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実は耳かきはしなくて良い!? 正しい耳かきの頻度とやり方を医師がアンサー!

  • 2022.3.9
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突然ですが、耳かきの頻度は決まっていますか?どのように耳かきをしていますか? 今回は、「東京みみ・はな・のど サージクリニック」の名誉院長である市村恵一先生に耳かきのNG行動や正しい頻度について聞きました。

代表的な耳かきのNG行動を教えてください

東京消防庁から「耳かき中の事故に注意!」という警告が出ています。一番問題となるのは耳かき棒が外耳道(耳の穴)の奥に達し、外耳道の皮膚を傷つけて血が出たり、鼓膜を破ったり、その奥の耳小骨が外れて聞こえなくなってしまうことです。
それを避けるための耳かき時のNG行動は以下です。
(1)先の硬いもの、細いものを耳の穴に入れる
(2)耳かきの最中にペットを近付かせる ※ペットがぶつかってこないよう、耳かきの最中は自分だけの空間で
(3)耳かきをしながら動き回る ※転倒する危険性があるので、動かない
(4)子供のいる前で耳かきをする ※子供が大人の真似をして耳かきをして、出血したり鼓膜を破く例が少なくありません。都内では年間30件ほどがそのために救急搬送されています。
(5)触って痛いと感じる部分に触る

正しい耳かきのやり方と頻度を教えてください

出典: 美人百花.com

そもそも耳垢とは、鼓膜の外側にある皮膚層から皮膚の表面が耳の穴の入口の方へ向かう途中で軟骨部にある耳垢腺からでる油脂や脱落した外耳道表層の細胞、埃などが一緒になったもののことを言います。自然に排出されるので基本的には耳かきの必要はないのです。ただし、イヤホンや補聴器、耳せんなどを入れると、排出されてきた耳垢が止ってしまいたまってしまいます。こういうときは取った方が良いでしょう。また、病的にこうした自然排出の機能が弱い人がいますので、こういう人もとった方が良いです。耳垢がたまりすぎると難聴の原因になりますし、そこから出てくる酵素により、外耳道の皮膚や骨が侵食されてしまい、「外耳道真珠腫」という厄介な病気になってしまうこともあります。そうすると耳鼻咽喉科での治療が必要になります。耳垢が詰まったら一度耳鼻咽喉科を受診し、自分の耳がどういう状態か診てもらい、耳掃除が必要かどうか、またその頻度なども教えてもらうと良いでしょう。そういうことがなければ、耳かきはせずに、湯上がり時にタオルで耳の穴の入口を拭く程度でいいのです。

耳かきのし過ぎで起こりうる症状を教えてください

耳掃除は基本的には必要ありませんが、耳をいじることは気持ちいいし、耳かきをすると落ち着く、逆にそうしないと落ち着かないという人までいて、耳かきは日本人の習性になっていますね。耳の穴はさまざまな神経の支配をうけており、自律神経を整えるために気持ちよくなるのかも知れません。しかし、耳掃除をしすぎる人の耳の中を診るとツルツルに光った状態で、外耳道湿疹になっています。外耳道の皮膚を刺激することにより皮膚に傷がついて、炎症が起こります。その程度によりひどい炎症では痛みが出る外耳炎になり、軽い炎症では痒みを引き起こす外耳道湿疹になるのです。痒いところをかくとそれが刺激になって炎症細胞が集まってきて症状がさらに悪化します。外耳道湿疹の患者さんを診ていると、痒いので掃除する→その時は気持ちよくなるがまた痒くなる→耳掃除する→そのうちカサブタができたり、耳の中がじゅくじゅくしてくる→耳掃除を控える→良くなったらまた掃除をはじめる、という悪循環ができあがっているのです。耳掃除のし過ぎは先に述べた外耳道の自浄作用も害して、耳垢も多くなる原因になります。

教えてくれたのは

出典: 美人百花.com

「東京みみ・はな・のど サージクリニック」名誉院長 市村恵一先生

東京大学医学部医学科卒業。医学博士、自治医科大学名誉教授、日本耳鼻咽喉科学会認定専門医、日本耳鼻咽喉科学会認定補聴器相談医、補聴器適合判定医(厚生労働省)、日本気管食道科学会認定専門医。鼻血を繰り返す全身性の難病「オスラー病」の数少ない権威でもあり、全国から患者が訪れる。耳と鼻、気道といった耳鼻科全般の豊富な経験を持ち、現在は耳鼻咽喉科領域の短期入院手術を行っている「東京みみ・はな・のど サージクリニック」の名誉院長を務め、手術の他に補聴専門外来を担当。

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