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一夜漬けでもお重に入れれば何とかなる。いいとこ取りのドイツのお正月【日登美のタベコト in Berlin・14】

  • 2022.1.15

ベルリン在住で6人の子どものお母さん。モデルとして活躍する傍ら「台所から子育て、暮らしを豊かに」をコンセプトに、オンライン講座とウェブサイトを主催している日登美さんによる、「食」からはじまるエッセイ、第14回です。

いいとこ取りのドイツのお正月

あけましておめでとうございます! 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

あっという間に新しい年が始まりましたね。ドイツではクリスマスがメインなのでお正月って特に食卓の変化ってないんです。けれどやっぱり日本の文化を伝えたい、というのもあって、毎年なんとかかんとか、おせちのようなものを作っているのですけれど。とはいえ、黒豆とか玄米餅とか自分の好きなものは数日前からちゃんと準備してお正月に間に合うように段取りしているあたり、体に染み込んだリズムってあるんだなぁと思ったり。

年越し蕎麦の合間に煮物。今年は美味しい牛蒡が手に入り嬉しい。飾り切りなどは省略!(笑)

それにしても、おせちって色々入ってますよね。野菜も色々、焼き物、煮物、酢の物など、考えてみるとほんと日本の食卓って豊か! それを作ってるお母さんたちってすごい!

ドイツの大晦日ってよくラクレットというチーズを焼いてパンやジャガイモなどにつけて食べる料理が出てくるんです。ラクレット用の鉄板みたいのもあって、日本でいう電気プレートみたいな(?)、それを持っている家庭も多いのです。とにかく、チーズをごっそり買って、あとば瓶詰め酢漬けの野菜や茹でたジャガイモをつけて食べるので料理をしなくていい。大勢で食べても準備が楽。

コロナ前の大晦日にはドイツ家族集まってラクレットが定番でした。とにかく料理は簡単に!
ドイツの正月はクリスマスと同居。この雰囲気がまったりとして好き。

そういうのがドイツではメインだから、お重の中に何種類もあれこれと作って詰めて、しかも一つ一つの食べ物に意味もあったりして、それを家族みんなで食べる日本の食文化って特別だなぁと。海外に出てから特にそういうことを子どもに伝えていきたいなぁと思う反面、ドイツののんびりモードにも後ろ髪をひかれて、いいとこ取りで大晦日1日でちゃちゃっと作る一夜漬けおせちというスタイルが定着しつつある我が家です。それでもお重に詰めてしまうとなんとか形になる。ビバ、お重!

ほら、一夜漬けでもお重に詰めたらなんとかなるよね? 漆作家の、岩本忠美さんのお重です。

こんなふうに親は色々思って海外でおせち文化を紡いでいるんですが、実は子どもにあんまり人気ないんですよね(笑)。

でもそういう、何故かその時期に食べるものがあるっていうのも、いつか子どもの心のどこかに残っていくのかな、と思ったり。

今年もそんなふうにして、ゆるりとドイツでの食卓が始まりました。

おせちを食べる子ども。どれも一つずつ食べてもらうことにしています。
食べすぎ、ご馳走様が続く年末年始こそ、マクロビアイテム(梅干し、葛、胡麻)でしっかり台所ケアを今年も!
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