正しい歯磨きの回数は？何分くらい磨けばいい？歯磨きについて医師がアンサー！

毎日の歯磨き、きちんときれいに磨けていますか？ 今回は、読者から寄せられた歯磨きに関する疑問を、ヒグチデンタルクリニック院長の三枝遵子先生がアンサー！ 正しい歯磨きの知識を身につけて、虫歯や歯周病を予防しましょう。

推奨する歯磨きの順序と所要時間を教えてください

「ご自身がやりやすい順序で問題はありません。肝心なのは、きちんと効率よく歯についた歯垢を除去する歯磨きであるかです。効率よく上手に磨ける方は2〜3分でもよく、磨くのが上手でないのならば10〜15分かけなければいけないでしょう。日本人はほとんどの方が毎日歯磨きをしているのですが、上手に歯磨きができていない方が多いのが現状です。子供の頃に使った歯垢を赤く染めるお薬が薬局や歯科医院で売っていますので、そういうものを利用し、ご自身で確認しながら、早く効率よく歯垢をとる歯磨きを習得することをおすすめします。それができない方は、歯科医院で歯の磨き方を再度習ってみてください」

推奨する歯磨きの回数とタイミングを教えてください

「私は朝一番、朝食後、昼食後、就寝前の4回をおすすめしています。その中で一番大事なのが就寝前の歯磨きです。寝ている間は口の中の細菌が最も繁殖しやすいので、就寝前に細菌の数を少なくすることがとても大切です。就寝前によく磨いたと思っていても、朝一番は何となく口の中がねばついていますよね。一日の中で一番、口の中の細菌が多いのが朝一番なのです。食後に歯磨きをするイメージがあり、朝も食後に歯磨きする方が多いと思いますが、ぜひ食前も歯磨きしてください。これは、悪い細菌とその細菌の産物を吐き捨てる意味があり、体の中に悪い産物を入れないようにするメリットがあります。最近は風邪やインフルエンザなどの感染症の予防に朝一番の歯磨きを推奨している医師もおられます。朝一番の歯磨きは、食事がおいしくなくなってしまうかもしれないので歯磨き粉をつけないで1分半くらいかけ、主にねばつきを取りましょう。そして食後は、歯磨き粉をつけ1分半くらい磨きましょう。『朝は忙しい！』と思うかもしれませんが、合計3分と考えれば、そんなに大変ではないですよ」

おすすめのケア商品を教えてください

「普通の歯ブラシは歯をメインに、毛先が細い歯周病予防用の歯ブラシは歯茎をメインに、2本の歯ブラシで磨くことを私はおすすめしています。また補助的な清掃道具のデンタルフロス（糸ようじ）、もしくは、歯間ブラシは歯と歯の間のケアには欠かせないものです。奥歯の舌側や裏側、歯並びが悪いところには、ワンタフトブラシを使用するとより効率よく磨けますよ。そして、舌の表面には、細菌や口腔軟膜の剥がれた物、食べかすなどがつきやすいので、舌磨きもしてください。磨くときは、歯ブラシだと舌が傷つきやすいので舌専用のブラシを使用することをおすすめします。実は、舌の上や唾液腺にはコロナウイルスの受容体が多く存在すると言われていますので、舌のケアがコロナ感染の予防にもなります。もちろん舌だけでなく口腔内を清潔にすることはあらゆる感染症予防になります。手洗い、うがいだけでなく、口腔ケアも忘れずに行いましょう」

正しい歯磨きをしていれば、歯周病などの歯の病気は防げますか？

「正しい歯磨きをしていれば もちろん歯周病になりにくくなります。ですが、歯垢1mgの細菌の数は1〜3億個くらいいると言われています。その細菌が毎日毎日増えているのですから、完璧と思った歯磨きでも取り切れないところがあります。だからこそ自分で取り切れない細菌を、3〜4カ月に1回定期的に歯科医院で取ってもらうことが大切です。また、女性は妊娠すると女性ホルモンにより妊娠性歯肉炎を起こしやすく、閉経すると女性ホルモンが低下し骨密度を維持することが難しくなり、今度は歯を支える歯槽骨が弱くなっていきます。歯周病はおじさんの病気と思っている方が多いかもしれませんが、実は女性のほうがなりやすい病気なのです。しばらく歯科医院に行っていない方は、知らずに歯周病になっているかもしれませんので、歯科医院に行き健診することをおすすめします」

教えてくれたのは

ヒグチデンタルクリニック院長 三枝遵子先生

1994年日本大学歯学部卒業。日本大学歯学部付属歯科病院・歯周病学講座を経て、台東区浅草で樋口歯科を開業。2009年にヒグチデンタルクリニックと名称を変え台東区雷門に移転、現在に至る。2011年に予防啓蒙活動として「ハミガキろっく」という歌を制作。2013年には「DVDでみる絵本」を制作。2021年には「なんではをみがくの？」という今更聞けない、大人にこそ読んで欲しい絵本を制作。欧米諸国並みに日本国民の歯の予防意識を向上させたい！と予防啓蒙に励む。ヒグチデンタルクリニックはこちら