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食後の眠気の原因は? 専門医が説く睡魔のメカニズムと防止法

  • 2022.2.19

いつでも、どこにいても襲われる可能性がある――ランチに大きなハンバーガーやパスタを食べた後、ついビュッフェで一皿余分に食べてしまった後、そして、サンクスギビングでターキーと付け合わせの料理をたっぷり食べた後にも。そう、あの厄介な「食後の睡魔」のこと。

眠気を感じてしまったときにはもう手遅れで、どうすることもできない。これを経験したことがある人ならおわかりのとおり、この眠気が不快なものであることは否定できないはず。しっかり昼寝ができればベストではあるけれど、できない場合も多々あるし、できれば自分の思い通りに寝たいもの。

この「食後の睡魔」にはさまざまなウワサや風説があるものの、消化器病専門医のサマンサ・ナザレスさんは、「ターキーなどに多く含まれるトリプトファンが脳内の血流に入ることで眠気に襲われるということはない」と説明している(ちなみに、トリプトファンは食品中に含まれている必須アミノ酸のひとつで、睡眠サイクルに影響を与えるセロトニンやメラトニンといったホルモンを作る役割を担っている)。

Women's Health

ナザレスさんは米版ウィメンズヘルスに対し、「脳内の血流は高度にコントロールされていますし、いかなる理由でも停止しないというだけのことです」と説明する。また、脂肪分の多い食べ物のほうがトリプトファン以上に眠気を引き起こす可能性があるということが研究で明らかになった時点で、「トリプトファンが眠気を引き起こす」という説は否定されたとも付け加えている。

では、食後の睡魔とはどんなもので、なぜ引き起こされるのだろうか。その予防法を含め、改めてきちんと知っておきたい情報をチェックしていこう。

そもそも食後の眠気とは?

ナザレスさんによると、食後の眠気は医学用語で「食事性低血圧」や「食後低血圧」と呼ばれているそう。彼女は「簡潔に言うと、食後に眠くなることです」と言い、眠気に襲われる、意識がもうろうとする、横になりたくなるといった症状があると説明する。

一般的に、食後にはエネルギーが低下するが、その理由は人体の生物学的特性に基づいている(詳しくは後述)。

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食後の睡魔に襲われる原因は?

ナザレスさんの説明によると、食後の眠気が引き起こされる原因について、医師たちは2つの有力な説を唱えているという。

有力説 1:高炭水化物や高糖質の食品(白いパンや白米など)を多く含む食事をすると、血糖値が急激に上昇し、その結果、眠気が引き起こされてしまうそう。

有力説 2:「戦うか逃げるか(闘争か逃走か)反応」と言う言葉を聞いたことがあるかもしれないが、ナザレス氏によると、体内にはもうひとつ「休息と消化」をコントロールするスイッチがあるそう。食べ過ぎてしまうと、その「休息と消化」のスイッチが入り、感情をコントロールする迷走神経が刺激される。進化の観点からすると、戦ったり逃げたりしておいしい食事を無駄にしたくはないはずなので、迷走神経は「今は休む時間だ」と体に伝えているということだという。

特に1の説に関しては、食べる分量も大きく関係してくるとナザレスさんは指摘する。つまり、高炭水化物や高糖質の食品を一度にたくさん食べなければ、必ずしも食後の眠気を引き起こすとは限らないという。

いっぽう有力説2では、迷走神経は特定の種類の食べ物というよりも、大量の食事に反応するのだとか。

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食後の眠気を予防する方法は?

食事によって眠気が引き起こされるという理由が(なんとなくでも)わかったところで、次に知りたいのは、どうすれば予防できるのかという点。幸いにも予防法は複数あるので、取り入れやすいものを以下にご紹介。

規則正しい睡眠スケジュールを維持する:「睡眠不足のときには、食事(特に大量の食事)は控えめにした方がいいでしょう」とナザレスさん。睡眠不足は食後の眠気を引き起こす主な要因となるため、日々8時間程度の睡眠時間をきちんと確保するように心がけて。

食事の量を少なめにする:食後の眠気は食事量に大きく左右されるため、ナザレスさんは疲れてぼんやりするのを防ぐためにも、食事の量を減らすことを勧めている。どのくらいの量にすればいいかわからない人は、1日に必要なカロリー、主要栄養素、ビタミン、ミネラルの推定量が算出できる、米国農務省のオンライン計算機などを使ってみよう。

体を動かす:ナザレスさんは「どんな運動でも、眠気を払拭することができ、消化の助けにもなります」と語る。彼女は、食後に散歩をして体を動かすようアドバイスしている。

主要栄養素をバランスよく摂取する:またナザレスさんは、炭水化物を完全に避ける必要はないと説明し、タンパク質、ヘルシーな脂肪、野菜を一緒に摂って、バランスのよい食事を心がけるよう勧めている。

正しいタイミングで食事をとる:学術誌『Journal of Nature And Science Of Sleep』に掲載された研究によると、夜遅めの時間(就寝時間の1時間前と定義されている)に夕食をとると、少なくとも入眠はすんなりとできる可能性があることが明らかになったそう。だがいっぽう、『BMC Public Health』誌に掲載された別の研究では、夕食が遅くなると高血圧や肥満などの病気のリスクが高くなることが示されているそう。

これらを参考にしてみることで、食後のあの猛烈な睡魔から解放されるかも?

※この記事は、海外のサイトで掲載された記事の翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

Translation: Masayo Fukaya From Women's Health

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