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フリーターの彼と結婚を前提に交際するのってあり?【ひとみしょうのお悩み解決】

  • 2022.3.9

“【お便り募集】文筆家ひとみしょう お悩み解決” に送っていただいたお便りの中から、お悩みをひとつピックアップしてひとみしょうさんがお答えします。

「あいすさん31歳女性」のお悩み

今から新しくお付き合いを始めるのであれば、結婚という関係性を少し意識したいと思っているのですが、先日フリーターの男性から告白されました。
私も一緒に過ごしてみたい、と思っていた相手なのですが、年齢的にも今から正社員に就職できたとしても、今よりは稼ぎが落ちてしまうそうで、フリーターを続けていこうと思っている様です。
それが気になってしまって、お付き合いに踏み切れないのですが、やはりそれは重要なポイントでしょうか?
私も働いているのですが、自分の分の稼ぎしかなく、将来が不安です。

〜ひとみしょうのお悩み解決コラム〜

あいすさんが「フリーターの彼ではちょっとなあ」と思うのであれば「なし」だし、「フリーターでもOK。ふたりで力を合わせてやっていけばいいのだから」と思えるなら「あり」です。という答えになります。

お金のこと、恋愛のこと

「お金のこと」って、恋愛や結婚と分かちがたく結びついており、別々に考えることは不可能です。

ときどき「彼の稼ぎをあてにする女子っていかがなものか」などと言う人がいますが、そういう人であっても、恋愛(結婚)とお金のことは、心の中で分かちがたく結ばれています。「稼ぎの少ない彼とは付き合えない」というのは、なにも「打算的」な女性だということではなく、ごく自然な心の動きであると言えます。

我慢の結果

というわけで(?)、「いい」彼女をゲットして結婚したいと思っている男は、まずもって「いい」お給料がもらえる会社に就職しようとします。そのチャレンジは早ければ小学校受験から始まっています。彼の親が「いい学校に入ればいい会社に就職できて……」ということを彼に繰り返し言って聞かせます。子はそれを鵜呑みにして勉学に励みます。途中途中で、勉強を無理強いするわが親をうらめど、やっぱり「いい学校に入らないといいお給料を手にすることはできない」と彼も思うからです。

というような感じで大人になり、実際にいいお給料を手にできた男は、ある日思います。

「こんなにブラックな上司とブラックな会社で働くことになんの意味があるのだろう」と。あるいは「意味のない書類をつくる毎日に、なにか意味があるのだろうか? 会議のたびに他部署と連携して、何日もかけて上司の席次を決める、そんな無駄な仕事になにか意味があるのだろうか」と。

みなさんよくご存知のとおり、「いいお給料」を払ってくれる企業はある程度規模が大きく、そういう会社においては「無駄」なことが「仕事」として成立しており、それをやるなかで「無駄な仕事に意味はあるのだろうか」と疑問を抱くと、もうアウトです。あとには「我慢」の人生が待ち受けているのみです。花形の部署で上司に恵まれ、やりがいのある仕事をしている人なんて、ごく少数、運のいい人に限られるのです。

「花形の男性」の裏の顔

無駄な仕事に「意味」を見出そうとしても、たいていの場合、それは見つかりません。無駄なものはどこまでいっても無駄だからです。

彼はやがて絶望するようになります。「あんなに頑張って受験勉強して、大学を出ていい会社に就職してもこれか。生きがいとかやりがいとか、そういうものってどこにあるのだろう?」

つまり、あいすさんのみならず、(おそらく)多くの女性が理想としている「いいお給料をもらっている男性」は、じつは絶望している男かもしれないのです。

そういうのって、ぱっと見ではわからないんです。いつもいい洋服を着ていて、喋れば前向きなことを言う人に限って、じつは絶望しており、酔うとDV男に豹変する、なんて、べつに珍しいことではありません。

ふたりで月30万円

ではどうすればいいのか?といえば、経済的に自立している女性を見ると答えは明らかです。彼女たちは自分の稼ぎで十分食っていけるので、「自分が好きな男性」を自由に選べます。フリーターであっても性格がよければ結婚します。

つまり、あいすさんが経済的に自立していれば、ほぼ自動的に答えが出るのです。

しかし、それが今の時代とてもむずかしい。

個人の能力うんぬんではなく、国が派遣社員という職種をつくってしまった結果、手取り15万円くらいで暮らすしかない男女が激増しました。15万円で「好きな男性」を「自由に」選べるはずがない。

というわけで、ふたりで助け合いながら(稼ぎを持ち寄って)暮らす、というのが、ぼくはいいのではないかと思います。「男は稼ぐ役割」「わたしも稼ぐけど、基本、彼の収入をベースに」なんて考えは、日本の(この腹立たしい)派遣社員激増の時代にそぐわないからです。

「ふたりで頑張って働いて、合計30万円あればなんとか楽しく暮らせる」をベースに、ではどういうパートナーと一緒であれば、楽しくご機嫌に暮らせるのかを考えるのが現実的ではないかと思います。むろん、そういう考え方がすべてではありませんが、そういう考え方も「選択肢の1つ」と思って検討してみてはいかがでしょうか。腹が立ちますが、日本経済の構造がそうなっているので。

お互い頑張っていきましょう!

(ひとみしょう/作家・キルケゴール協会会員)

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