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ネットプロ女子への道は1日にしてならず!

  • 2015.9.5
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ネットプロ女子への道は1日にしてならず!

仕事に美容に恋愛に、女の人生ってけっこー大変! 私はこのままでいいのかな? 幸せになれるかな? そんなモヤっとした悩みを浄化し、毎日がもっと楽しくなる痛快エッセイを、毎週土曜日お届けします。

有名人と恋愛した~い。そんな夢を叶える“プロ女子”の噂は聞いたことがあるけど、ネット時代には自己演出も必須科目なの?なかなか時代の波に乗れないアラサー女子に裏ワザあり?


【恋愛はしたいけれど1mmも傷つかずに生きたい】vol.7

ネット時代の身のこなしは難しい。使い方はわかっているのに、どう使ったらいいかわからない。友達にどこまで何を伝えるべきか小さく迷ってばかりいる。加工バリバリのキメ顔自撮りや、悪口に近しい本音投稿、ニュースに対する長〜いオレ論…1つ1つ読みながら反面教師にしていたら、結局仕事の告知や誕生日メッセージのやり取りでしか使えていない日々が続く。

それと同時に、友達の投稿にもどこまで反応したらいいのか迷い続けている。ある友達は仕事の愚痴を話していたから、ドンマイと励ましてみても可憐にスルーされ、またある友達は新たな目標を述べていたので、参考になりそうな話を出したらまたしても空気を読み間違えた。ここでの満点回答は「頑張ってる○○ちゃん凄い!」であった。

結局こうして空気を読み間違えるのもまた怖くって、もっぱら“いいね”ボタンを連打する日々がつづく。いいね。いいね。いいね。

ネットプロ女子の発信力には種類あり

そんな難しいネットの中でも、個人的に“ネットプロ女子”と勝手に呼ぶ数名の女子がいる。彼女たちはいたってフツーの一般人なのだが、いわゆるネット上でのセルフプロデュース力にたけており、キラキラ充実した日々をセキララ(風)に投稿する女子のことだ。

毎日アップする子もいれば月に数回と頻度こそバラバラな彼女達だが、みんな頑張っていることや好きなこと、最近の近況報告を上手に行い、高い発信力を身につけている。

アンチも多少いるのかもしれないがそこは気にしていないらしく、あるネットプロ女子は、プチ炎上騒動を起こしていたけど今もせっせと近況をアップし続けている。

★改ページ

キラキラ系に飲み会をなかったことにされる

ワタシの学生時代の友人A子は、このネットプロ女子と認定した一人だ。ネットプロにも勝手にジャンルがあると思っているのだが、彼女の場合は「今日は○○さんとランチしました☆」「話題の本をゆっくり読みます。コーヒーの香りでリラックス」という感じで、なんだかリア充臭が満点のプライベート充実系。ちなみに他にも「今日も深夜残業だけど頑張ってます」と仕事自慢が続くバリバリお仕事系や、どこにそんな時間が? と思ってしまうくらい子供に手間をかけた成長日記として使うキラキラ子育て系などがある。

そんなA子と平日の夜にオヤジ臭い居酒屋でサシ飲みをしたときのこと。いつものようにパシャパシャと料理写真を撮影していたので、てっきり充実日記の1ページとして加えられるのかなと思っていたが、後日、特にそういうことはしていなかった。それどころか飲み会の次の日、彼女の投稿には「オシャレなカフェバーで女子会をしました」という、あたかもその日、別の女子会をしたかのような投稿がアップされていた。

ネットプロ女子に密かな試し

「昨日はたしか私とオッサン居酒屋で飲んでいたハズ…」

その時はじめて気付いたのだが、彼女はしっかりキラキラした自分が演出できる場所や人だけ選んでネットにアップしているようだった。ある日はスタバでのお茶風景。そしてある日はオシャレなダイニングでの女子会。はたまたある日は話題のスポット紹介などなどなど。私のような職種の女とオッサン飲み屋での食事は、楽しかったかは別として“ワタシの日常”として回りの皆さんにお知らせするに値しないと思われたようだ。

まあ待て。これは勘違いかもしれない。そう思いたい私は、こんどはA子を含めた学生時代の女友達数名で、同月生れの誕生日パーティーをすることにした。場所は恵比寿にあるオシャレでカジュアルなイタリアンダイニング。テーブルにはキャンドルが設置されて雰囲気は最高。キラキラした女の子はこういうところで、カプレーゼとワインで「ヤミー☆」とかって言うはずだ! そんな思い込みをしながらも、ド派手なピンクの下着を30歳の記念に贈呈しながら、彼女の明るい笑顔を見守った。

芸能人ばりの自己演出に脱帽!

そして数日後、どうなるかな〜と思いながら、彼女の投稿をウォッチしていると、さすがの誕生日投稿が上がってきた。

「会社の同僚たちに、誕生日を祝ってもらいました。20代は遊んでばっかりの私でしたが、こうしてお仕事関係の方にも祝っていただけることは誇りです。もっと色々頑張ります。ありがとうございます」

そんなキレイな言葉とともに、同僚たち数名のタグ付けと、集合写真が掲載されていた。

さすがはキラキラ女子!

彼女の本心は確認していないけれど、特別な日はいつものプライベートアピールよりも、真摯にまわりの方への感謝を述べる方が好印象なのは明白。あざといを通り越して、芸能人ばりの自己演出に惚れ惚れしてしまった。

キラキラを作り込めない自分の不器用さ

実は私もアピール上手になりたいと思い、彼女を見習い色々やってみた時期があるのだが、早々に挫折した。TwitterやFacebook、インスタグラムと複数種類のSNSを駆使するには、そもそも発信内容を考え、ネタを使い分け、写真を撮り、加工する必要があった。外食風景を書いてみようと思ったが、大体が酔っぱらっているから写真も文面も適当。なにより、派手“そう”な日常がネットに並ぶことに自分自身が耐えられなかった。

別に何も考えず楽しめばいいじゃ〜んと思うだろうが、それなら誰にも見せない日記帳にしたためればいい話。しかし私のような考えすぎるひねくれ者でも、ときどき周りに分かってほしい気持ちがポコンと目覚める瞬間がある。そんなときネットの海にどう書いたらいいのかわからず、わたわたとネット上で呼吸困難におちいるのだ。だから日頃からもう少し馴染んでおきたい気持ちもあるのだけど、やっぱりできない日々が続く。

普通の日常をキラキラ見せるメリットはあると思うのだが、実際会ったとき「なーんだ、この人フツーじゃん」と相手に思われることは“ただの日常”を送るよりも数倍ダサい気もする。そう思ったら、どこまでいっても庶民的な自分の日常に脚色する気が失せた。

ひとまず自分のネットプロ女子への道は保留にしつつ、最近ちゃんとした素敵な日常を目指し、オシャレでグルメなお店を密かにリサーチしている。先日その中の1店舗で女友達と食事をし、いつも通り下世話な話に花を咲かせていたところ「この店ではちょっとその話はボリュームが…」と友人にたしなめられた。ネットプロ女子への道はまだまだ遠い。

おおしま りえ/雑食系恋愛ジャーナリスト・イラストレーター

10代より水商売やプロ雀士などに身を投じ、のべ1万人の男性を接客。20代で結婚と離婚を経験後、アップダウンの激しい人生経験を生かし、現在恋愛コラムを年間100本以上執筆中。そろそろ幸せな結婚がしたいと願うアラサーのリターン独女。

HP:http://oshimarie.com

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