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6種類の体脂肪を撃退する方法! ダイエットを始める前に知っておくべきこととは?

  • 2022.1.23
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流行のダイエットやキャッチーなニュースの見出しはあれやこれや言うけれど、脂肪は1種類じゃない。だから、どの脂肪も同じ脂肪として扱うのは今日で終わりにして。体重を減らしたい、健康になりたい、長生きしたいと思っているのに「脂肪は脂肪で、どれも悪い」という考え方で生きているなら、専門家(と脂肪研究者)の話を聞こう。今回はアメリカ版ウィメンズヘルスより体脂肪の種類についてご紹介。

1.必須脂肪

必須脂肪は、生きるために必要な脂肪。「必須脂肪は、体温の調節、ビタミンの吸収、細胞構造、ホルモン(生殖ホルモンなど)の調節を助けます」と説明するのは、米ワイス記念病院の臨床栄養士、ノウリーン・サジュワニ。「必須脂肪は、神経細胞膜、骨髄、臓器を守る膜組織など、体内の至るところに見られます。皮下脂肪でもなく、内臓脂肪でもありません」

ダイエットを始める前に知っておこう必須脂肪を失うと、健康に必ず大きな支障が出る。全米スポーツ医学協会(NASM)によると、女性が健康を維持するためには、体重の10~13%が必須脂肪でなければならない。残念ながら、過激な食生活や運動で体脂肪率を10~13%以下に下げようとして、自分の健康を危険にさらす女性は多い。大会に向け体脂肪率を6~10%まで下げる女性アスリートは、多くの場合、ホルモンバランスが大幅に崩れて生理が止まる。米クリーブランドクリニック・ラーナー研究所で脂質(脂肪)を専門に研究するJ・マーク・ブラウン博士の話では、体脂肪率が低すぎると、体の血糖値調節機能も壊れかねない。過去の動物実験でも、体脂肪が極度に少ないマウスの体に糖尿病予備軍と2型糖尿病の症状が見られたそう。ダイエット中は自分の健康を最優先。インスタグラムには、体脂肪率が不健康なまでに低い女性の写真が溢れている。体脂肪率が10~13%を下回るのは絶対NG。最近の体重計やフィットネストラッカーには体脂肪率測定機能が付いている。

2.白色脂肪

ほとんどの話に出てくる脂肪が指すのは、この脂肪細胞。ブラウン博士によると、ミトコンドリア(脂肪を燃やす極小の発電所)と血管が少ないため、白色脂肪細胞は文字通り色が白い。この細胞は脂肪をトリグリセリドの形で蓄え、体の予備エネルギーにする。「白色脂肪は体の中で一番大きい予備エネルギーの貯蔵庫です。臓器と体の外部構造を守るクッションの役割も果たします。また、白色脂肪は食欲を調節するレプチンとエンストロゲンの一種を産生するだけでなく、成長ホルモン、コルチゾール、インスリンといったホルモンの受容体も要しています」とサジュワニ

ダイエットを始める前に知っておこう適量の白色脂肪はホルモンバランスを整えて、レプチン(満腹ホルモン)の量を増やしてくれる。でも、白色脂肪が多すぎると“レプチン耐性”という問題が生じてしまう。レプチン耐性は、白色脂肪が増えすぎたせいで体内のレプチン量が慢性的に多くなり、体がレプチンの効果を感じなくなること。その結果、いくら食べても満腹感が得られなくなり、白色脂肪が増えるという負のサイクルに突入する。非必須脂肪の大部分は白色脂肪なので、体脂肪率を測れば白色脂肪の量が自然と分かる。女性の場合、体脂肪率が16~23%であれば一般的に良いとされ、30%以上は太りすぎに分類される。

3.褐色脂肪

「白色脂肪の対極にある褐色脂肪は、脂肪をエネルギーとして溜め込む代わりに燃やします」とブラウン博士。この能力も、色が茶色いのも、ミトコンドリアが多いから。ミトコンドリアは脂肪酸を燃やして熱を産生し、体温(37℃程度)の維持に貢献する。ここ10年の調査によって、褐色脂肪はヒトにしかなく、とくに赤ちゃんに多いことが分かっている。

ダイエットを始める前に知っておこう白色脂肪を褐色脂肪組織に変えられるかどうかはまだ不明。でも、既存の褐色脂肪の活動量を増やすことで、白色脂肪に溜まったエネルギーが燃えやすくなるのは確か。ただし、その具体的な方法は分かっていない。米ハーバード大学の調査結果は、16℃に冷やされた環境に10日間連続でいると、褐色脂肪の活動量が増えることを示している(褐色脂肪そのものの量は増えない)。睡眠中は特に部屋を涼しくするのが好ましい。でも、惨めになるほど室温を下げないで。ブラウン博士いわくエビデンスが少ない現段階で、これが有効な肥満対策とは言い切れない。

4.ベージュ脂肪

ベージュ脂肪は、白色脂肪と褐色脂肪を足して2で割ったような働きをする。でも、ブラン博士によると、白色脂肪と褐色脂肪の中間に位置するというよりは、どちらにも属さないユニークな細胞として考えたほうがいい。うれしいことに、白色脂肪はベージュ脂肪に変えられる。「白色脂肪のベージュ化は、抗肥満治療の希望の星です。白色脂肪をベージュ脂肪に変える過程では、脂肪が燃えて熱として放出されるため、理論上は体が引き締まるはずです」とブラウン博士。

ダイエットを始める前に知っておこう過去の動物実験により、ストレスを感じているときや寒いときに分泌されるホルモンのカテコールアミン(カテコラミン)は、白色脂肪のベージュ化を促進することが分かった。また、ブラウン博士が参加した2017年の研究では、白色脂肪のベージュ化を制御する酵素の種類が特定された。ブラウン博士いわく褐色脂肪のベージュ化には運動が効果的。運動中は、ベージュ化を後押しする特殊なタンパク質が筋肉から分泌される。

5.皮下脂肪

サジュワニいわく皮下脂肪は、皮膚の真下にある脂肪の層。「体内の脂肪の約9割は、皮下脂肪の形をとっています」ある程度の白色脂肪、ベージュ脂肪、褐色脂肪、皮下脂肪があるのはヘルシー。でも、白色脂肪が多すぎると、ホルモンバランスが乱れ、レプチンの食欲抑制効果がなくなる。

ダイエットを始める前に知っておこう皮下脂肪の測定方法として最も一般的なのは、プロに脂肪をつまんでもらうキャリパー法。楽しくはないけれど、痛くもない。ジムや病院には、たいてい訓練を受けたスタッフがいる。皮下脂肪を減らしたいなら、カロリーの消費量を摂取量より増やすこと。サジュワニが言うように、高強度のエクササイズを定期的に行いながら、栄養管理(精製糖質とエンプティカロリーを減らす)を徹底しよう。

6.内臓脂肪

内臓脂肪(通称:お腹のぜい肉)は、皮膚の真下ではなく、腹腔にある多数の臓器(肝臓、すい臓、心臓、腸など)の周辺に溜まる白色脂肪。「内臓脂肪は、レチノール結合タンパク質4というタンパク質を分泌します。このタンパク質はインスリン抵抗性を高くして、耐糖能異常(グルコース不耐症)や2型糖尿病を引き起こすことが分かっています。過剰な内臓脂肪は、乳がん、大腸がん、脳卒中、アルツハイマー病、認知症にも関係しています」とサジュワニ。

ダイエットを始める前に知っておこう数ある脂肪の中でも、内臓脂肪は最大の敵。「内臓脂肪の量を測りたいなら、ウエストサイズとヒップサイズの比率を調べましょう。ウエストとヒップの一番広い部分を測り、ウエストサイズをヒップサイズで割ります。その比率が男性で1.0以上、女性で0.85以上なら、内臓脂肪が多すぎるということになります」とサジュワニ。米レッドランズ・コミュニティ病院のスティーブ・ウィルソン医学博士によると、ウエストラインだけ測るのも良し。「ウエストサイズが90cm以上の女性は、内臓脂肪が多すぎると言われています」

皮下脂肪と同様、内臓脂肪もカロリーの消費量を摂取量より増やすことで減らせるけれど、ウィルソン博士いわく内臓脂肪は、加工食品の炎症作用に超敏感。逆に未精製の食品、タンパク質、不飽和脂肪酸、全粒穀物、食物繊維が豊富な食生活は、内臓脂肪を大幅に減らしてくれる。1日7~9時間の睡眠を確保するのも、内臓脂肪の削減に効果的。また、肥満専門誌『Obesity』に掲載された2015年の研究結果は、加齢に伴う内臓脂肪の増加を防ぐには、有酸素運動よりも筋力トレーニングのほうが有効であることを示している。

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: K Aleisha Fetters Translation: Ai Igamoto

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