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【新酒】日本酒初心者にこそおすすめしたい「よこやまSILVER7 生 純米吟醸」~『伊藤家の晩酌』第二十九夜3本目~

  • 2022.2.7

弱冠24歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入!酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?今回は、2022年、新年にふさわしいしぼりたての新酒をご紹介。第二十九夜の3本目は、麦焼酎発祥の地で、新たに生まれた長崎県のお酒。

今宵3本目は、見事なバランス感で誰もが好きになる「よこやまSILVER7 生 純米吟醸」。

長崎県壱岐市で1914年に創業した「重家酒造」は当時から焼酎と日本酒を製造。一度は日本酒の製造が途絶えたものの、2018年に日本酒造りを再開。他の酒蔵で修業し、壱岐産の山田錦の栽培を行い、「よこやま」シリーズが誕生。
「よこやまSILVER7 生 純米吟醸」720ml 1639円(ひいな購入時価格)/重家酒造株式会社

娘・ひいな(以下、ひいな)「本日ラスト!新酒3本目は『よこやまSILVER7』です!」
父・徹也(以下、テツヤ)「へぇ。『シルバーセブン』ってめずらしい名前だね。どこの蔵?」
ひいな「長崎県の壱岐」
テツヤ「お!島だ!」
ひいな「そう。壱岐島のお酒です」
テツヤ「壱岐島に日本酒の蔵があるんだ」
ひいな「壱岐にはもともと焼酎蔵がたくさんあって、重家(おもや)酒造っていう蔵で日本酒も造ってたんだけど、1990年から日本酒を造るのをお休みしたんだって」
テツヤ「日本酒も造ってたんだね」

ひいな「麦焼酎の『ちんぐ』を製造してる蔵なんだけど、2018年に日本酒蔵を建設したの。杜氏の横山太三さんという方が再建したんだけど、この蔵、前に紹介した『東洋美人』澄川酒造場とゆかりがあって。横山さんがこの蔵で修行をしてたんだって」
テツヤ「おぉ!」
ひいな「その修行を終えて壱岐に戻って、2018年に蔵を建設して日本酒が復活したの。1902年の壱岐島には17個の日本酒蔵があったんだって!」
テツヤ「それはすごいね。そんなにあったんだ。壱岐は焼酎もあるけど、日本酒の島でもあったんだね」
ひいな「激しい気候の変化と杜氏の高齢化で1990年には日本酒を造る蔵はゼロになっちゃった」
テツヤ「あら。重家酒造が最後だったんだ」
ひいな「そう。でも、2018年に復活して生まれたのが『横山五十』なの。横山さんが高校生の頃に日本酒造りを辞めたんだって。親が苦しい思いをしてるのを近くで見てたみたい。日本酒をもう一度やりたいと思ったきっかけは、〈はせがわ酒店〉の代表の方とお話ししたことで自分たちは日本酒を造りたいんだって目覚めて、壱岐で日本酒を復活させようと思ったらしい」
テツヤ「新しく生まれた『よこやま』飲むのが楽しみだねぇ」
ひいな「今回は徳利に入れてみるね」

ガラスの器でいただきます!
いただきます!
さてはてお味はいかがでしょう?
はぁ。おいしいねぇ。香りさわやか、味わいもフルーティでめちゃくちゃ飲みやすいよ!

テツヤ「少しにごってる?発泡してる感じもあるね」
ひいな「新酒だからね。このお酒は純米吟醸の生酒になります」
テツヤ「いただきます!わぁすっきりしてる!」
ひいな「うん、おいしい!」
テツヤ「春酒って感じだな」
ひいな「うんうん、春酒っぽいよね」
テツヤ「2月だしもう新春だし、まさにぴったり!」
ひいな「ほんとだね」
テツヤ「いやぁ本当においしいね、このお酒。こういうお酒こそ、日本酒入門編にいいんじゃない?みんな好きだと思うな」
ひいな「本当にそう思う。飲みやすいよね。特等の山田錦を使ってるっていうのもあって、いいお酒だと思う」

酔っ払ってグラスをこぼす父・テツヤ。たまにはこういうことも起こります(笑)。

テツヤ「失礼しました(笑)!新酒なのにもったいなかったね」
ひいな「そろそろ、このお酒に合わせるおつまみを持ってくるね!」

「よこやまSILVER7 生 純米吟醸」に合わせるのは、さっぱりだけど濃厚な味わいの「じゃがいものニョッキ」。

テツヤ「お?これはニョッキ?」
ひいな「そう!じゃがいもをつぶしてニョッキにしてみました」
テツヤ「めっちゃうまそう〜!イタリアンを日本酒に合わせちゃうんだな」
ひいな「ニョッキを作ったのは実は人生で2度目で。1回目は料理家の広沢京子さんの福岡のお家に中学生の頃遊びに行った時、ニョッキの作り方を教えてもらったの」
テツヤ「いいねぇ。思い出のニョッキだね」
ひいな「そこまでの完成度ではないかもしれないけど」

テツヤ「ニョッキってあんまり食べたことないんだよなぁ。うん、これはおいしい!日本酒にもめっちゃ合う」
ひいな「合う?」
テツヤ「合う、合う。イタリアンなのにすごく合ってる。ソースは何が入ってるの?」
ひいな「生クリームと牛乳とチーズ」
テツヤ「いやぁ、ニョッキと合わせたら、急にワイン飲んでる気持ちになってきたぞ」
ひいな「たしかに(笑)」
テツヤ「ニョッキ食べた途端、ワインになった」
ひいな「わかる(笑)」
テツヤ「この日本酒、ニョッキとめちゃくちゃ合う。びっくりするくらい合うよ。日本酒って、意外と乳製品と合うんだな」
ひいな「そう。チーズとかクリームソースとかと合うよね」
テツヤ「さらにこの新酒がすごく合う気がする。乳酸感があるからかな?」
ひいな「あ、そうかもしれないね。発酵感がチーズとも合うよね」

7号酵母から生まれた「よこやま」と「真澄」の味わいは似てる?

テツヤ「どうしてこの日本酒の新酒を選んだの?新酒って他にもいっぱいあるわけじゃない?」
ひいな「日本酒業界が今フォーカスしてる日本酒を紹介したいなと思って。2018年に蔵を再建した時に『横山五十』っていうお酒を出したんだけど、それがブレイクして。このお酒はそのシリーズなんだけど…」
テツヤ「この『SILVER7』の意味は?」
ひいな「7号酵母のこと」
テツヤ「あぁ、そういうことか!」
ひいな「7号酵母のお酒、一度紹介したことがあるんだけど覚えてる?」

テツヤ「たしか九州のほうじゃなかった?」
ひいな「惜しい!それは9号酵母。『真澄』のスパークリングを紹介したんだけど、『真澄』って7号酵母なの。7号酵母の発祥は『真澄』っていわれてるんだけど、その7号酵母を使ってるからどことなく『真澄』っぽさを感じるというか」
テツヤ「なるほどね。そういうことか」
ひいな「私の好きな味がする(笑)。『真澄』の控えめだけど華やかな感じがしていいなと思ったのが、このお酒を選んだ理由かな」
テツヤ「確かに『真澄』っていわれたら『真澄』っぽいね(笑)」
ひいな「でしょう?」
テツヤ「長崎の『よこやま』と長野の『真澄』か。“長”つながりだね」
ひいな「だね!」
テツヤ「壱岐といえば、知り合いのお兄さんが壱岐で焼酎の酒蔵やってるって言ってたな」
ひいな「わぁ、そうなんだ。日本酒は造ってないのかな?」
テツヤ「原田酒造だ。焼酎とクラフトビールを造ってるんだって」
ひいな「そうなんだ」
テツヤ「麦焼酎なんだね。島でも米を作ったりしてるのかな」
ひいな「壱岐って気候が豊からしくて。だから作物が育ちやすいから、米も育てやすいらしいよ。だから日本酒の蔵もたくさんあったんじゃないかな」
テツヤ「なるほど。日本海側だし寒暖差もありそう」
ひいな「そうそう。そのほうがお米は育ちやすいもんね。壱岐島のなかでも、アスパラガスが育つくらいミネラル豊富なところに蔵を造ったらしくて」
テツヤ「アスパラガスってそうなの?」
ひいな「水源の上に蔵を建てたんだって。理想の味わいにするためにタンクの規模をコンパクトにしていて、味の調節が効くようにもしているらしい」
テツヤ「なるほど。小さいロットで造ることでいろいろな味わいで造れるわけだな」
ひいな「そういうこと」
テツヤ「壱岐って大きいのかな。人口どれくらいなんだろう。多いのかな(ライター注:壱岐市の人口は約2.5万人(令和3年時点)だそうです)」
ひいな「日本酒の蔵がそんなにたくさんあったんだもんね」
テツヤ「たしか神社がすごく多くて神聖なところだよね」
ひいな「そうそう」
テツヤ「島で日本酒が造られてるなんて知らなかったよ」
ひいな「横山さんが復活してくれて本当によかったね」

【ひいなのつぶやき】
長崎の島で生まれた、人とのつながりが感じられる1本です!洋食とも合うフレッシュな日本酒、お試しあれ!
ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中

photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita

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