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古着の〈バブアー〉にハートを射抜かれて。英国のワックスジャケットだけを集めた〈ブリティッシュ ワックスジャケット マーケット〉

  • 2022.1.15
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バブアー_Barbour_ジャケット

英国製のワックスジャケット沼にハマった男が幡ヶ谷に開いた古着店は聖地となるか

「もともと古着好きだったんですけど、〈リーバイス〉などのメジャーなものでなく、ニッチな個性的なものに惹かれる傾向はありました。ヴィンテージの〈バブアー〉との出合いは学生時代。

渋谷にある〈ブリティッシュ・イクイップメント・トレーディング〉でオーナーのマサキさんに薦められた1980年代の「ソルウェイジッパー」、90年代の「ノーザンブリア」というクラシックなフィールドジャケットにハートを射抜かれて(笑)。

貧乏学生だったけど、「もうこれはイギリスに行くしかない!」とお金を貯めて渡英したのが始まりです」。教職を志した時期もあったが、好きなことをやってみようと思い立ち、イギリスから仕入れたヴィンテージをもとに2017年からオンライン専門店をスタート。20年大磯に予約制の店舗を構え、昨年末、東京・幡ヶ谷に念願のショップをオープンさせた。

ブリティッシュワックスジャケットマーケット_店主
店長の山岸祐太さん。“笑顔で接客”がモットー。
ブリティッシュワックスジャケットマーケット_店内
店の一角には愛蔵品をディスプレイ。中央のコートはリプルーフ(オイルメンテナンス)のサンプル。

唯一無二のジャケットを探す楽しさを。

定番の「ビデイル」「ビューフォート」をはじめ、ロングコート、フーディーなど多様なモデルがずらり。季節によっても品揃えを変えている。「基本的にはイギリスから気に入ったものを仕入れています。〈バブアー〉のほかにライダースジャケットで有名な〈ベルスタッフ〉のワックスジャケットも。

魅力はやっぱり経年変化による素材感。どんな風に着ていたか、使い方や扱い方で、ジャケットが唯一無二の顔を見せてくれる。一着ずつにキャラクターがあるんです。オイルが抜けた表情もいいし、メンテナンスやリプルーフ(オイルの塗り直し)をすれば、また新品に近いような雰囲気に蘇る。長く付き合っていけるのが一番ぐっと来るところかな」

幡ヶ谷に移転してから、大磯では遠くて来られなかったお客さんも駆けつける。接客は好き同士会話が弾んで1時間に及ぶことも。「ワックスジャケットは街着でもビジネスでもアウトドアまでカバーできる。スーツにもカジュアルにも馴染む懐が広いアイテム。

あれこれ悩むお客さんを見ているだけでも楽しいんです」。ちなみに山岸さんの今の気分はスウェットパンツ+革靴のコーディネート。

ブリティッシュワックスジャケットマーケット_店内
アウターだけではなく、デタッチャブルのムートンライナーも扱っている。ライナー¥11,800〜。
ブリティッシュワックスジャケットマーケット_店内
オプションのフードなども扱っている。自分なりのカスタムで楽しみも広がる。フード¥7,700〜。
ブリティッシュワックスジャケット_店内
雑居ビルの2階にあるショップに並ぶヴィンテージの〈バブアー〉。特注のスチール製ハンガーラックが重さで歪んでいるのがわかる。「迫力出したくてオーダーしたんですけど……大きな誤算でした(笑)」。

ヴィンテージという時代を超えるお宝。

ジャケットの価格は4万〜5万円が中心だが、中には滅多にお目にかかれないお宝アイテムも!その一部をご紹介。

1960’s_バブアー_スリークオーターコート

1960’s 〈バブアー〉の「スリークォーターコート」
8オンスの生地で作られたドレス仕様のロングコート。近年は〈キャプテンサンシャイン〉がコラボで復刻させるなど、改めて注目度も高い。¥ASK

〈バブアー〉--60年代モデル_黄タグ

〈バブアー〉
「スリークォーターコート」には60年代モデルに見られる通称「黄タグ」が。ナイロンライニングで軽く作られているのも特徴。

1950’s-〈バブアー_インターナショナルジャケット

1950’s 〈バブアー〉の「インターナショナルジャケット」
70年代までの全盛期にはイギリスのバイク乗りの7割が着用したと言われるライダースジャケットの代名詞。貴重なデッドストック。黒が多い中でオリーブはレア。¥250,000

1950’s_ベルスタッフ_トライアルマスター

1950’s 〈ベルスタッフ〉の「トライアルマスター」
1948年に登場し、チェ・ゲバラ、スティーブ・マックイーンらに愛されたライダースジャケットの名作。〈バブアー〉に比べると細身で男らしいシルエットが特徴。¥478,000

リプルーフでさらに愛着も深まります。

ワックスジャケットと長く付き合うためのメンテナンスも行っている。とのことで、10年ほど着用して油の抜けきった私物の「ビューフォート」をリプルーフしてもらった。見た目のきれいさだけでなく、防風&防水、耐久性も復活し、暖かさがまるで違ってくる。

価格はショートジャケットで9900円〜。期間は1ヵ月ほどかかるので、夏の間に出しておくのが賢いやり方。リプルーフのほか、リペア、袖や丈詰めなどのお直し、クリーニングなども可能。

ビューフォート_リプルーフ前
(BEFORE)長年着ているのでオイルは抜け、表面は白っぽく褪せてしまっている。
ビューフォート_リプルーフ後
(AFTER)ワックスがしっかり入ったため袖もピンッ!と張っているのがわかる。

HOW TO REPROOF

バブアー_Barbour_リプルーフ_手入れ
クリーニングで汚れと古いワックスをある程度取り除きアイロンがけ。見た目が良くなることと、皺が無くなることによりワックスがより馴染むので重要な作業。
バブアー_Barbour_リプルーフ_手入れ
初めに全体にベースとなる量のワックスをのせる。
バブアー_Barbour_リプルーフ_手入れ
熱を加えてワックスを溶かし、生地に塗り込む。
バブアー_Barbour_リプルーフ_手入れ
一度全体に塗り込みを完了したのち、ワックスが不足している部分を補完。
バブアー_Barbour_リプルーフ_手入れ
最終仕上げをしたのち、適温を保つ設備で寝かせて完成!

Information

ブリティッシュワックスジャケットマーケット_外観

British wax-jacket market
ブリティッシュ ワックスジャケット マーケット

住所:東京都渋谷区幡ヶ谷2-9-20-201
営:12時〜19時
休:水曜・木曜
HP:https://www.instagram.com/britishwaxjacketmarket/
ビルの入り口に吊るしたジャケットを目印に。スタッフの廣田周太郎さん。

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