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北陸の花街・金沢【ひがし茶屋街】をガイドさんと巡るおさんぽ旅

  • 2022.2.6
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「町全体が美術館」そんな風にも言われる金沢。とりわけ古い街並みが残る【ひがし茶屋街】は人気の観光スポットです。ここでは、無料のボランティアガイド「まいどさん」に街を案内してもらいましょう。古い建物の言われや見どころを教われば、金沢の花街を何倍も楽しめるひとときになりますよ。

ガイドさんの案内でひがし茶屋街を満喫

「まいどさん」とは、金沢弁で「こんにちは」といった意味。黄色い上着が目印のまいどさんは金沢の街を案内してくれる無料のボランティアガイドです。ひがし茶屋休憩館、西茶屋資料館、長町武家屋敷休憩館の3カ所に常駐していて、まいどさんの手があいていれば、その場で案内を頼めます。確実に案内を希望するなら、10日前までに申し込んでおきましょう。

北陸の花街・金沢【ひがし茶屋街】をガイドさんと巡るおさんぽ旅

▲まいどさんが常駐する「ひがし茶屋休憩館」

ボランティアガイドは「ひがし茶屋休憩館」でお願いできます。江戸時代末期に建築された旧涌波家住宅の主屋を明治期の姿に復元した建物で、奥には中庭が設けられ、2階の窓には格子がはまる町家建築です。

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▲「ひがし茶屋休憩館」の奥には町家ならではの中庭があります

中庭は玄関からの風通しを良くするほか、室内の明りとりとしても役立ちます。金沢は雪国なので、屋根に積もった雪を降ろすスペースにも利用されました。

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▲ひがし茶屋街ならではの「さがり」とは?

ひがし茶屋街は道が狭く、屋根のひさしを長くすると通行の邪魔になります。そこでひさしを短くした分、雨や雪で障子が濡れたり、室内に吹き込まないよう、「さがり」という板で防ぎます。道幅の広い「にし茶屋街」では見られない造りです。

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▲隣の家が火事になった時、燃え移りにくくする袖壁「うだつ」

軒をつらねた商家など、町家造りの建物によく見られる「うだつ」と呼ばれる袖壁。防火壁の役目を果たしますが、うだつのついた商店は儲かっている証とも言われ、「うだつが上がらない」の語源とも言われます。

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▲うなぎの寝床とも呼ばれる間口が狭く奥に長い町家は、障子を開けると表通りから中庭までまっすぐつながる、風通りをよくした造りです

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▲障子紙を竪子と横子からずらして、お城の石垣のように見せる「石垣張り」。金沢には茶の湯文化が今も残りますが、茶室などにも見られる張り方です

風情ただよう花街の面影

ひがし茶屋街は領民に謡を奨励した加賀藩が、1820年に犀川西岸の「にし茶屋街」とともに、浅野川の東岸に開いた花街。江戸末期から、明治、大正、昭和初期にかけての建物が並び、古民家をリノベーションした商店やカフェ、飲食店などが軒を連ねる風情あふれるスポットです。

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▲和服姿が似合う街

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▲ひがし茶屋街のメインストリートには、古い建物が並びます

街並みを文化財として守るため、国の文化財保護法により2001年に重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。

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▲国の重要文化財「志摩」

「志摩」は、文政元年(1820年)の茶屋町誕生とともに立てられたお茶屋さんです。200年前の姿をほぼ残す建物で、有料で中の見学もできます。

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▲一見さんお断りのお茶屋さん「藤とし」。樹齢200年を超える赤松が、2階の屋根から突き出ています

「藤とし」があるのは、もともとお寺のあった土地で、1820年の茶屋町誕生時に建物を作る際、門前にあったご神木を切ることがためらわれ残すことになったそうです。

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▲花街らしい華やかな色使いは紅殻色

ひがし茶屋街で目に付くのが紅殻(べんがら)色の建物。酸化第二鉄を原料にする顔料で、防腐効果があるほか、雨の多い金沢の街を明るく華やいだ色にみせています。

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▲虫カゴのような格子「木虫龍(キムスコ)」

町家特有の窓格子は、京都にくらべると各段に細い金沢風。特に虫カゴのような格子「木虫龍(キムスコ)」は、横断面が台形になっていて、外側から中は、人の気配はするもののはっきりと見えず、逆に室内からは外がよく見えるという造りです。

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▲明治37年に建てられたお米屋さんは、安政6年(1859年)創業の「経田屋(きょうでんや)」。現在も営業中です

金沢では、白い布に黒い文字はお米屋さんを意味します。この大きな暖簾は、お米をたくさん買えない人が外から見えないようにするもので、「気配り暖簾」と呼ばれます。

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▲商売繁盛にトウモロコシ

民家や商家の軒下に吊るされているのは、ひがし茶屋街の一画にある長谷山観音院の「四万六千日」で祈祷されたトウモロコシ。旧暦の7月9日にお参りすると、4万6000日参詣したのと同じ功徳があるという凄いもの。家内安全、商売繁盛に効果があるそうです!

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▲城下町ならではの細道

敵に攻め込まれることを想定した城下町。ひがし茶屋街も槍を振り回しづらい細道(写真)と、迷路のように曲がったりくねった通りが続きます。ところが、ひがし茶屋休憩館前の通りは真っすぐ。加賀藩主前田家の奥方様が観音院へ安産祈願に向かうため、直線道路になっています。

パワースポットに金箔のトイレ!

ひがし茶屋街には隠れた名所や観光スポットがたくさん存在します。ここでは立ち寄っておきたい恋愛成就のパワースポットと金箔の街金沢を体験できるユニークなお店を紹介します。

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▲隠れたパワースポット「東山菅原神社」

東山菅原神社には学問や習い事の神様菅原道真がまつられ、ひがし茶屋街で働く芸妓さんの鎮守として創建されました。ご神木として右に左に黒松(男)、右に赤松(女)が1本ずつ植えられて良縁を願うほか、口を開けた狛犬の頭をなでても恋愛運に恵まれるそうです。

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▲東山菅原神社にある松の穴

太平洋戦争末期に飛行機の燃料不足を補うため、東山菅原神社の松の木からも油分を採取したと言われます。

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▲金箔のトイレにビックリ! 「金箔屋さくだ」は一見の価値アリ

江戸時代、金箔作りは幕府の独占事業。加賀藩は隠れて生産していたため、希少な金を極限まで薄く延ばす技術が発達。今では金箔の99%を生産しています。ひがし茶屋街にある専門店「金箔屋さくだ」では、金箔の女性用トイレがありました! 男性用は銀箔です。

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▲金箔トイレは誰でも利用できます

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▲光も透ける1万分の1mmの薄さ。10円硬貨ほどの金が、畳1枚分の大きさまで延ばされます

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▲和紙で作られた箔打紙に、金箔を1枚1枚挟んで延ばします。この箔打紙が、実はあぶらとり紙に再利用されているんです

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▲金を箔打紙に挟んで打ち延ばす機械。昔は職人が手作業でおこないました

お店には様々な金箔グッズが展示販売されていて、見るだけでも楽しめます。金箔作りを見学できるほか、金箔貼り体験も行っているので旅のお土産におすすめです。

<金箔屋さくだ> https://goldleaf-sakuda.jp/

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▲ひがし茶屋街にある穴場の眺望スポット「宝泉寺」

傾斜15度の子来坂(こらいざか)を通って標高141mの向山(卯辰山)を登ると、中腹に加賀百万石の城下町を守護する宝泉寺があります。金沢市街が一望できる、穴場の絶景スポットです。

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▲昼間とは打って変わって、明かりを楽しむ夜のひがし茶屋街

木造の建物が立ち並ぶ夜の街。目の細い格子の隙間から漏れる光が柔らかく、この街ならではの独特の雰囲気を醸します。

ボランティアガイド「まいどさん」の案内で巡る金沢。ただ歩いただけでは気づかない、ひがし茶屋街の魅力を見つけてみてくださいね。<text&photo:湯川カオル子 予約・問:金沢市観光協会「観光ボランティアガイド係」 https://www.kanazawa-kankoukyoukai.or.jp/volunteer/>

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