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まるで【地下神殿】。フォトジェニックな超巨大施設「首都圏外郭放水路」を探検《埼玉県春日部市》

  • 2022.2.5

まるでSF映画やPCゲームに登場する超巨大施設。通称【地下神殿】。ここは河川の氾濫を防ぐため、埼玉県春日部市の地下に造られた「首都圏外郭放水路」です。見学ツアーに参加すると、そこには神秘的でフォトジェニックな世界が広がっています。

施設稼働時以外は見学会を毎日開催

見学会はネットや電話での事前予約制。ここで紹介する「立坑体験コース」(110分 ¥3,000)のほか、「地下神殿コース」(60分 ¥1,000)、「ポンプ堪能コース」(100分 ¥2,500)、「インペラ探検コース」(110分 ¥4,000)が用意されていて、すべてのコースで地下神殿(調圧水槽)を見学できます。

まるで【地下神殿】。フォトジェニックな超巨大施設「首都圏外郭放水路」を探検《埼玉県春日部市》

▲ツアーの受付は、排水機場の一画にある地底探検ミュージアム「龍Q館」で行います

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▲展示室では首都圏外郭放水路の役割を解説

はじめに「龍Q館」で、施設の役割を教えてもらいます。首都圏外郭放水路は、水害の原因になる5本の川と水路の水を増水時に取り込み、地下トンネルを通して、より大きな江戸川に放出する施設です。

まるで【地下神殿】。フォトジェニックな超巨大施設「首都圏外郭放水路」を探検《埼玉県春日部市》

▲地図上にオレンジ色で示された首都圏外郭放水路は、国道16号線の地下約50mに6.3キロに渡って作られた直径約10mの地下トンネル

まるで【地下神殿】。フォトジェニックな超巨大施設「首都圏外郭放水路」を探検《埼玉県春日部市》

▲首都圏外郭放水路のメカニズム

首都圏外郭放水路は、上図の左手にある4箇所の立坑から川の水を取り込み、トンネルを通じて右の立坑に流し、地下神殿として知られる巨大なプール「調圧水槽」で流れを弱めて、江戸川へ流すという仕組みです。

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▲模型を使って首都圏外郭放水路の仕組みを解説

水が流れる模型を使い、倉松川のそばにある第3立坑から増水した川の水を江戸川へ流すまでを解説。川には越流堤という低い堤防が設けられ、水位が上がると自然に立坑へ水が流れ込みます。

いよいよ「地下神殿」へ!

放水路の仕組みを理解したところで、いよいよ地下神殿の見学です。地底探検ミュージアム「龍Q館」から外へ出て、200mほど離れた地下神殿の入口へ向かいます。

まるで【地下神殿】。フォトジェニックな超巨大施設「首都圏外郭放水路」を探検《埼玉県春日部市》

▲普段はサッカー場になっているグランドの地下に地下神殿(調圧水槽)があります。入口は写真左手の四角い屋根の建物です

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▲地下神殿への入口。ここから地下神殿へは116段の階段を降ります

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▲その神秘的な空間は、あまりの巨大さに畏怖を覚えます

地下神殿は地下22mに作られた、奥行き177m、幅78m、高さ18mの巨大な水槽で、ポンプを運転するための水深と水量を確保します。さらに、増水した川から流れ込んだ水は、この調圧水槽で勢いを弱め、江戸川へと放出されます。

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▲地下神殿では15分ほどの自由時間が設けられます

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▲地下神殿に隣接する第1立坑。施設稼働時は、ここから水が流れ込みます

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▲地下神殿奥の真っ暗な場所には壁があり、流れ込んだ水はその下をくぐって江戸川へと排水されます

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▲増水時の水位の高さを柱の汚れが示します

天井を支える59本の柱は、長さ7m、横幅2m、高さ18m、重さ500t。人の大きさと比べるとその巨大さが判ります。まさに「地下神殿」と呼ぶに相応しい光景です。

深さ70mの第1立坑を見学

調圧水槽から一度地上に出て、次は第1立坑の巨大竪穴を見学します。他の立坑から流れ込んだ水は、第1立坑に溜めた後、地下神殿へと流し込まれます。

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▲第1立坑の見学には、ヘルメットを被りハーネス(安全帯)を腰に巻いて行います。立坑のキャットウォークから底をのぞき込むと……

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▲深さ71m、直径31.6mの巨大ピット。もっとも深い箇所で直径10mのトンネルにつながり、施設稼働時は川の水で満たされます

第1立坑は川とはつながっていませんが、第2立坑から第5立坑まで、4本の立坑から5本の川の水が流れ込みます

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▲立坑の底まで続くタラップ

施設の稼働時は、オレンジ色をしたタラップの安全ネットが白く汚れた所まで、水位が上昇してきます。「立坑コース」では、このタラップの途中まで降りられます。

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▲第1立坑のタラップを途中まで降りると、さきほど見学した地下神殿(調圧水槽)がよく見えます

第1立坑の水位が上がると地下神殿へと水が流れ込みます。もちろんそんなときは見学不可。施設が稼働すると、排水や土砂の除去など、数日の間見学会が休止します。

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▲首都圏外郭放水路を監視して操作を行う中央操作室

首都圏外郭放水路の操作室は、通常1名で監視していますが、大雨や台風などで施設が稼働する時は8名ほどが24時間態勢で運用に当たります。中央操作室はドラマ「下町ロケット」の管制室とし利用されたほか、調圧水槽は映画「翔んで埼玉」や実写版「映像研には手を出すな」にも登場します。

埼玉県春日部市にある超巨大施設【地下神殿】こと「首都圏外郭放水路」。スケールが大きすぎて、神秘的にすら見える施設はとてもフォトジェニック。現実を忘れる体験に、身をゆだねてみてくださいね。<text&photo:みなみじゅん 予約・問:首都圏外郭放水路 https://gaikaku.jp/>

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