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『君が落とした青空』松田元太インタビュー

  • 2022.2.16
『君が落とした青空』松田元太インタビュー

ティーンを中心に、小説アプリで絶大な人気を誇る櫻いいよの「君が落とした青空」。書籍化から10年となる今年、ドラマ『おっさんずラブ』の演出で注目を集めた Yuki Saito監督の手によって実写映画化された。本作では、高校3年生の水野実結が目の前で交通事故に遭ってしまう彼氏の篠原修弥を救うために同じ日を何度も繰り返すというタイムリープ・ラブストーリーが描かれている。

今回、ヒロインを務めた福本莉子とともに注目を集めているのは、ジャニーズ Jr.の人気グループTravis Japanで最年少メンバーとして活動している松田元太。劇中では、学校で人気者の修弥を好演している。そこで、映画初主演を務めた心境や現場の様子、そして俳優としての未来像などについて語ってもらった。

自分に引き出しがなくて、戸惑ってしまったこともあった

──映画初出演にして初主演となりましたが、決まったときのお気持ちはいかがでしたか?
松田:もちろんうれしかったですが、W主演ということに対してのプレッシャーはありました。以前からキラキラした映画とか、学園モノをやってみたいと思ってはいたものの、いざやるとなったときに「自分に何ができるんだろう?」と。不安な気持ちになることもあったので、学生ならではの話し方やグループ間の関係性を学ぶために、学生が出ている映画を何本も見てから現場に入りました。
──脚本を最初に読んだときは、どういった印象を受けたのかを教えてください。
松田:高校生が主人公ですが、1日1日の大事さや相手を思う気持ちの大切さなど、1人の人間として学べることが多かったので、奥深い作品だなと思いました。僕にとっては、道徳の授業みたいな感じというか(笑)。なので、僕はキュンキュンよりも感動のほうが強かったです。
──修弥に関しては、どのような人物像としてとらえたのでしょうか。
松田:学校では人気者の高校生ですが、恋愛に関しては鈍感で、まっすぐすぎるくらいピュア。でも、そこがあだとなって相手を傷つけてしまうこともあるんだなと思いました。
──自分の高校時代と似ていると感じたところもありました?
松田:恋愛の部分に関してはわからないですが、友達としゃべっているときのラフな感じは似ているのかなと。友達もたくさんいましたし、わりとムードメーカー的なところはありましたから。でも、僕は表よりも裏で騒いでるタイプだったかもしれないです(笑)。
──ちなみに、いま思い出す青春の思い出といえば?
松田:中学生のときに、文化祭でダンス好きを集めて踊ったことがあるんですけど、朝や放課後の練習時間は青春だったなと。そのときは、KinKi Kidsさんの「欲望のレイン」やKis-My-Ft2さんの「WANNA BEEEE!!!」とか、ジャニーズ好きの友達が選んでくれた曲で踊りました。僕は男子校でしたが、隣にあった女子校からたくさん人が来てくれて、会場が埋め尽くされたのを見たときは、みんなでウキウキしましたね。
──撮影で共学を体験されてみてどうでしたか?
松田:めちゃめちゃ楽しかったですね! 校庭でサッカーしながら好きな子がいる教室をチラチラ見る瞬間とか、こんなハッピーなことが毎日あるのかと(笑)。僕はずっと男しかいない環境だったので、こういうのもいいなと思いました。
──確かに、まさに青春ですよね。とはいえ、男子校ならではの楽しさもあったのではないかなと。
松田:そうですね。本当はダメですけど、女子がいないので教室でパンツ一丁になったりとか(笑)。そういった「ザ・男子校」みたいなのところも、それはそれで楽しかったです。

──今回は、初めての映画出演となりましたが、現場で戸惑ったことはありましたか?
松田:脚本を読んで考えた修弥を作って持っていったんですが、芝居をするなかで「ちょっと違うかも」と感じることは何度かあった気がします。ただ、僕は引き出しがゼロだったので、したいことがあってもどうしたらいいかわからないという部分で結構戦っていました。
──そんななか、監督が実際の松田さんを修弥のキャラクターに反映させていったところもあるそうですが、Yuki Saito監督の演出はいかがでしたか?
松田:監督がわからないことも聞き出してくださったり、「こういうパターンもあるよ」と教えてくださったりしたおかげでだいぶ演じやすくなったところはありました。その過程で、少しずつ空っぽの引き出しが詰まっていくのを感じることができたと思います。
──なかでも苦労したシーンを挙げるとすれば?
松田:実結の頭をポンポンとするのは、難しかったですね。やったことがなかったので、どうすればいいんだろうと。ふとした瞬間に、メンバーのしめ(七五三掛龍也)にポンポンとしてみたんですけど、嫌な顔をされてしまって(笑)。そこで「これは違うんだな」というのはわかりましたが、最後まで正解は見つからなかったです。
──では、そこは見る方に委ねると。
松田:そうですね。恥ずかしいですけど、チェックしてもらって、もしいい方法があれば教えて欲しいです。次の作品でも頭をポンポンする機会があれば、そのときは上手くできるようになりたいですね。
──他にも非常にかわいらしいラブシーンがありましたが、どのような意識で演じられていましたか?
松田:実結と修弥の2人がやっと向き合えるようになるシーンなので、最後は何も話さなくてもくっついているだけでお互いに気持ちが伝わるようにしたいなと。あとは、高校生のカップルならではの温かさも出せたらいいなと思っていました。

──雨のシーンも印象的でしたが、撮影は大変だったのではないかなと。
松田:とにかく寒かったです。(福本)莉子ちゃんとブルブル震えながら、お互いに励まし合って乗り切りました。事故で死んでしまうシーンでしたが、2人とも寒さで死にそうになっていたので、そういう意味ではすごいリアリティを持って演じられたように思います。
──実結役の福本莉子さんと共演されてみて、いかがでしたか?
松田:とにかく、全部がすごかったです! 役作りはもちろん、一緒にお芝居をしていても、自分が大丈夫か不安になるくらいすごいなと思いました。
──ただ、撮影の最中に、福本さんが苦戦したシーンのあと、監督から「元気づけてあげて」と頼まれたことがあったとか。どうやって励ましたのですか?
松田:そのときは、握手をしましたね。莉子ちゃんが実結のことを考えているからこそ、そうなっているというのがわかってはいましたが、何をしていいかわからなかったので、とりあえず握手してみました。
──福本さんのリアクションは?
松田:「あ、はい」みたいな感じで、意外とあっさりしてましたね(笑)。「握手しないほうがよかったかな?」と一瞬思ったんですけど、僕の意図は汲んでくれたようです。
──そのほかの共演者で印象に残っている方はいますか?
松田:がっきー(板垣瑞生)とは、隣でお弁当を食べて、トイレも一緒に行ったくらい(笑)。いつもくっついていました。役作りのこととか、どうしたらお芝居がうまくなるかとか、いろいろと教えてもらうことが多かったです。

ドンと構えて頼られる人になりたい。30年後になりそうですが(笑)。

──本作では、同じ日を繰り返していますが、もしもう一度戻ってやり直せる日があるとしたら、いつに戻りたい?
松田:丘の上にいるシーンを撮ったこの映画の撮影最終日に戻りたいですね。いまはあのときよりも引き出しが少し増えたので、あの日に戻れたらもうちょっと違う見せ方ができるんじゃないかなと思うので。
──俳優として個人でお仕事をするときと、グループでの活動では気持ちも違いますか?
松田:やっぱり自分ひとりのときは、メンバーといるときよりもちょっとはしっかりしようとは思いますね。もっと人の話をちゃんと聞かなきゃとか(笑)。ただ、自分のスタイルを無理に変えることはないのかな、という結論にいまは至っています。
──ちなみに、本作の出演が決まったとき、メンバーのみなさんはどんな反応でしたか?
松田:「おおー、すげー! おめでと」と言って応援してくれました。(吉澤)閑也が「ラブストーリーうらやましい」と言っていたり、みんなで「チューするの?」「チューしたいね」とか話したりして、完全に男子校のノリでした(笑)。
──メンバー以外にも報告した方はいましたか?
松田:Hey! Say! JUMPの(八乙女)光くんとKing & Princeの(髙橋)海人には、こういうのが決まったから相談に乗って、という話はしました。

──実際に何か相談したこともあったのでしょうか。
松田:撮影に入る前に、「主演はどういう気持ちで行けばいいのかな?」と聞いたことはありました。そのときに、海人からは「僕もやったことないからわからないけど、思ったことを信じてがんばれば大丈夫だよ」、光くんからは「精一杯がんばって」と。温かい言葉をかけてもらったので、やるしかないという感じにはなりました。メンバーも含め、みんな家族のような感じなので、僕の支えになっています。
──主演の経験をした今、それを生かして今後はどのようになりたいですか?
松田:今回はわからないことが多くて、ずっと落ち着きがないところがあったので、次にまた大役をいただけることがあれば、現場では静かにドンと構えて、みんなに頼られるような人になりたいと思います。周りが「この人に相談するしかないな」と思うくらいの存在になれたらと。おそらく、それは30年後くらいの話になると思いますが…(笑)。
──かなり先まで見据えているようですが、思い描く理想像になるためにしておきたいことはありますか?
松田:とりあえず、場数をたくさん踏みたいので、いろんなオーディションや幅広い役どころに挑戦しながら、揉まれて成長していきたいと考えています。そうしないと、30年後にドンと構えられないですからね。

──興味のあるジャンルや役どころは?
松田:サイコパスっぽい役はやってみたいですね。というのも、僕も根はダークなところがあるので(笑)。ぜひ、そういうところを引き出してみたいなと。あとは、戦争を扱った作品にも出てみたいと思っています。
──いま目標にしている方がいれば、お聞かせください。
松田:1人挙げるとすれば、玉木宏さんのような役者さんになりたいですね。共演させていただいたときに、現場での居方や役者をするうえで大事にしてきたことを聞かせていただいて、プロの役者というものが何かを学ばせていただいたので、僕もこうなりたいと思いました。
──ちなみに、どんな言葉をかけられたのですか?
松田:それは秘密です(笑)。
──それでは、映画を見る方に向けてメッセージをお願いします。
松田:1日1日がどれだけ大事で、当たり前のことが当たり前ではないということにも気付かされるストーリーなので、みなさんにも共感していただけると思っています。僕も修弥として精一杯生きたので、お友達や家族と一緒に見ていただいて、みなさんの1日がよりよくなったらうれしいです。
──メンバーの方々からの感想も楽しみですね。
松田:(川島)如恵留からは、ブログに載せるくらいめっちゃ長い文章がきそうな(笑)。脚本を読むのを手伝ってくれた松倉(海斗)は、ひと言だけど深い言葉をくれそうな気がしています。ぜひ、みんなから感想を聞きたいですね。

(text:志村昌美)

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