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「1円でも安く」でスーパーの“はしご”は無駄な努力?値上げラッシュの今、考える

  • 2022.3.21
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「1円でも安く」…スーパーをはしごする人も
「1円でも安く」…スーパーをはしごする人も

買い物の際、「1円でも安く商品を手に入れたい」と考える人は多いようです。値上げラッシュのいま、スーパーをはしごし、より安い食材や生活必需品を買い求める人もいるのではないでしょうか。一方で、「はしごする労力を考えると、割に合わないのではないか」とする考え方もあります。「1円でも安く」をどこまで実践しているのか、家計を預かる主婦や1人暮らしの独身男性などに聞きました。

数十円ほどの差では“はしご”しない

夫と6歳の子どもと暮らすAさん(34歳)は、「1円でも安く手に入るに越したことはないけれど…」と話します。

「近所のスーパー3軒で、何がどれくらい安いのかを大体把握しており、『ティッシュはここ、野菜はあそこ』という具合に決めています。ただ、それぞれ場所が離れており、はしごすることはほとんどありません。行くとすれば1日に1軒です。

例えば、野菜を買う日にティッシュを切らした場合でも、1軒で済ませます。少し損した気分にはなりますが、せいぜい数十円ほどの差なので、わざわざはしごをする必要を感じません。10分かけて100円安くなるなら、ぎりぎり行くかなという感じです」(Aさん)

Aさんがコストパフォーマンスを計算するとき、次のような基準を採用しているそうです。

「『時給1000円に見合うかどうか』が基準です。それくらいの時給のパートをしているため、自分の時間を時給換算で割り出す癖が付いているのだと思います(笑)」

育ち盛りを含む子ども3人の世帯で、家計を預かるBさん(47歳女性)はどうしているのでしょうか。

「どのスーパーでは何が安いか分かっているので、その日に買うものに応じて2軒、3軒とはしごします。『1円でも安く』は常に頭にありますが、実際は1円単位までは細かく見ないですね。『他で買おう』となるのは10円以上の差がある時です。

子どもの食費がかかるので、その日の買い物が少しでも安く買えた手応えがあれば勝った気分になり、反対に高くなったと思えば負けた気分になります。買い物は私にとって、日々戦いです」(Bさん)

そんなBさんが、1円単位で値段をチェックする時があります。それは、スーパーの“特売日”です。

「特売日は、欲しい商品の価格を1円単位まで完璧に覚え、他のスーパーの価格と比べて『こんなに安くなっている!』とうれしくなってしまいます。ただし、“特売日”でも他のスーパーに比べて全然安くなっていないこともあるので、きちんと確認してから買うようにはしています」

“1円でも安く”スーパーで買い物をする際、Aさんは「労力に見合っているか」を重視し、Bさんは「買い物という日々の戦いに勝利するために」を念頭に置いているようです。

無駄な買い物を控える方が節約

一方、子どもが2人いる4人世帯で、家計は夫と共同で管理しているCさん(38歳女性)。昔は「1円でも安く」を実践していましたが、考えが変わったそうです。

「『1円でも安く』を気にしていたのは、夫と暮らし始めた最初の頃だけです。買い物は私と夫が交代で行っていますが、夫が行くと無駄な買い物が多いのです。それを見ていたら、私が1円でも安く買い物をすることに、あまり意味がないと思ってしまいました。

それならば、1円でも安い買い物をする努力より、夫に無駄な買い物を控えてもらう努力をした方が家計には優しい、と考えるようになりました。そして、私も1円でも安く買うよりも、お菓子など『なくてもいいけど欲しくなるもの』を買うことを我慢できるようになりました」(Cさん)

「1円でも安く買い物をする」も「無駄な物を買わない」も、どちらも節約へのアプローチです。本人が納得のできる方法を選択している、ということでしょう。

“納得感”に関連して、Dさん(34歳男性・独身)はこんな話を聞かせてくれました。

「けちだという自覚があるので、無駄だと感じられる支出は1円でも減らしたいです。でも、厳密に1円単位でカウントしているわけではなく、結構その場の気分なのかなと思います。例えば、積極的に『半額セール』の時間を狙ってスーパーに行き、弁当を半額で買えたらそれでもう満足で、浮いたお金で酒やつまみを買ってしまいます。

だから、自分の場合は、『1円でも安く買う』のは“節約のため”ではなく、“お得感・納得感を得るため”なのだと思います」(Dさん)

「1円でも安い買い物がしたい」という願望はあったとしても、それを徹底して実践したいと考える人はそう多くはなさそうです。各個人が、自分が納得できる節約スタイルを見出し、その中で節約を楽しんでいる…といったケースが多いように見受けられました。

フリーライター 武藤弘樹

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