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日本に12城だけの現存天守【松山城】は3倍楽しめる「無料ガイドツアー」がイチ押し

  • 2022.1.28

四国屈指の【松山城】は、現存天守が残る難攻不落の城として有名です。圧倒されるほど巨大な石垣と櫓、攻め手を寄せ付けない数々の罠。知れば知るほど面白くなるお城の魅力を、無料のボランティアガイドさんに紹介してもらいました。時には攻め手の気持になって、松山城の秘密に迫りましょう。

罠や仕掛けが満載の松山城

松山城を築いたのは「賤ケ岳の七本槍」とうたわれた豊臣秀吉の七将の一人加藤嘉明。秀吉亡き後は徳川家康に従い、関ケ原の戦いで功績を認められ伊予20万石の大名になりました。1602年から勝山の山頂とその周辺に築城をはじめ、松山と命名したのも嘉明です。

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▲松山城を築城した戦国武将、加藤嘉明。「松山ロープウェー商店街」にある騎馬像がイケメンです

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▲松山城へはリフトやロープウェイでアクセス。柱の絵は姫様の他に武者もアリ。「ことばの落としもの」とは、リフト下にあるちょっと面白いキャッチフレーズです

標高132mの勝山山頂にある松山城へは徒歩でも行けますが、急勾配の坂道を20分ほど登ります。楽ちんなリフトやロープウェイがおすすめです♪

日本に12城だけの現存天守【松山城】は3倍楽しめる「無料ガイドツアー」がイチ押し

▲ボランティアガイドさんに松山城の案内をお願いすると、お城を3倍(いや、もっと?)楽しめます

勝山の中腹でリフトを降りると「長者ヶ平」という広場にガイドさんの待機所があります。当日でもお願いできますが、確実に頼むなら1週間前までに予約するのがベスト。城内ツアーは1人からでもお願いできて、ガイド料は無料です(お願いするしかないでしょう)。

※ガイド料は、時間外の案内、11名以上の団体、旅行会社を通じて案内を希望される場合は有料となります。

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▲壮大な石垣が圧倒的。最も高い箇所は17.3m。よじ登るのは命がけです(汗)

正面に天守が見えますが、まずその手前にある本丸へ攻め込むには、黒服の人がいる角を右へ折り返し、黒い「太鼓櫓(たいこやぐら)」に背を向けて急坂を駆け上ります。当然櫓からは、矢や鉄砲で狙われます(涙)。

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▲背後の太鼓櫓から矢や銃弾を受けながら命からがらたどり着くのが、城内へ入るための「筒井門」

本丸、つまり城内へ入るにはこの筒井門を突破せねばなりません。門の上と横には櫓があって、そこからも矢が飛んできます。

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▲筒井門の右手奥の石垣の陰には「隠門」が設けられ、筒井門にたどり着いた敵兵を側面から奇襲します

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▲焼失した筒井門の復元された扉

筒井門は1949年に放火で焼失。1971年に復元した扉は樹齢500年から千年ほどの楠の一枚板で、新皇居建設のために保管されていた予備材が特別に使われました。丸い金具は乳鋲といって、閂(かんぬき)の留め具です。観音開きの2枚の扉に計6個の鋲がついていて、無病(=六鋲)息災を願います。

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▲筒井門を抜け、太鼓門をくぐると松山城の本丸です

本丸とは城の中心となる区画のこと。松山城の本丸は南北に細長い広場になっていて、「本壇」と呼ばれる天守を中心にした建築群のほか、いくつもの櫓や井戸などがあります。

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▲本丸を守る「屏風折れの石垣」

折れ目を増やすことで石垣の強度が増すほか、下にいる敵を横からも攻撃できる構造です。上の写真は本丸の西側に連なる屏風折れの石垣と、本丸広場に立つ馬具櫓と太鼓櫓です

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▲迫力満点の写真が撮れる乾門

乾門は本丸の北西(乾は北西の意味もある)を守る門で、北側の防備のため麓に設けられた北之郭から通じていましたが、現在は城山の西側にある古町口登山道と結ばれます。乾門からはガイドさんイチ押しの、迫力満点の松山城が見られます。

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▲乾門をくぐると左右に北隅櫓と南隅櫓のある本壇の石垣がそびえます

北隅櫓と南隅櫓は「十間廊下」でつながり、中央部をひっこめた構造。これは敵の側面から矢を射れるよう射角を広げた造りです。あまりにも高い石垣を見せられると、もう戦意喪失です。

松山城のプチ見どころ

高い石垣や櫓だけがお城の見どころではありません。ちょっとしたところにも、隠れた工夫が見られます。ここでは松山城のプチな見どころを紹介します。

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▲年を経ると幹が黒くなる紫竹。黒竹とも呼ばれる竹藪に隠れ、偵察や待ち伏せをおこないます

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▲重要文化財「紫竹門東塀」。正方形の鉄砲狭間と縦長の矢狭間が見られます

紫竹門東塀は(有料区画内)、土壁を少し離して二重に造り、中に石や割れた瓦などを埋め込んで、鉄砲で撃たれても壊れにくい「太鼓塀」と呼ばれる構造です。さらに土台は台木になっていて、攻め込まれて武器が尽きた時、塀を押し倒して敵兵を下敷きにする、いわば最終塀器です。

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▲二ノ門(有料区画内)にあるハートマークのある釘隠し

日本古来のハートマークは、猪目(いのめ)という火除けや厄除けのおまじない。刀のつばやお寺の金具、木彫などに施されることがあり、京都正寿院の猪目窓はことに有名です。

現存する12天守のひとつに登る

松山城の天守は1784年に落雷で焼失し、黒船来航の翌1854年に再建落成された日本で最も新しい天守です。8.3mの石垣の上に、天守と小天守、南隅櫓、北隅櫓を、渡櫓(廊下)でつないだ「連立式天守」です。これら建物群の基礎となる石垣を、松山城では「本壇」と呼びます。

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▲松山城の撮影は、本丸広場がベストポジション

1945年7月の松山空襲では、当時の監守長が1人で松山城の消火活動をしたとの逸話が残ります。

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▲本壇に近づくと威圧感抜群。天守の手前左から、南隅櫓、小天守、一ノ門南櫓がそそり立ちます

本壇および天守に入るには、手前にある券売所で入場料520円を支払います

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▲天守へ向かう最初の難所

本丸広場から天守へ向かう最初の難所がここ。その堂々たる造りは、松山城随一のフォトスポットです。突き当りを右に進むと、天守へ向かう一ノ門がありますが、今見えるこの場所こそ正面の天守、左手の小天守、右側の一ノ門南櫓の3方から狙われるデンジャラスゾーンです(泣)。

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▲小天守から見た一ノ門の枡形は、四方から狙える区画です

本壇に侵入した敵が先に進むと「桝形」という狭い空間が待ち受けます。上の写真は小天守から見下ろした桝形。四方から攻撃できるうえ、手前の「一ノ門」は屋根が小さく敵兵に隠れる場所を与えません。

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▲天守と小天守、南隅櫓、北隅櫓に囲まれた「本壇中庭」

一ノ門、二ノ門、三ノ門、筋鉄門を経て命からがらたどり着くのが、天守の入口がある「本壇中庭(天守広場)」。唐破風屋根を頂いた箇所が本来の玄関です(通常は利用できません)。

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▲天守が立つ石垣の中(地下1階)に見学者の入口と下駄箱があります

天守の基礎になる石垣の中は籠城に必要な米蔵で、安山岩をノミで削って隙間なく積んだ「切込接(きりこみはぎ)」という石垣技術で作られました。柱には湿気や防虫に強い楠木が使われ、床は素焼きの瓦が敷かれます。

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▲天守内の一画には、当時の武具や書状、道具類などを展示します

加藤嘉明が使ったと言われる甲冑。戦場で自分の働きがひと目で判るよう、背中に旗竿を立てる筒がついています

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▲刀や槍、長刀などの武具も展示。愛媛の刀鍛冶で人間国宝の高橋貞次が作った刀です

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▲平成16年から18年の大改修の際に見つかった落書き

落書きは、江戸時代末期に天守を再建した時の作事奉行(今でいう現場監督)ではないかと言われまます。吊りあがった目とへの字の口元からすると、職人が頑固な作事奉行を面白がって描き、後世の人に伝えようとしたイタズラ書きだったのでしょう。おかげで松山城の有名人になりました。

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▲天守内の階段はどこも急勾配

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▲下の敵に石を落とす「石落とし」。上には鉄砲狭間がついています

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▲城攻めを再現した迫力のVR映像

アメリカ軍の空襲以外、松山城が戦火にまみえることはありませんが、映像では本壇中庭に侵入した攻め手の兵が、周囲の櫓から攻撃される模様が実写とCGで描かれます。いかに松山城の攻略が困難かを思い知らされる内容です。

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▲天守の最上階である3階は、シンプルな造り

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▲天守3階からは松山平野を一望。西側からは、手前に北隅櫓の屋根、遠くに瀬戸内海を望めます。これぞまさに殿様気分(あっ晴れ!)。

<松山観光ボランティアガイドの会> https://matsuyama-guide.jp/apply_peasonal_matsuyamajou/ 午前9~12時、午後13~16時

ボランティアガイドさんのおかげで、1人で巡るより何倍も楽しめる【松山城】。威圧感たっぷりの石垣と櫓、数々の仕掛けや巧妙な造りに、城攻めが究極的に命がけだったことを思い知らされます。難攻不落の松山城を訪ね、その臨場感を実感してみてくださいね。<text&photo:みなみじゅん 問:松山城総合事務所 https://www.matsuyamajo.jp/>

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