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『ふくはうち おにもうち』【今日の絵本だより 第269回】

  • 2022.1.28

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。 こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

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『ふくはうち おにもうち』 内田麟太郎/作 山本孝/絵 岩崎書店 1430円

もうすぐ、節分。 この時季、「おにがこわい……」というお子さんも案外多いかと思いますが、今回はそんなおうちでも楽しく読めそうな一冊。 『ふくはうち おにもうち』をご紹介します。

雪がちらちら降る夜更け。 山あいの家で、ひとり留守番をしていた男の耳に聞こえてきたのは、 「さむいよう、さびしいよう」 としくしく泣く声。 戸を開けてみるとびっくり、なんとそこには、3人の鬼が立っていました。 後ろからは 「おにはー そと、ふくはー うち」 の豆まきの声が。 肩を落として元気のない3人の鬼を、人のいい男は 「はいれ はいれ。そこに いたら こごえしぬぞ」 と、家の中へ招き入れます。 遠慮する鬼たちに 「のめ、のめ。からだが しんから あったまるから」 と、酒も勧めます。 すると、一杯が二杯、二杯が三杯。 出かけていたおかみさんと大勢の子どもたちが帰ってきたときには、男も鬼たちもすっかりできあがって、歌って踊って大騒ぎ。 そのにぎやかな気配につられ、ちょうど家の前を通りかかった福の神も加わって……。

強面なのにしょんぼり遠慮気味な鬼のトリオ、貧乏なのに気のいい男。 ふってわいた鬼たちの酒盛り騒ぎに、 「こんな びんぼうぐらしは もう あきあきやー」 と、泣いて亭主に怒るおかみさん。 とはいえ、そこへ入ってきた福の神をがっしと力強く捕まえたりと、登場人物がみんな人間臭くて魅力的なのです。 お酒を飲んで歌って踊って、愉快に過ごせば、まわりまわって大団円! そんな陽気なストーリーには、お酒大好きなパパは(ママも)、共感!? 貧乏でも、寒い雪の日でも、「なんとかなるさ」と明るい気持ちになれるお話です。

次回も鬼にちなんだ絵本をご紹介予定です、どうぞお楽しみに。

選書・文 原陽子さん はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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