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「もう愛がないのね...」の真意は? カップルを前進させる言葉。

  • 2022.1.7

カップルが赤裸々に語ったり、涙を流したり、笑い声を上げたり、別れたり、復縁したり……。フランスのセラピスト、キャロリーヌ・クリューズは、診察室でさまざまなシーンに出会っている。それらが著書『 Il faut qu’on parle(私たち、話し合いが必要) (1)』を書くインスピレーションの源となった。ここに、カップルとして生き抜くヒントがある。

セラピー現場でカップルたちが発する象徴的な言葉の真意は? キャロリーヌ・クリューズが解説する。

キャロリーヌ・クリューズの診察を受けると、どんなことが起きるの?赤裸々に語ったり、涙を流したり、笑い声を上げたり… photo : Getty Images

「私たちは雑誌に登場するようなカップルではない」

「いま、世界は崩壊の危機を迎えています。仕事環境は不安定だし、どんなにゴミを分別しても氷河の溶解を止められない。そんな環境だからこそ人は夫婦やカップルの関係に重きを置いてしまいます。カップルは、危険が訪れても逃げ込める避難所のような価値を与えられている。少なくともふたりだけの世界なら、変革を起こせると考えるからです。だから “カップルとして成功しなければ!”と多くの人は思ってしまうのです。

しかし、完璧なカップルなど存在しません。夫婦カウンセリングでは、相手やカップルとしての欠点を受け入れることを学びます。完璧を求めることから始めたのでは、失敗に向かってスタートしているのと同じです。素晴らしい妻、立派な母、完璧な愛人でありつつ、相手にも同じ完璧さを求める。これには無理があります。“こうであるべき”が多すぎるのです。自己啓発主義は私たちを苦しめてしまいます。疲れた時、うんざりした時に届いた言葉、あるいは自信のなさのせいで誤解してしまった言葉。これらを修正し、伝え直すことが私の仕事です」

「靴下をしまって!」

「一緒に住み始めた時点から家の管理の問題が始まります。これは決して些細な問題ではありません。背後にカップルの力関係、それぞれが抱えている問題が潜んでいます。異常なほど片付けが好きな人の多くは、とても心配性で、状況を完璧に管理できなければパニックに陥ってしまう人です。

なぜこのような支配力を必要としているのか、それを分析できればカップルの間で起きている問題を理解する手助けになります。主導権を握られている方も“私のせいで彼(彼女)がこうなってしまう”のではなく、“彼(彼女)が個人的な問題を抱えているからだ”と気づくようになります。

お互いが相手の反応や行動を理解できれば、共に一歩踏み出すことが可能になります。お互いをもっと尊重できるわけですから。時々イヤイヤながら片付けをしなくてはならなくても、反対に台所のシンクに汚れた食器がたまっていても、そこまで深刻な問題に発展しなくなります」

「あなたには何も言うことができない!」

「ここに相談に来るカップルにとって大事なのは、それぞれの過去がふたりの関係に影響を及ぼす場合があると理解することです。言い争いが絶えないということで、ある女性カップルが相談に来ました。ケンカの原因はさまざまだと最初は言っていましたが、セッションを重ねるにつれ、片方が相手に対して攻撃的な話し方をしていることがわかってきました。相手は話を聞いてもらえない、尊重されていない、けなされていると感じていました。

その人に惹かれた理由自体が、ある時からその人とうまくいかなくなる原因となることもあります。そのような事態に陥ったら、まずこう考えてみましょう。なぜこの人を選んだのか。どうしてふたりの関係とは無関係の葛藤や不満を持ち込んできてしまったのか。ふたりの関係とそうでないものを分けて考えてみるのです」

「浮気をした……もう愛がないのね」

「浮気問題において黒と白がはっきりしていることはありません。カップルとはふたりいるから成立する関係です。ふたりで愛し合い、ふたりで衝突するのです。

浮気をするのは“私たちの関係をよく見て。何かがうまくいっていないでしょ。でも私には別の人と関係を持つ以外に、このことを伝える方法がなかったの”という警鐘である場合もあります。相当リスキーな選択ですが、カードを切り直し、本当に必要とされる変化をもたらす可能性もあります。浮気された側が被害者の立場を一旦脇に置き、自分を振り返ることを受け入れればの話ですが。

片方が女たらし、あるいは男たらしの場合、このカップルは何も変えずに、ずっと一緒にい続けるのだろうと感じるケースもあります。そのようなケース、特にある程度年を取ったカップルの場合、唯一の解決策は何かしらの合意を見つけることです。カップルの中の良い点を引き出し、浮気された側にとっては、浮気自体の深刻さを軽減するようにします。“取り引き”という言葉を使わないとしてもこれは取り引きの一種です。性欲について面と向かって語るのは難しいことが多いですが、性欲の低下は全く別の問題とつながっていると気付くことが多くあります。それを分析し、メスを入れ、解決に向かって考え始めると、性欲も戻ってきます」

「別れたくはないけど…」

「世代によって、セラピーを受ける動機は異なります。50歳以上のカップルはケンカの回数を減らし、落ち着いた、調和のとれた状態で平穏に暮らし続けることが目的です。老後は思いやりのある関係を保ち、外部の世界とも良好な関係を築き、孫の世話をするなどふたりの関係を豊かにするものを一緒に見つけたいと願っています。

もう少し若い世代になると、予防対策のようなものとして捉えています。お互いを大切に思うから、事態が深刻になる前に解決したいと考えるのです。一時しのぎの関係であったり、ちょっとした小競り合いで別れてしまうカップルにはなりたくない。セラピーを受ける決断をしたこと自体が絆を強くさせます。相手が診察に来たのは愛の証であると捉えることが多いようです。

どの世代にとっても共通するのは、カップルとしての関係にクリエイティビティを求めているという点です。何歳であっても、カップルの関係がキラキラしていることを願っています。もう少しわくわくドキドキしたい。しかしそれは、全ての点で素晴らしくなければ叶わないというわけではありません!“良いマンネリ”を消してはいけない時もあります。安心させてくれますからね」

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