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ルイ・ヴィトン生誕200年を祝う、200名のビジョナリーによる夢のトランク展。

  • 2021.12.29

ルイ・ヴィトンのメゾンの歴史は13歳のルイ少年がジュラ地方の山間の村を飛び出し、2年をかけて徒歩でたどり着いたパリで始まった。彼が生まれたのはいまから200年前の1821年8月4日。ナポレオン1世が亡くなった年だというと、時代の雰囲気がイメージしやすいだろうか。創業者ルイ・ヴィトンの生誕200年を祝うのは、「LOUIS 200」とタイトルされた数々のクリエイティブな取り組みである。冒険家、起業家、デザイナー、イノベーターだったルイの人生、メゾンに継承される彼の先見性にフォーカスを置いて、大勢のデザイナーとのコラボレーションが行われる楽しみな記念プロジェクトだ。

左:  鉄道と船のアクセスがあることから、ルイ・ヴィトンは1859年にアニエールにアトリエを構えた。いまも特別注文品のためのアトリエとして機能している。1870年にアトリエと同じ敷地にルイ・ヴィトンが建てた家はゲストハウスとして現在使用されている。右: エントランスを飾る若きルイ・ヴィトンのポートレート。

1月6日までパリ郊外のアニエールに建つヴィトン家の邸宅で開催されている『200 Trunks, 200 Visionaries: The Exhibition(200点のトランク、200名のビジョナリー)』展もそのひとつである。世界中のさまざまな分野で活躍する先見性に富む優れたクリエイター200名が、1850年代にルイ・ヴィトンが開発したトランクを再解釈して彼にオマージュを捧げる、という企画だ。50x50x100cmの箱をキャンバスに見立てて、各人が創造性と想像力を発揮して夢や願望を表現した200点のトランクはひとつひとつじっくり眺めたいおもしろさにあふれている。アニエールでの終了後、ニューヨーク、東京、ロンドンなどを巡回。そして2022年12月、トランクはサザビーズでオークションにかけられ、収益はルイ・ヴィトンが設立した奨学金プログラム経由で未来のビジョナリーの育成に有効に用いられることになる。というのも「LOUIS 200」は才能ある若いクリエイターたちの学びの旅をキャリアをサポートすることを目的とする慈善事業として展開するプロジェクトだからだ。すでにその第1弾として200名のヴィジョナリー全員から報酬全額の寄付という形で200万ユーロを集金し、それらは若者の芸術・創造活動を支援する13カ国15の非営利団体に寄付されている。

左: 展覧会はガイド付きで1時間。導入部の部屋には、ルイ・ヴィトン生誕200年を祝うレゴ®︎によるバースデーケーキ。アトリエと7名の子どもたちが31,700ブロックを使って50時間かけて制作した。右: ロボットに迎えられる展示の最初の部屋。photos:Mariko Omura

2フロアの展示会場。素材に凝ったもの、メッセージ性のあるもの……ビジョナリーたちがパーソナライズしたトランクを乗せている木箱には、ブルーでLOUISと書かれている。これは「LOUIS 200」の企画の共通だ。

赤いビロードで囲まれた小さなリスニングルームの中央に鎮座するのは、DJのベンジー・ Bによる100枚のレコードを備えたジュークボックス・トランク。音楽のキュレーションという芸術を称えることの大切さを込めた、と彼は語る。photo:Mariko Omura

左: 古代の石棺のフォルムはガエタノ・ペッシェによるトランク。右: 写真家ジャン・ラリヴィエールのトランク。1980年代に彼がルイ・ヴィトンの広告キャンペーン「Spirit of Travel」のために旅をし、捉えた壮大な風景写真はいまも忘れがたい。見たことがない世代はぜひチェックを。photos:Mariko Omura

参加した200名のビジョナリーはメゾンと何らかの形で縁のあるクリエイターたちだ。フランク・ゲーリー、ピーター・マリノ、キム・ジョーンズ、アラスカ アラスカ……日本からは東信、NIGO®、藤本壮介たちが参加。中にはデジタルで制作されたものもあり、オリジナルのアートピースとスクリーンパネルで覆われた「マジックボックス」が混在しての展示となっている。ルイの人生を振り返り、体験できるようにとこの展覧会はルイが1870年に建てた家に入ることからスタート。来場者は19世紀に建てられた歴史的建築物を鑑賞することができる。会場内、ランダムなトランクの展示の土台となっている木箱は、巡回展のための移動に際してトランクを運ぶのに使われるそうだ。先見の明のある優秀な荷造り用木箱製造職人兼、荷造り職人だったルイ・ヴィトンの魂は、いつまでもどこまでも旅を続けてゆくに違いないと思わせる展覧会である。

左: フランク・ゲーリーによるトランクは『Tea Party for Louis』。中: ジャン=ミッシェル・オトニエルの『Trunk of Hope』。インドの路上で見かけた、家造りに使うための土レンガに着想を得て、タージマハル地域で制作したガラスのブロックを使用。右: ジャン=フィリップ・デロームは旅と音楽を結びつけて木製トランクにペイントした。

左: 建築家藤本壮介の、<House N>から着想を得て建築物として再解釈した『LV トランク』。開口部をわずかに残すことで、シンプルで平らな箱に深みとボリュームを生むことによって、ルイ・ヴィトンのブランド力を讃えた。中: 東信の『種の旅』右: 亡きヴァージル・アブローとのコラボレーション第2弾を11月に発表したNIGO ®︎によるトランク。

『200 TRUNKS, 200 VISIONARIES: THE EXHIBITION』展会期:開催中~2022年1月6日(1月1日を除く)LOUIS VUITTON FAMILY HOUSE16, rue Louis VuittonAsnières-sur-Seine※要予約(16時30分の回は英語ガイド)https://la-galerie-louisvuitton.seetickets.com/tour/la-galerie-louis-vuitton

 

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