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頼りになるマンガ Vol.20:パワハラ上司と闘う勇気が欲しい。

  • 2022.3.20
さよならブラック企業 マンガ 単行本

パワハラ上司と闘う勇気が欲しい。

『無能の鷹』はんざき朝未/著

推薦者:近西良昌

堂々と意思表示する主人公に励まされる。

主人公は、一見バリバリ仕事ができるように見えるけれど、実は全然仕事ができない女性です。あまりの無能ぶりに社内ニートと化しています。

そのギャップのせいで誤解を生み、職場の人や取引先の人を毎回困惑させている主人公。しかし彼女は自分の能力を卑下したり、落ち込んだりせず真っすぐに受け止めていますし、職場では自分を偽ることなく、自己主張もはっきりとしています。

最強のメンタルを持つ彼女の姿を見ていると、「これくらい正直に発言してもいいんだ」「忖度したり我慢したりする必要はないのかもしれない」と教えられます。たまには空気を読まずに、思っていることをはっきり発言してみることが、解決の糸口になるかもしれません。

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無能の鷹 マンガ 単行本

『無能の鷹』はんざき朝未/著

〈むのうのたか/はんざき・あさみ〉
仕事ができそうでいて、全くできない主人公のOL鷹野と、無能そうに見えて、実はとっても有能な同期社員・田。仕事のパートナーとなった2人の間に不思議な化学反応が起き、彼らは奇跡の成果をあげ始める。既刊2巻/Kissコミックス(講談社)。

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近西良昌

近西良昌

ちかにし・よしまさ/1979年生まれ。〈三省堂書店海老名店〉(住所:神奈川県海老名市中央1-1-1 4F/TEL:046-234-7161)で20年以上コミックを担当。マンガ大賞選考委員。生涯のベストは森山大輔の『クロノクルセイド』(少年画報社)。

『動物のお医者さん』佐々木倫子/著

推薦者:川村豪

諦めと悟りの境地で上司と接する術が身につく。

学生や同僚から“破壊神”と恐れられ、何事も無茶ぶりする上司・漆原教授が主人公ハムテルほかの登場人物を振り回すのですが、このマンガを読むと諦めにも悟りにも似た感覚で、現実の上司と接する術が身につきます。

「そうかな…そうかも」「オレはやるぜオレはやるぜ」「このカシオミニを賭けてもいい」など、手書き文字が印象的なコマにも注目です!たびたび読み返す名作で、やる気を出したい時は「オレはやるぜオレはやるぜ」と心の中で繰り返し唱えています。

TVドラマ化もされましたし、インパクトのあるコマが多いので、令和の時代になった今でもSNSなどで話題になることがあるタイムレスな魅力にあふれたギャグマンガです。

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動物のお医者さん マンガ 単行本

『動物のお医者さん』佐々木倫子/著

〈どうぶつのおいしゃさん/ささき・のりこ〉
北海道の大学で獣医師を目指す学生と教官が入り乱れて日々騒動を起こす(巻き込まれる)“ドクトルコメディ”。準主役チョビの影響でシベリアンハスキー犬ブームまで巻き起こした。チョビの顔は忘れがたい。全12巻/花とゆめコミックス(白泉社)。

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川村 豪

川村 豪

かわむら・つよし/1973年東京都生まれ。秋葉原のアニメ・マンガの聖地〈書泉ブックタワー〉(住所:東京都千代田区神田佐久間町1-11-1/TEL:03-5296-0051)コミック担当バイヤー。97年入社、ラノベ担当を経て現職。

『さよならブラック企業 働く人の最後の砦「退職代行」』外本ケンセイ/著

推薦者:兎来栄寿

闘うか、逃げるのか。様々な選択肢を読む。

もしかしたらその上司だけが問題で、仕事自体や職場環境には問題がないのかもしれません。が、敢えてこの一冊をご紹介します。

こちらは実際に「退職代行」を生業とする弁護士監修の下で描かれた作品となっており、25歳のOLがそのサービスを用いてパワハラ上司のいるブラック企業を辞める物語から始まります。何かのきっかけで収まる程度のパワハラであればいいのですが、もしそうでなくそれが恒常的に強いストレスであり続ける場合は環境自体を変えてしまうのも一つの手です。

その際にこうした方法が存在し、このように退職している人もいるということを知っておくだけでも変わる部分があるのではないでしょうか。何よりご自身を大切にしてください。

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さよならブラック企業 マンガ 単行本

『さよならブラック企業 働く人の最後の砦「退職代行」』外本ケンセイ/著

〈さよならブラックきぎょう はたらくひとのさいごのとりで「たいしょくだいこう」/ほかもと・けんせい〉
パワハラ・過重労働・不当賃金が横行するブラック企業。辞めたいが、なかなか辞められないという悩みに、退職代行業を生業とする熱血弁護士の不知火が立ち上がる。既刊2巻/ヤングキングコミックス(少年画報社)。

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兎来栄寿

兎来栄寿

とらい・えいす/マンガソムリエ。10歳頃から神保町やまんだらけに通い、ジャンプ作品からトキワ荘・大泉サロン作家まで読み漁った生粋の愛好家。少年青年少女マンガからBL・百合まであらゆるジャンルを愛し布教する。

『ビリーバーズ』山本直樹/著

推薦者:青柳いづみ

パワハラに立ち向かえるかどうかはわかりませんが。

見えるものだけが存在する。見えないものは存在しない。と彼らは連呼する。目に見えない安住の地を目指して。
これはある宗教に関わる人々の話であるけれど、特定の宗教心を持たない自分はこうではない、こうはならない、とはこれを読んでからは言い切れない。

ここにいるのはどこにでもいる人、それは他人かもしれないし、隣人かもしれないし、私かもしれない。現実というのは意外に地続きじゃない。夢と現実の狭間のボートに乗って向かっている「向こう岸」というのは、どこなのか。私達はどこへ行くのか。

パワハラに勇気を持って立ち向かえるかどうかはわかりませんが、この後に続いていく『レッド』もおすすめします。パワハラとかの問題じゃなくなります。

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ビリーバーズ マンガ 単行本

『ビリーバーズ』山本直樹/著

〈ビリーバーズ/やまもと・なおき〉
カルト宗教〈ニコニコ人生センター〉にのめり込み、孤島で暮らす2人の男と1人の女。外部からの訪問者を拒絶し、やがて3人の人間関係も崩壊していく。ドライでリアルな心理描写は作者の真骨頂。タイトルの強さもさすが。全2巻/復刊ドットコム。

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青柳いづみ

青柳いづみ

あおやぎ・いづみ/1986年生まれ。俳優。〈マームとジプシー〉〈チェルフィッチュ〉などの舞台出演をメインに、今日マチ子との共著エッセイマンガ『いづみさん』、音楽家・青葉市子とのユニットなど多方面で活躍中。

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