントに差し込んでいる間は、電源が入っていない状態でも、少量ではありますが、待機電力が発生しています。そのため、エアコンを使わない季節や、旅行などで長期間自宅を留守にするときは、電源プラグを抜くことをおすすめします」

オトナンサー編集部

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