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新生活のお弁当作りに。プロから教わる銅の玉子焼き器のお手入れ方法

  • 2022.3.20
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新生活でお弁当作りをスタートさせる人に注目してほしい銅の玉子焼き器。良い道具には理由があった。正しく手入れして一生使いたい。

ふっくら玉子焼きが簡単。手入れも簡単な一生モノ。

玉子焼きを上手く焼くコツ。キッチンペーパーを使い、油を側面までなじませる。卵がジュッと音を立てるまで熱したら卵液を流し入れる。銅は熱しやすいので、その後は弱火で調理。
プロ用の商品を家庭でも使いやすい仕様にした浅商店オリジナルの「銅厚手たまご焼器」8,360円。通常1.2ミリの厚さを.5ミリにし、蓄熱性アップ。(浅1商店オンラインショップhttps://kama-asa.com/)

「新生活で調理道具を新調する人には、料理の腕に関係なく思い切って上質な道具を購入するのがおすすめです。初心者でも使いやすく、料理の仕上がりも格段に良くなる。銅板がすぐ温まるので調理の時短にも繋がるし、お手入れすれば一生使えて、長い目で見れば経済的なんです」と百合岡実希さん。

中でも入門編としておすすめなのが玉子焼き器。朝食やお弁当にも重宝するし、小さいので1人暮らしのキッチンでも場所を取らないのが理由だ。銅製の玉子焼き器は、専門店などでプロも愛用する品。熱伝導が良いので熱のムラが起きにくく、均一に火が通り、短時間で簡単にふんわりした玉子焼きが出来上がる。底に凹凸がないため焦げつきにくく、巻いた玉子焼きの表面が美しく仕上がるのも嬉しい点だ。ただ気になるのはお手入れ方法。

プロ用の品並みの手間がかかるのでは?とハードルの高さを感じている人も多いけど、実はとても簡単。「日常のお手入れはシュロのたわしで汚れを優しく落とすだけでOK。たわしは面でなく点で洗うので、洗剤などを使用しなくても汚れをしっかり落としてくれます。また完璧に油分を洗い落とさなくても、表面についた油膜が焦げつきやサビの防止にも役立ってくれるのです」一方で銅は酸や塩分に弱く、使用後、放置しておくと変色の原因に。調理後は料理を取り出し、早めにシュロのたわしで汚れを落として水か湯ですすぐのがおすすめだ。

「金属たわしなどでゴシゴシ洗うのは、表面を傷つけてしまうのでNG。また銅は湿気に弱いので、洗った後は乾いた布でしっかり水気を取るのがポイントです」銅は使い込むほどに変色してくるもの。この経年変化も道具の味わい。どうしても気になる人は、酢と塩で手入れすれば、元の輝きを蘇らせることができるのも銅の魅力だ。

初めて使うときのお手入れ

【用意するもの】
・スポンジ
・中性洗剤

まず準備するのは市販のスポンジと中性洗剤。スポンジは柔らかいものがベスト。布などでもOK。金属たわしは表面に傷をつけてサビの原因になってしまう場合もあるのでNG。

まずは全体を洗剤で洗う。

最初に使うときは洗剤を使って全体を洗う。これは製造の過程で表面についたホコリや汚れを落とすことが目的なので、ゴシゴシと力一杯磨いて表面に傷をつけてしまわないよう注意。油塗りはしなくてOK。

普段のお手入れ

【用意するもの】
・ふきん
・シュロのたわし

特にシュロのたわしは繊維が柔らかくコシがあるので、傷つけず、軽くこするだけで効率よく汚れを落としてくれる。〈浅商店〉では〈高田耕造商店〉の製品を中心に様々な種類を取り扱う。

Step#1 たわしで水洗い。
調理後は洗剤を使わず、たわしで水or湯洗いを。洗剤を使うと玉子焼き器になじんだ油膜が落ちてしまい、焦げつきやすくなってしまうことも。角にこびりついた細かい汚れなども放置しておくと腐食の原因に。

Step#2 しっかり拭く。
銅は濡れたまま放置すると緑青が発生しやすいので、洗った後は水気をしっかり拭き取る。乾燥させるため火にかけてしまうと、温度が上がりすぎ、内側に施してある錫(すず)の加工部分が剥がれる可能性が。

さびたときのお手入れ

【用意するもの】
・塩
・酢
・使い古した歯ブラシ

塩や酢は種類を問わず手頃なものを。酢がない場合はレモンの搾り汁での代用も可。歯ブラシは使い古しで十分。ない場合はキッチンペーパーや柔らかめの布で拭いてもOK。

塩と酢だけでサビが落ちる。

10円玉が緑色に変化するように、銅にはサビの一種である緑青が発生しやすい。これを除去するには塩と酢を1:1の割合で混ぜ合わせたペーストを使用。ブラシにつけて表面を磨くと、がんこな緑青も落とせる。

【LEARN MORE!】経年変化の変色はそのままが愛おしい。

ピカピカの銅も美しいけど、年期の入った道具もまた魅力的。経年変化と共に銅が酸化し黒くなった玉子焼き器。でも表面に適度な油膜があって焦げつきにくく使いやすいもの。料理の味にも影響しないので、無理に落とさずそのまま使って。

シュロのたわしは万能選手。優しく汚れを落とす。

ヤシ科の植物・シュロでできたたわしは鍋を傷つけず、流行の鋳物スキレットをはじめ様々な調理道具に最適。お手入れも、普段は水洗い後、水気を切っておくだけでOK。臭いが気になったら熱湯で煮て天日干しすれば、寿命も長い。

Teacher…〈釜浅商店〉広報・百合岡実希(ゆりおか・みき)

明治41年創業の老舗料理道具店〈釜浅商店〉の商品を熟知し、プロの料理人をはじめとする様々な人の料理道具の相談に向き合う。主婦でもあり玉子焼きを作るのは日課。

(Hanako1206号掲載/photo : Yoichi Nagano text : Kimiko Yamada edit : Nao Yoshida)

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