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人間の遺伝子の半分は「バナナと同じ」って本当?

  • 2022.1.3
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人間とバナナの遺伝子は50%が共通しているそうだ。キャベツも同じらしい。

宝島社のムック、『ヒトは120歳まで生きられる! 遺伝子のヒミツ』にはそんな、遺伝子にまつわるトリビアから、遺伝子研究の最前線、生物はなぜ死ぬのか?といった深淵なテーマまで、「遺伝子のヒミツ」に迫っている。

人類だけじゃなく動物も植物も「皆きょうだい」?

冒頭の「人間は半分バナナ」を本誌に基づいて、もう少し詳しく説明しよう。巻頭インタビューに登場する生物学者の小林武彦さんによれば、地球上の生きものたちは例外なく「遺伝子がDNA(デオキシリボ核酸)という物質からできている」という共通点がある。そして、「地球上のすべての生きものは、38億年前に偶然現れたDNAを遺伝物質とする、たった1つの細胞から生じた」のだという。つまり、人間も動物も植物も、たった1つの細胞から生じた子孫なのだ。

人間は線虫と遺伝子の60~70%が共通しており、バナナやキャベツとは50%前後が共通している。マウスにいたっては99%が一致するそうだ。みんな半分バナナと同じ、ほとんどネズミと一緒、と思えば、どんな天才も美人も、さらには人種もジェンダーも、たいした違いではないように思えてくる。

第1章の「遺伝子なんでもQ&A 50」にはこのほかにも、背の高さやハゲ、近視は遺伝するのかといった外見上の特徴や、頭の良さや運動神経、肥満、酒飲みなどの性質は、どこまで遺伝に左右されるのか、「恋に落ちる遺伝子」はあるのか、日本人の親切は遺伝子のせい?など、気になるトピックが並ぶ。

高価な化粧品に意味はあるのか?

女性にとって気になるのが、「色白美肌は遺伝する?」というトピックだ。

東北大学の調査によると、日焼けのしやすさと肌の色には7種類の遺伝子が関係しているという。日本人の肌は、色白で日焼けしても赤くなるだけで黒くならないI型、中間のII型、色黒で、赤くならずに黒くなるIII型の3種類に分類されるが、色白や日焼けに関わる遺伝子が見つかっているそうだ。

さらに、化粧品会社の研究では、シミになりやすいかどうかには「MC1R」という遺伝子が関わっており、しわやたるみの遺伝子領域も発見されているという。

つまりは、色白美肌は遺伝の要素が強いということらしい。

日々の肌ケアは美肌を作るというよりも、遺伝子による皮膚の劣化を最小限に抑えると考えた方がよさそうです。(本文より)

色白美肌遺伝子を持って生まれた人はうらやましい限りだが、スキンケアが全く無駄ということもないのかも。

若返りの「スイッチ」がある?

第4章では、「DNAスイッチ」を取り上げている。「遺伝子は変化しない」という従来の考え方に対し、最近の研究では、DNAにはスイッチのような仕組みが存在し、そのオン・オフによって遺伝子の働きが変化することがわかってきたという。

たとえば、アンチエイジング遺伝子のひとつ、FOXO3遺伝子のDNAスイッチは、サウナに入ることでオンになるそうだ。また、若返りの肝といわれるサーチュイン酵素を作り出すサーチュイン遺伝子は、空腹になると動き出すという。詳しい解説は本誌に譲るが、サウナに入り、夜食や間食をせず、食事は腹七分目を心がけると、細胞の若返りがスタートするそうだ。

容姿や成績、運動神経などのコンプレックスから「親ガチャ外れた」などと言われると、親としては言いようのない気持ちになるが、38億年も前から繰り返されてきた「ガチャ」は、たった一世代で決まるものではないだろう。途方もない進化の過程から遺伝子のヒミツを紐解く、ワクワクする一冊。

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