1. トップ
  2. グルメ
  3. 「杏仁茶(シンレンツァー)」&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ

「杏仁茶(シンレンツァー)」&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ

  • 2022.2.21

台湾の人々に愛され続ける伝統ドリンク。

出典 andpremium.jp

「杏仁豆腐(あんにんどうふ)」は日本でも広く愛されているスイーツだが、「杏仁茶」の名を聞いたことがある方は多くないはず。これは「杏仁/きょうにん(あんずの種子の中身)」をすり潰し、氷砂糖や水を加えて煮込んだドリンク。米を加えることも多く、とろりとしているのが特色だ。原料となる杏仁は、生薬である「北杏」と食品に用いられる「南杏」の2種類がある。杏仁茶に用いられるのも甘味の強い「南杏」。ビタミンEが豊富に含まれており、美容や安眠に良いほか、咳や喉の痛みにも効果があるという。中華パイや揚げパンを浸けて飲むスタイルも定番で、おやつとしてだけでなく、朝食や夜食にも好まれる。残念ながら、最近は杏仁茶を扱う店は少なくなっており、今回の手作り杏仁茶を味わえる2軒は貴重な存在だ。

出典 andpremium.jp

中華菓子の老舗が供する中華パイ付き杏仁茶。

古い家並みが魅力的な迪化街。その北側に位置する『李亭香』は5代目の李佳陽さんが切り盛りし、「若い人たちにも伝統菓子を味わってもらいたい」と日々奮闘している。パッケージや商品のデザインを磨くのはもちろん、2020年には店舗をリニューアルし、洒落たカフェを併設。様々な伝統菓子と台湾茶が楽しめ、杏仁茶と泡餅のセットも人気。泡餅とは内側に麦芽糖が塗られた中華パイのことで、これに熱々の杏仁茶を注ぐ。さっぱりとした風味の杏仁茶とやさしい甘さの泡餅はベストマッチで、一口食べるごとに舌も心も躍るはず。もちろん、泡餅自体も評判が良く、業務用に購入していく店が少なくないという。なお、杏仁茶の粉と泡餅はお土産用もあるので、自宅で作る楽しさもある。

李亭香
リーティンシャン

台北市大同區迪化街一段309號 02‒2557‒8716 10:00~19:00 旧正月休 杏仁茶と泡餅のセット「手沖泡餅」は150元。ピーナッツ菓子も人気。

出典 andpremium.jp
出典 andpremium.jp

杏仁茶が苦手だったという店主が開いた専門店。

繁華街「東區」にある小さな屋台。店主の郭維榮さんは、以前、杏仁茶が苦手だったというから驚きだ。街で見かける杏仁茶は香料を用いていることが多く、刺激の強いケミカルな匂いが受け入れられなかったのだという。しかし故郷の高雄で伝統的な杏仁茶に出合い、そのおいしさに目覚める。現在は杏仁を水に浸すところから始め、オーブンで焼いて水分を取り除き、鍋で煎ってからすり潰して煮るまで、十数時間をかけて作り上げている。米を含んでいるので満腹感を得やすく、自然な甘さと適度なとろみが好評だ。地元の常連客はもちろん、母乳の出を良くすることから、産後ケアセンターからも注文が入るという。「苦手な人にこそ飲んでほしい」という自信の杏仁茶を楽しみたい。

原杏
ユエンシン

台北市大安區忠孝東路四段248巷1 號 0932‒857‒504 14:00~21:00 隔週で月か日休、旧正月休 杏仁茶65元~。油條(揚げパン)は+15元。

出典 andpremium.jp

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 99 2022年3月号「&Taipei」に掲載されたものです。

台北在住ライター・コーディネーター 片倉真理
出典 andpremium.jp

1999年から台北に暮らす。台湾に関する書籍の執筆、製作のほか、雑誌のコーディネートなども手がける。台湾各地を隈なく歩き、料理やスイーツから文化、風俗、歴史まで幅広く取材。著書に『台湾探見』、共著に『台湾旅人地図帳』(共にウェッジ)、『食べる指差し会話帳』(情報センター出版局)など。

元記事で読む
の記事をもっとみる