進 美影がこっそり集めているもの「美しさに見惚れる、ヴィンテージステープラー」

美しさに見惚れる
ヴィンテージステープラー

進 美影
デザイナー

紙の束を挟んでパチンと束ねるシンプルな事務用品に、宝石のような美しさを発見したと語る進美影さん。

「目黒のショップ『ACME Furniture』で優美な佇まいのアメリカ製ステープラーに心を奪われました。卓上用で安定するから厚い書類も力をかけずにまとめられますし、ヘッドに長さがあるので端だけでなく奥のほうで生地見本を留められる。実務でも活躍しています」

すでに持っているものとの調和を意識して、色や形が被らないように選んできた。

「デザインするときも常に視界にあるのがデスク周りの文房具。綺麗なものだと創作意欲が湧きますし、長い間愛されてきたプロダクトに、自分もそんなシグネチャーがつくれたら、と願掛けをする気持ちもありますね」

鏡面に仕上げられたオールブラックのボディ。直線的で慎ましいデザインに、ヘッドの多角形が遊び心を添える〈スウィングライン〉。

専門的な工業製品を生み出す〈ボスティッチ〉に異素材ミックスを発見。カッティングの美しい台座に愛着じわり。

べっこう柄に一目惚れ。尻尾のような丸いつまみは、針の補充で引っ張る。〈エースライナー〉のしなやかな曲線フォルムにうっとり。

GINZA2021年8月号掲載