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幹事の特権?会食後、飲食店で付与されるポイントを独り占め 法的問題は?

  • 2022.2.13
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「ポイント独り占め」の法的問題は?
「ポイント独り占め」の法的問題は?

居酒屋などで複数人と会食したとき、割り勘ではあるものの、幹事役の代表者が飲食費をまとめて支払うことがあります。そうした場合に、飲食費に対して付与されるポイントを、代表者が独り占めすることがあるようです。本来なら、割り勘で飲食費を支払った他の人もポイントを得る権利があります。こうした「ポイント独り占め」の行為に、法的問題はないのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

「不当利得」になる可能性

Q.会計をした代表者が、支払った金額に対するポイントを独り占めすると、法的に問題があるのでしょうか。問題がある場合、どのような罪に問われますか。

牧野さん「支払った全額に対してポイントを独り占めすることは、会食した人全員の同意を得ていない場合は、問題になる可能性があります。詐欺罪の成立は難しいですが、『不当利得』(民法703条)に当たる可能性があり、独り占めした人は未使用で残っているポイント分の価値を、一緒に会食した人に返還する義務を負う可能性があるでしょう。

会食で代表者が飲食費をまとめて支払う場合は、ポイントカードを保有している人(その場でポイントカードを作る人も含む)だけが、結果的にポイントを取得してしまいがちですが、会員ではない人もクレジットカードで支払うと、必ずカードのポイントが付きます。代表者がクレジットカードでまとめて払う場合を含め、他の人に承諾を得ておくべきでしょう」

Q.ポイントを独り占めした代表者が、「次回は今日のポイントを使って会食しよう」と還元することを約束すれば、独り占めしたとしても法的に問題はないのでしょうか。

牧野さん「法的な問題は通常はないでしょう。独り占めした代表者が、次回は今日のポイントをすべて使って必ず会食することを条件に、他の参加者の合意を得たことになるからです。ただし、後日必ず会食を実施して、その時取得したポイントをすべて使用することが必要です」

Q.ポイントを独り占めした代表者に対して、「自分が飲食した分のポイントを返せ」と言えば、代表者はポイントを返さないといけないのでしょうか。

牧野さん「法的には、ポイントを返さないといけません。民法703条では、独り占めした人は『その利益の存する限度(未使用で残っているポイント分の価値)を返還する義務を負う可能性がある』とされているからです。とはいえ、実際にポイントとして加算されたものを返還することは、ポイントの登録システム上できないことがほとんどです。同じ価値の金銭で変換する義務が発生する場合があるでしょう」

Q.参加者が「ポイントを返せ」と言ったのに、代表者に拒否された場合はどうなりますか。

牧野さん「拒否されても、未使用で残っているポイント分の価値の返還について、代表者へ請求する権利はあり、時効である5年後まで残ります。ただ、高額の請求であれば別ですが、裁判で請求することは、通常は時間と費用の持ち出しとなり、現実的ではないことから、泣き寝入りになることが多いでしょう」

Q.代表者が、他の人の飲食費もまとめて支払うとき、店員から「ポイントを付けますか?」と言われた場合、どう対応すれば後々問題が起こらないでしょうか。

牧野さん「最も平和で法的問題にならないのは、会食した人から飲食費を集めて現金払いにし、しかも『ポイントは要りません』とあっさり断ることです。実は、私も日常そうしています。

確かに、各人の支払い分を割り勘で支払う場合は、それぞれのポイントが登録できて平和的ですが、店側の手間が大変です。ポイントを断り一括で現金払いすることで、店の手間もなくなります。

中には、ポイントを取得する代表者が、割り勘の端数を負担するルールを決めている場合もありますが、この場合、全員が同意しているので法的な問題が生じないと思います」

オトナンサー編集部

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