1. トップ
  2. 二人乗りで『干支の歌』と、虎の絵本

二人乗りで『干支の歌』と、虎の絵本

  • 2022.1.15

新年明けましておめでとうございます。

今年もどうぞよろしくお願い致します。

さて。今年の干支は、寅ですね!是非とも虎の絵本を読んで聞かせたいものです。たとえばこんな作品……、とその前に、先日こんなことがありました。

夕方の6時過ぎだったでしょうか。大きな声で歌を唄いながら、こちらに向かってくる二人乗りの親子がいました。電動自転車なのでしょう。スイスイと進んできます。

耳を澄ますと、「ねー、うっしとらうーたっつみー」

小さな女の子の可愛い歌声が。それに合わせて、お母さんも「うま、ひっつじー」。

ちょうど私の前を通り過ぎる時、「さるとり、いぬいー、ぜんぶでじゅうにしだー」。

2人の声はとても大きく、街灯が照らしはじめた住宅街の静かな空気に響き渡りました。『干支の歌』だ。ああ、この感じ、懐かしい。

保育園で息子が教わってきて、それで十二支を覚えたんだったっけ。私も息子に教えてもらい、2人で歌ったっけ。そして私の音程が違うと指摘されて、息子に直されたっけ。私たち親子も、日の暮れた保育園帰り道を幾度となく電動自転車に二人乗りで、大きな声を張り上げて歌いながら帰ったものです。多分私のテンションは、今通り過ぎたお母さんと同じ。こういうのを育児ハイと言うのでしょうか。とにかく私も高かった。

子どもと過ごす時間の嬉しさや、お母さんをやってるという自信。そんなような感情が混ざって、人目も気にせず、夢中で息子に合わせて、歌っていたのだと思います。その様子を見て呆れた人もいたかもしれないし、ご近所迷惑だったかもしれません。でも楽しかった。それに、テンションの高さは忙しい子育てを乗り切るには必要なことだったのかなとも思います。いずれにしても今でも通るあの保育園帰りの道には、そこここに良い思い出が残っています。

そしていまだに、私はその電動自転車に乗ってて、後部には、まだチャイルドシートががっちり括られています。息子が小学校に入り、使わなくなったというのに、かれこれ6年間もずっと。外そう。籠に変えよう。何度も自転車屋さんに持っていこうとしては、明日にしようと先延ばしにし続けて、今に至ります。もうちょっとだけ、思い出の二人乗りの証を残しておきたい。そんな気持ちを引きずって。

でも、考えてみれば息子の背丈はほとんど私と変わらなくなったのに、いまだに空席のチャイルドシートをつけて近所を疾走するのは流石に奇妙。このままでは子離れできない親の一途を辿りそうです。思い出はちゃんと心に刻まれているから、大丈夫。新年の事始めに、今度こそ本当に外すことに決めました。

それでは、今回おすすめしたい「虎」の作品。

『とらたとおおゆき』(なかがわえりこ:ぶん、なかがわそうや:え/福音館書店)

かわいい虎の子、とらたは、大雪の日、お父さんと屋根の雪を下ろします。すると雪の山ができました。そこで滑ってみることに。それを見たお父さんは、とらたにソリを作ってくれました。とらたはソリに乗ってどんどん滑ってゆき、お友達たちも次から次へと集まってきます。楽しい冬遊びの作品です。絵も愛嬌があり、絵の具の筆遣いをお手本に、親子で真似して描いて遊べもしそうですよ。2才から。

『トラのじゅうたんになりたかったトラ』(ジェラルド•ローズ:作•絵/岩波書店)

トラは、宮殿で楽しそうに食事をしたり、お茶をしたりしている王様の一家が羨ましくてたまりません。自分も一員になりたくて、どうしたものか考えていたところ、お庭に干された一枚のトラの絨毯が目に入ります。そうだ、自分もあれになればいい。名案とばかりに絨毯になりすまし……。インパクトのあるタイトルに、発想も展開も絵もとても愉快。幼児から楽しめますが、小学校の読み聞かせでも頻繁に使われ、とても人気の作品です。

『ウェン王子とトラ』(チェン•ジャンホン:作•絵/徳間書店)

子どもを人間の猟師に殺された母トラ。それからというもの怒りを放出するように、人間の住む村を襲うようになりました。そこで、国の王は、占い師に相談することに。すると、王子を虎に差し出すよう言い使われ、泣く泣く森に置いていきます。王子は虎の元で逞しく成長してゆき……。普遍的な母親の愛や人間と虎と間に生まれる絆が、読み手の心を強く揺さぶります。大型サイズの絵本にふさわしい圧倒的な水墨画で、読み応え満点。6年生のウチの息子も、満足そうでした。小学生には一度は触れてほしい。5歳から。

次回は2月25日ごろになります。

それでは2022年寅年、素敵な一年になりますよう!

(Anne)

元記事で読む
の記事をもっとみる