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【ドイツ】散歩に出かける→「全然終わらない!」“衝撃”のお散歩事情とは《海外在住の仰天エピソード》

  • 2023.1.31
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ベルリン在住のライター、河内秀子です。

寒い冬は、運動不足になりがちですよね。しかしドイツに来てから20年、特にここ数年で鍛えられたことがあります。それは「散歩」。

え、散歩って何か鍛えるものでしたっけ?

今回は、ドイツで家族や友人が集まると必ず始まる「散歩」についてです。

ドイツ人の“散歩”は1時間以上

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筆者撮影。ベルリンの壁に沿って植樹されている日本から贈られた桜の並木は、人気のお散歩コース

散歩って「3歩進んで、2歩下がる」ようなのんびりしたものだと思っていませんか?私もドイツに来るまでそう思っていました…。

が、しかし!

ベルリンで友人に初めてお散歩に誘われた時、私は素足にミュールをひっかけて出かけました。誘われたのは、ベルリン市民がちょっとした避暑気分で訪れる湖。

そして1時間後…いつ終わるとも知らない「散歩」に驚きつつ、砂に足を取られながら、よろよろと歩き続ける私がいました。最寄り駅からちょっと歩いたら、カフェでもあってお茶でも飲めるのかと思ったらそんなものはなく、友人たちはひたすら話しながら歩き続けています。

これは散歩じゃない!ウォーキングじゃないか!

なにはなくとも、人が集まれば散歩

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筆者撮影。身近に森や山があることもドイツ人のお散歩好きにつながっている?

単なる健康のためのウォーキングではなく、ドイツの人たちは何かと機会があれば「散歩」をするように思います。特にそれが顕著になるのは、実家に帰省した時。

例えばクリスマスの祝日、ゆったりブランチをとった後、「さあ、散歩に出かけましょうか!」と誰かが口火を切ります。外の気温が零下でもお構いなし。しっかり防寒対策をして、近くの公園や森に出かけることになります。

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筆者撮影。南ドイツ、アルプスにはハイキングコースがいっぱい。

クリスマスやイースターには、こってりした肉料理や甘いお菓子が欠かせないので、腹ごなしの意味もあるのでしょうか。しかし、散歩から戻ったら、また温かいコーヒーとお菓子が出てくるので、本当にカロリー消費に意味があるのかは謎です。

もしかしたら、親族の集まりでよく散歩に行くのは、テーブルで顔を突き合わせていると話しにくいことも、歩きながらなら言いやすいということも、あるのかも知れません。

パンデミックを経て、ますます高まるお散歩人気

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筆者撮影。2020年春、最初のロックダウン期間中の公園。スポーツコーナーは立ち入り禁止だが散歩はOKだった。

もともとお散歩好きなドイツ人。2020年、ベルリンでは3月23日から始まった接触制限・外出制限の防疫対策が、それに拍車をかけました。

“ロックダウン”といっても、ベルリンのそれはとても緩やかなもので、4月2日からは屋外での休憩(短いピクニックなどを含む)も許されていました。他人とは距離を取るように、と言いつつも屋外でのスポーツや散歩もOKで、公園はいつもより賑わっていたほどです。

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筆者撮影。最初のロックダウンの緩和が始まった2020年4月24日の公園の様子。

2020年の11月2日からスタートした、第2の“ロックダウン”は半年近く続きましたが、屋外の方が距離を取ればエアロゾル感染しにくいとされたこともあって、散歩が大流行。飲食店もテイクアウト営業のみしか許可されていなかったということもあり、友達と会う時には「散歩」が定番となりました。

どこかに行くための散歩ではなく、散歩そのものが目的なので、時間も行程も長く。しかしこもりっきりの生活の中で、多くの人たちにとってはほぼ唯一の外出の理由。友人たちと触れ合うことができる大切な時間でもあったと思います。

パンデミックを経て、ますます散歩の人気は高まり、さらにハイキングもブームになっているというドイツ。自然の中の散歩やサイクリングルートを紹介するアプリKomootや街歩きガイドアプリLialoも好評だそうです。

まとめ

ドイツに来て初めての冬、日本から持ってきた薄いヒールの靴をはいて歩いていたら、突然知らない人に「こんな薄い靴底の靴をはいていたらダメよ!女の子は体を冷やしたら良くないのに」と呼び止められたことがありました。

靴を買うときに、底の厚みのことなど考えたことがなかったので驚きましたが、ドイツ生活が長くなってくると、靴を選ぶ際にはデザイン性よりも、長時間散歩しても疲れにくいかどうか、を意識するようになってしまいました。

散歩とは直接関係ありませんが、ベルリンの道路は石畳がほとんど。華奢なヒールは、石畳の間に刺さってすぐ傷むので、こちらも買わなくなりました。いまでは2時間(以上)の散歩にも耐えられる靴ばかりが、靴箱に並んでいます。

 

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筆者:河内秀子(Twitter
東京都出身。2000年からベルリン在住。ベルリン美術大学在学中からライターとして活動。
編集:TRILLニュース