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ドキュメンタリー好き・長崎訓子(イラストレーター)、忘れられないあのシーン。『消えた16㎜フィルム』

  • 2022.2.25
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『消えた16㎜フィルム』イメージイラスト

若き才能が集まって自主映画を撮影しているシーン

10代で何かを作りたい衝動がある女子(だけじゃない全人類ですね)って、年上の“クリエイティブな男性”に惹かれてしまう。そういう構図はいつの時代にもありますよね。ハラスメントとして、その復讐のために告発する作品もあるかもしれない。

でも、この映画を観ていると、誰かを糾弾する感じでもなく、起きた出来事を丁寧に取材して客観的に見つめ直し、青春時代の美談にすることなく、謎を謎のままに提示している。不思議な風合いの作品です。

『消えた16㎜フィルム』

また、この映画に登場する自主映画『Shirkers』の撮影風景や、彼女たちが図書館のコピー機で作っていた映画雑誌、当時の日記、手紙などが手作り感のある映像で挟み込まれているんですが、その熱量の半端なさは感動ものです。

映画は劇中でも「雰囲気だけで作られた」と言われているけど、そこもいいですよね、自主映画らしくて。このフィルムが完成していないっていうところも夢があります。

今は仕事上、ある意味ジョージの立場になりましたが、若い才能とやる気を搾取するだけのオジサンには気をつけて!という意味も込めて、もの作りをする若者に観てもらいたいです。

『消えた16㎜フィルム』イメージイラスト

Information

『消えた16㎜フィルム』

映画製作講座で出会った映画オタクの少女たち。主人公のサンディ、友人のジャスミン、ソフィーは講師だった自分の倍以上の年齢の男性ジョージと長編自主映画を撮影。しかし撮影後、ジョージはフィルムとともに姿を消す。25年後、サンディのもとにジョージの元妻から彼の訃報、そしてフィルムが送られてきた。なぜあのときフィルムは消えたのか。サンディは謎を探る旅に出る。Netflix独占配信中。

profile

長崎訓子(イラストレーター)

ながさき・くにこ/イラストレーターとして書籍の装画や挿絵を担当。絵本、漫画、映画に関するエッセイなど多方面で活動中。

twitter:@nagasakiku

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