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ベラ・ハディッドやカーディ・Bもラブコール! Z世代クチュリエ、ソーヒー・パークが語るサステナブルなものづくり。

  • 2022.1.4
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「サステナブルであることは、新進デザイナーの責任です。だからこそ、大量生産ではなく、必要なものだけを使用するオートクチュールに惹かれます」── こう語るのは、韓国出身のZ世代クチュリエ、ソーヒー・パークだ。自身の名前を冠したブランドのミス ソーヒー(MISS SOHEE)のクリエイティブ・ディレクターを務める彼女は、アーティスティックでアイキャッチーなクリエイションが得意。これまでにカーディ・Bマイリー・サイラスベラ・ハディッドなど多くのセレブたちがレッドカーペットやステージ衣装として着用している。ユニークな発想と大胆なインパクトを放つ彼女のクチュールは、すべてデッドストックやリサイクル素材から作られ、環境に配慮した生産プロセスで完成される。

現在はロンドン西部を拠点とするソーヒーは、セントラル・セント・マーチンズ(CSM)を2020年に卒業したばかりの25歳。「骨董品やヴィンテージなど、過去のモノにとても興味を持っています。クラシカルでタイムレスな要素に惹かれるのですが、その多くは忘れ去られているような気がするんです」

2021-22年秋冬のオートクチュールコレクションは、惜しくも最近他界した最愛の祖母と、子ども時代を過ごした海辺をテーマに掲げている。「私の祖母は手芸がとても上手で、何にでも刺繍を施すような人。彼女の存在は私に多くのインスピレーションを与えてくれました。都会も大好きだけれど、祖母が住んでいた海辺の家は、私の心のオアシスのような場所でした」

そんなアップカミングデザイナーに、サステナビリティの重要さと、オートクチュールの未来について訊いた。

──ファッションに興味を持ったきっかけを教えてください。

母が児童書のイラストレーターで、彼女のようになりたいと思っていましたが、14歳のときに祖母の家のテレビでシャネル(CHANEL)の2012年春夏のオートクチュールコレクションを見て。それがきっかけで、ファッションの世界を夢見るようになりました。完璧なるファンタジーの世界で、とても刺激を受けたんです。それからは、授業をサボってファッションショーを見たり、雑誌を買ったりするようになりました。

── セントラル・セント・マーチンズ(CSM)での学生生活は、デザイナーとしてどのような影響を与えてくれましたか?

私は韓国のとても保守的な環境で育ち、そこの中でいつも絵を描いている“変な子ども”でした。でも、CSMでは先生がクリエイティブになるように背中を押してくれて、いい意味でエキストリームな自分になれたんです。

── オートクチュールを手がける若いデザイナーは、まだまだ珍しいです。どのような点に惹かれ、将来性をどう捉えていますか?

繊細な刺繍や手縫いなど、作り手のこだわりが、身につけた時に実際に実感できるところに惹かれます。また作り手側としては、ハンドメイドのプロセスに心の安らぎを感じますね。例えば、何千個のクリスタルを付けている時とか。

クチュールは、パリにアトリエを持つ大手メゾンだけにとどまらず、もっと広く周知されるべきだと思っています。今は、大量生産された服が不要なゴミを排出しているのが現実。この流れに逆らう若いクチュリエが今後も増えていくことを期待しています。

──パンデミックの最中に卒業されたということで、大変だったと思います。卒業後、初のコレクションを発表されましたが、制作プロセスはどのように進めましたか?

誰かが感染すれば、スタジオを閉鎖しなければなりませんし、プレッシャーやストレスを感じることもありました。また、素材の入荷が遅れることも多々あります。バイヤーの方たちは、よりウェアラブルな服に目を向けているようですが、私はまだ自分が好きなものを作りたいし、この状況が1日でも早く改善することを願っています。

── 今回のコレクションのインスピレーションや参考にしたものを教えてください。

このコレクションに取り掛かった頃に、韓国に住む祖母が亡くなりました。とても悲しかったですが、彼女の海沿いの家で過ごした思い出を振り返ることができました。祖母の家は、済州島に近いところにあって、海女さんが多くいる地域なんです。済州島の海女さんは、何の道具も持たずに海底15メートルの深さまで潜って貝や海藻を手で採取します。その自然をリスペクトしたサステナブルな手法に感銘を受けました。

── ご自身もサステナビリティを意識した服作りで知られていますが、こだわりのポイントをいくつか教えてください。

デザイナーのデッドストック生地をブランドから直接調達する、LVMHが運営するノナ ソース(NONA SOURCE)というメーカーの生地を多用しています。 また、ガラスメーカーのプレシオサ(PRECIOSA)社から提供していただいたリサイクル製のクリスタルや、バナナの木の一種であるアバカから作られたテキスタイルを採用するなど、なるべくエココンシャスな素材選びを心がけています。

── 自身の好きなルックと、そのポイントを教えてください。

一番好きなのは、上のヘッドドレスとスカートのセット。貝殻のオーガニックな曲線を意識して、5人の職人さんたちと3ヶ月かけて制作しました。このルックはアバカの生地を使い、体にフィットするようにメリハリのあるシルエットになっています。とても時間がかかりましたね。ラインストーンはリサイクルで、すべて手作業で装飾しました。

2021年アメリカン・ミュージック・アワードで「フェイバリット・ヒップホップ曲」賞を受賞したカーディ・Bが着用。ビスチェは彼女のための特注品。Photo_ Getty Images
2021 American Music Awards - Press Room2021年アメリカン・ミュージック・アワードで「フェイバリット・ヒップホップ曲」賞を受賞したカーディ・Bが着用。ビスチェは彼女のための特注品。Photo: Getty Images

──カーディ・Bやマイリー・サイラス、ベラ・ハディッドといったセレブも着用しています。今後、あなたの服を着てもらいたい人を教えてください。

またカーディ・Bに着てもらいたいですね。彼女はクチュールが大好きで、私も彼女のことをとても尊敬していますし大好きです。

──最後に今、一番行きたいところを教えてください。

ワクチンを接種したので、韓国に戻って家族に会いたいです。次に会うときは、約2年半ぶりの再会になります。

Text: Alex Klesser

From VOGUE.COM

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