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世界初DMV乗車レポ!徳島のおすすめ観光スポットもご紹介。

  • 2022.3.19
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2021年12月、線路と道路の両方を走ることができる世界初の乗り物「DMV」が、徳島県で本格営業運行を開始しました。国内ならず世界からも注目を集めるDMVに今回実際に乗車。あわせて徳島県のおすすめ観光スポットを巡ってきましたので、ご紹介します。

世界初の本格営業運行「DMV」とは?

走行するDMVは3台。太平洋の豪快な波を表現した「未来への波乗り」に「すだちの風」、坂本龍馬をイ メージした「阿佐海岸維新」(提供:阿佐海岸鉄道)。

DMVの正式名称は「Dual Mode Vehicle(デュアル・モード・ビークル)」。直訳すると、2つの形態を備えた乗り物となり、バスと列車の機能を備えた新しい乗り物です。その特性から「過疎地の交通手段の救世主」として各地の自治体に注目され、2008年の洞爺湖サミットで、デモ走行が行われ世界的に注目されました。開発から20年以上、なかなか実用化に至りませんでしたが、2016年、徳島県を走る阿佐東線への正式導入が決定されました。

徳島県南部、阿佐東線を走行するDMV。

途中の駅には阿佐東線の旧車両も置かれていた。

DMVが導入された阿佐東線は、徳島県海陽町と高知県東洋町にまたがる鉄道です。もともと、室戸を経由して徳島と高知を結ぶ「国鉄阿佐線」となるはずでしたが、1980年に国鉄再建法が施行されたことにより、赤字が予想されるこの区間は建設中止となりました。

その後、地元の要望により第三セクター「阿佐海岸鉄道」が設立。海部から甲浦間の工事を再開し、1992年に「阿佐東線」として開業しました。

DMVの路線図(提供:阿佐海岸鉄道)。

新たに運行開始したDMVは、徳島県海陽町の「阿波海南文化村」をバスとして出発し、「阿波海南駅」で車両を列車に切り替え、「阿波海南駅」から高知県東洋町「甲浦(かんのうら)駅」まで鉄道として運行し、終着駅「甲浦駅」で車両をバスに切り替え、スロープを降りて道路を走ります。バスとなったDMVは「海の駅 東洋町」を経由し、土・日・祝は、室戸岬まで駆け抜けます。

最大21名乗車可能なDMV。

阿波海南駅に停車しているDMV「未来への波乗り」。
DMV車内の様子。
押しボタンも設置され、車内はバスの趣。

DMVはトヨタのマイクロバスをベースに、線路走行用の鉄車輪を装備するなど改造されているため、車内は一般的なマイクロバスのような造りになっています。乗車可能人数は座席が18名、立ち席が3名の合計21名。現在は事前予約制を取っていますが、当日空席があれば予約なしでも乗車することができます。

DMVのバス列車、列車バスのモードチェンジを体感!車内アナウンスにも注目。

バスモードのまま線路に入る。
タイヤより前方から鉄道用の車輪が現れ……
列車モードにチェンジ!

バスから線路走行への切り替え「モードチェンジ」が行われるのは「甲浦駅(かんのうら)駅」と「阿波海南駅」。約15秒で乗客を乗せたまま線路では列車に、道路ではバスへとモードチェンジが行われます。

今回まず「阿波海南駅」にて、バス列車のモードチェンジを撮影させていただきました。車道を走ってきたDMVが線路に入り、停車位置で停まったらモードチェンジがスタート。車体前方から鉄道用の車輪がゆっくりと降りてきてきました。線路にしっかり車輪を下ろした状態だと、少し車体前方が上がっているように感じます。

続いて「阿波海南駅」にて、列車バスのモードチェンジを動画で撮影してみました。走ってきたDMVが停車位置ヘ向けて減速し、停車。今度は鉄道用の車輪を格納し、颯爽と車道の方へと走って行きました。

今度はDMVに乗車して、車内でモードチェンジを体感。車内ではアナウンスのあと、海部高校の郷土芸能部による「海南太鼓」のリズムと共に、10〜15秒間の「モードチェンジ」を体験することができます。やはり鉄道用の車輪が線路に降りると、DMVの車体前方が少し上に上がっていると感じました。ちなみに列車モードでの最高時速は60km。車内はバスのような風景なのに、ガタンゴトンという音を鳴らし列車の乗り心地で、高架を走る開放感が印象的でした。

鉄道車両に比べ製造費用が安く、既存の線路を活用できるDMV。

「宍喰(ししくい)駅」から「海部駅」の間には、トンネルとトンネルの合間に、那佐湾(なさわん)を望めるポイントも(提供:阿佐海岸鉄道)。

今回阿佐東線でDMVが導入された背景には、以下のようなDMVのメリットがありました。

・既存の線路を活用でき、大規模なインフラの整備が不要。
・鉄道車両に比べて製造費用が安い(市販のマイクロバスを改造)。
・車体が簡素なので点検作業の手間や時間が減り、低コストで運行できる。

さらに、阿佐東線ではこれに加えて、
・阿佐東線の始点が、JR牟岐線の終点のため、DMVの専用区間に最適。
・全長10kmと短いため、改修のための投資額をおさえることが可能。
・利用者が少ないため、車両連結ができないDMVでも十分対応が可能。

地域の新たな観光資源としての活躍が期待されています!

DMV公式サイト

DMVカレーが食べられる!DMV始発停留所の〈阿波海南文化村〉。

6つの施設が集まる〈阿波海南文化村〉。
海部刀や大里古墳のジオラマを展示する「博物館エリア」。

ここからはDMV乗車と合わせて楽しみたい、徳島のおすすめ観光スポットをご紹介します。まずはDMV始発停留所の〈阿波海南文化村〉。2021年9月にリニューアルオープンした複合施設で、創造・文化・歴史・交流とさまざまなテーマに応じた6施設を併設しています。

「DMVカレー」1,000円。
徳島県美馬郡つるぎ町半田の特産品である半田そうめんを「阿波や壱兆」が監修しアレンジしたメニューも。
あんこを挟み自分で組み立てて楽しむ「DMV最中」、鉄道ファンにプレゼントしたら喜ばれました。

飲食と販売スペースがある「三幸館エリア」には、DMVグッズをはじめ、徳島県のお土産が各種並びます。新たな名物「DMVカレー」をはじめ、四国のご当地カレーが豊富にそろっていてお土産としても人気です。このうちのいくつかは、飲食スペースでも提供されており、今回は「DMVカレー」をいただいてみました。

「DMVカレー」は、吉本興業で鉄道好き芸人として活動する鈴川絢子さんがプロデュースしたメニュー。DMVのモードチェンジをイメージして、高知県東洋町のぽんかんの果汁を使用した甘口カレーと、阿波尾鶏のミンチ入りの辛口のキーマカレーの2種類があいがけになっています。

青い海が映える空間で藍染め体験ができる〈inBetweenBlues〉。

〈inBetweenBlues〉外観。
〈inBetweenBlues〉内観。
〈inBetweenBlues〉内観。

DMVの停車駅「道の駅宍喰温泉」のほど近くに立地する〈inBetweenBlues〉。目の前のうつくしい海を眺めながら、藍染めと食藍が体験できるお店です。

徳島の〈Planetary Muffin〉に特注して作ってもらったというバタフライピーで藍色を再現したマフィンと、海陽町産のオーガニック天然藍「海部藍」の葉や種を使用した「INDIGO SEED TEE」。

店内には食藍体験ができるカフェとショップを併設。ショップでは、各種サーフギアや、素材にこだわった天然藍染のオリジナルベビーグッズ、海や青をテーマにした作品を販売しています。

店主・永原レキさんに教えていただく藍染体験は、カフェセット付きで一人5,500円。
タイ産シルク100%のハンカチを使って藍染。
窓の外の海ともリンクする深く鮮やかな藍色。

徳島の藍染は江戸時代に隆盛を極め、その伝統的技術は1968年に「阿波正藍染法」として県の無形文化財に指定されています。徳島は藍染めの元となる「蒅(すくも)」づくりの本場。藍染のうつくしさはこの蒅によるところが大きく、質が高い徳島の蒅は「阿波藍」と呼ばれて、高い評価を受けています。深く鮮やかな藍染めの青は、JAPAN BLUEとして世界に知られる日本を代表する色です。

〈inBetweenBlues〉では、うつくしい空と海を眺めながら、阿波藍プロデューサーの店主・永原レキさんから、天然藍染文化や藍染を学ぶことができます。

全室オーシャンビュー!太平洋に面するホテルで温泉を満喫〈HOTEL RIVIERA ししくい〉。

客室の窓の外には雄大な太平洋が広がる。
窓は東向きのため、季節によっては水平線から昇る美しい朝日を拝むことができる。
〈HOTEL RIVIERA ししくい〉外観。
印象的なフロントの大階段。
天然温泉「美肌の湯」。

DMV旅行を楽しむ拠点としておすすめしたいのが、同じくDMVの停車駅「道の駅宍喰温泉」の隣に位置する〈HOTEL RIVIERA ししくい〉。各部屋からみえるオーシャンビュー、耳になじむ波の音に、県南の自然を感じながら一夜が過ごせます。

また、パノラマの展望を楽しめる大浴場では天然温泉も楽しめます。その温泉は徳島県と高知県の県境の超深層1,000mから湧き出るナトリウム炭酸水素塩温泉。湯上りにはつるっとした肌ざわりになることから、「美肌の湯」として人気です。

徳島最南端の島「竹ヶ島」を一巡り〈海中観光船ブルーマリン〉。

先端のまるみが愛らしい〈海中観光船ブルーマリン〉。
〈海中観光船ブルーマリン〉の甲板。
船の地下に潜るとワイドビューの観覧窓が。
竹ヶ島海域は海水の透明度が高く、波が穏やかなため、幻想的な海中風景を堪能できる。
〈海中観光船ブルーマリン〉は〈海洋自然博物館 マリンジャム〉内の水族館入場券が含まれ大人一人2,000円。
観光船の受付がある〈海洋自然博物館 マリンジャム〉。

せっかく徳島のベイエリアにきたのなら、マリンアクティビティも楽しみたいもの。〈海洋自然博物館 マリンジャム〉が運行している〈海中観光船ブルーマリン〉なら、徳島最南端の島「竹ヶ島」を約40分で一巡りしながら、ワイドビューの観覧窓から水中のうつくしい熱帯魚やサンゴ礁を眺めることができます。

海中散歩は、海の透明度が高くなる秋から冬にかけてがベストシーズンですが、5月頃には珍しいシロボシザメの卵が発見できることも。暖かくなると産卵によって魚の数が増え、見られる種類が多くなります。台風後には黒潮に乗って、珍しい熱帯魚がやってくるなど、年間を通じて楽しめるスポットです。

周辺には、20種類以上のサンゴが生息。この海域のシンボルでもあるサンゴの一種「エダミドリイシ」の高被度群集が見られる地区として、1972年に「阿波竹ヶ島海中公園」の指定を受けており、約200年生きているという日本最大級の珊瑚を見ることができます。

海賊料理に舟盛り!豪快に海の幸を楽しむ〈民宿しらきや〉。

圧巻の舟盛り(写真は約10人分)。
創業約50年を迎える〈民宿しらきや〉は、クチコミで訪れる人が多数。

海辺ならではのおいしい料理が味わいたいなら、夏場は予約が取れないほど人気となる〈民宿しらきや〉で食事をするのがおすすめ。3代目となる主人が近くの牟岐漁港から、その日の朝に南部で上がった魚を生きたまま仕入れています。年間を通して、新鮮な旬の魚を思う存分味わえます。

活きの良いアワビやサザエ、エビ、オオアサリ、伊勢海老、ホタテなど(写真は2名分)。
オプションで徳島県産の伊勢海老も味わえる。
海鮮はスタッフが目の前で適切な状態に焼き上げてくれる。
食べきれないほどの料理が出てくる。

こちらの名物はアワビやサザエ、エビなど6種類の魚貝を、目の前で焼きながら豪快にいただく「しらきや特選海賊料理コース」7,150円〜。お造りや一品、ごはんにみそ汁、自家製デザートなども付いており、大満足な内容となっています。旬の魚のお造りは、8名以上で豪華な舟盛りに。一品は日替わりのあら炊きなど、仕入れによって内容が変わり、プラス料金で伊勢エビや阿波牛の追加も可能です。

四国のチベットに出現した、世界一美しい〈未来コンビニ〉。

ゆず畑をイメージした、近未来的なデザインの〈未来コンビニ〉。
外にもイートインスペースがある。
〈未来コンビニ〉内観。
店内にある〈YUZUCAFE〉では、イベントなども開催される。
「なかほら牧場のソフトクリーム」450円のほか、香りが強く上品な酸味が特徴の名産品「木頭ゆず」を使用した、オリジナルメニューがそろう。

DMVが運行する海洋町エリアから少し足を伸ばして、世界一美しいコンビニと言われる〈未来コンビニ〉へ。徳島市内から約2時間半、「四国のチベット」と呼ばれる人口約1,000人の限界集落・那賀町木頭(きとう)地区(旧木頭村)の買い物難民を救うため、同地区出身の実業家・藤田恭嗣さんが作った地区唯一のコンビニエンスストアです。

地区の特産品は、香りと酸味の強さが特徴の木頭ゆず。〈未来コンビニ〉はそのゆず畑をイメージし、トラス構造の柱を黄色く塗ったスタイリッシュで近未来的なデザインが印象的です。その個性的なデザインや店舗コンセプトから、世界三大デザイン賞『レッド・ドット・デザイン・アワード』最優秀賞受賞をはじめ、国内外のデザイン賞、建築賞10冠に輝き、現在では県外からの来店者も多数。最多来店数は1日400人以上、これまでに延べ55,000人が来店しています。

地域のストーリーから生まれるコーヒー〈カモ谷製作舎〉。

〈カモ谷製作舎〉内観。
四国のお遍路にちなんだ豆など、個性的なネーミングのコーヒー豆が揃う。
オーナーの岡崎ご夫妻。
パッケージデザインもオシャレ。

2020年11月にオープンした、移住者のご夫婦が営む自家焙煎のスペシャルティコーヒーと衣料のお店〈カモ谷製作舎〉。コーヒー店を岡﨑裕樹さんが、セミオーダーの衣料店は岡﨑有美さんが担当しています。コーヒーは、全世界で生産量5%に満たない高品質のコーヒーをそろえており、販売している8種類の豆は全て試飲が可能。大阪でバリスタをしていたこともあるという岡﨑裕樹さんが、コーヒーの淹れ方のレクチャーもしてくれます。

販売しているコーヒー豆それぞれにストーリーがあり例えば、そのひとつ「ワカスギヤマ」はお店がある加茂谷地区に、日本の起源である邪馬台国ではないかと言われる場所のひとつ「若杉山遺跡」があることに由来します。さらに、使用しているマメの産地・エチオピアが、コーヒー発祥の地といわれる場所であるという、ふたつの歴史を重ねて名付けられました。

徳島の新名物グルメ!黄金のダシが美しい鯛塩ラーメン〈麺STATION 鯛太郎〉。

「鯛塩そば」830円に「煮玉子」100円をトッピング。
ラーメンにプラス280円で「鯛めし」セットも可能。

徳島といえば徳島ラーメンが有名ですが、2015年頃にラーメン界の新潮流として鯛だしラーメンが登場しました。〈麺STATION 鯛太郎〉の「鯛塩そば」は、無添加・無科調で、地元で採れる新鮮な「鳴門鯛」を使ったダシのうまみを最大限に生かしたラーメンです。特産のユズを使った柚子胡椒とスダチが添えられ、ピリリと辛い柚子胡椒と、あっさりさわやかなスダチ、2つの味変が楽しめます。

トッピングの煮玉子には、伊勢神宮にも奉納されている「阿波手摘みたまご」を使用。単品でライスを注文して、鯛塩ラーメンのスープをかければ「鯛茶漬け」として楽しむこともできます。

子育て支援スペースがあるカフェ〈CAFE and BAR NuuN〉。

〈CAFE and BAR NuuN〉外観。
〈CAFE and BAR NuuN〉内観。
奥には子育て支援スペースがあり、子育て情報の交換の場としても活用。
「すだちケーキ」400円など〈パティスリー小土手〉とコラボしたケーキも販売。

JR「阿南駅」から徒歩約5分、商店街にあった元薬局店の廃ビルをリノベーションした複合施設〈NuuN〉があります。1階は〈CAFE and BAR NuuN〉で、2階や3階はコワーキングスペース、ゲストハウス(2022年オープン予定)の機能を持った3階建てのビルです。

藍にハーブの一種・バタフライピーをブレンドした色鮮やかな「藍茶」はレモンを絞ると……。
青から紫へと変化!

〈CAFE and BAR NuuN〉の奥には広々とした子育て支援スペースがあり、子育て情報の交換の場としても活用されています。11時以降は〈CAFE and BAR NuuN〉のテイクアウト商品の飲食も可能。阿南駅周辺を訪れる旅行者や地元の人が気軽に立ち寄れる場所になっています。

東京・羽田空港から約1時間15分でアクセスできる徳島へ。

東京からも飛行機を使えば約1時間15分でアクセスできる徳島。週末一泊二日でも楽しむことができるので、次の旅先候補として検討してみては?

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