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学歴フィルター議論が超過熱!Fランク学生が就活で勝利する唯一の方法

  • 2021.12.26
就活の“常識”は間違いだらけ?(2021年3月、時事通信フォト)
就活の“常識”は間違いだらけ?(2021年3月、時事通信フォト)

マイナビの「大東亜」ツイート以降、「学歴フィルター」の議論が活発です。そのような中、経団連が「新卒一括採用」の見直しを加速させるよう、企業に促す方針であることが分かりました。これは4月の「新卒一括採用」の割合を減らし、中途採用や通年採用を拡大するというものです。採用市場は変わるのでしょうか。

今回は、一般的に出回っている就活の常識を検証します。その上で、どのような就活が効果的か、示唆を行います。就活生全般に役立つ情報ですが、特にFランク大といわれている学生は大いに参考にしてみてください。他の学生と同じ活動をするのではなく、採用の実態を理解した上で、就活を戦略的に捉えなくてはなりません。

エントリーを絞るのは愚の骨頂

多くの就活本では「エントリーする企業を絞る」ことを推奨しています。まず、これはやめた方がいいでしょう。「エントリー企業数を絞る」ことはチャンスを狭めることと同じだからです。

確かに、受験する企業数を絞ることで、企業研究や対策の時間が取りやすくなり、志望企業に注力できるメリットはあるかもしれません。しかし、就活生にとってはチャンスを棒に振ることと同じだと考えています。

100社でも200社でもエントリーできる限り、多くの企業に申し込むべきでしょう。できれば、「片っ端からエントリー」をする姿勢が必要です。エントリー期間を過ぎてしまったら、二度とエントリーができないからです。エントリーができないということは、発車してしまった電車に飛び乗ることができないことと同じです。

志望したい企業には必ず、エントリーをしなくてはいけません。たくさんエントリーしても受験できないという学生もいると思います。無論、全部受ける必要はありません。

企業はエントリー数に応じて会社説明会の準備をしますから、数日前にキャンセルをすれば、まったく問題はありません。キャンセルに関する詳細な理由を説明する必要もありません。聞かれたら、一身上の都合と答えておきましょう。

エントリーシートはコピペで十分

就活の初期段階でエントリーシートが読まれることは、まずありません。せいぜい、個人面接に移行してからです。エントリーシートがどんなに素晴らしくても、内定に及ぼす影響度は微々たるものです。少なくとも、エントリーシートが素晴らしくて内定獲得ができた人を知りません。であるならば、時間をかけるのはムダということです。

効率性を重視して、業界別に数パターンのエントリーシートを準備しておきましょう。また、熟考して、丁寧に書く必要もありません。むしろ、平易な目立たないものが好まれると思います。平易で目立たないことは日本において美徳とされるからです。

エントリーシートのようなものに時間をかけるから、お祈りメールが来たときにショックを受けるのです。エントリーをするために最低限の体裁を整えておけば問題はないと申し上げておきます。

以前、エントリーシートは「手書きがいいか、パソコンで作成したものがいいか」が議論になりましたが、必ず、パソコンで作成しましょう。手書きだと丁寧に見えますが、単にそれだけのことです。手書きにしたことが理由で内定を獲得した人を知りません。手書きにすることのメリットは「ない」と申し上げておきます。

筆者が最もムダだと考えているもの。それがエントリーシートです。正しく運用されていない状況では、学生に無理強いをしているだけです。だって、読まれませんから。

エントリーシートのウソ

人気企業でなくても上場企業であれば、相当数のエントリーが殺到します。しかし、採用担当者は数名が一般的です。仮に2名として、1万人のエントリーシートを読むのにどの程度の時間がかかるのでしょうか。

1枚1分としたところで、採点をしなくてはいけませんから、1時間でこなせるのは30枚程度のものです。1日の実働8時間と考えて、240枚。1万人のエントリーシートを採点するには41.6日かかる計算になります。1カ月の稼動を20日とするなら、ざっと2カ月はかかります。2名でこなしたとしても1カ月はかかります。

他の業務を一切せずにエントリーシートの採点のみに費やすだけで、その程度の時間がかかるということです。そんな非効率な業務をさせるわけがありません。

結局、全てのエントリーシートを読むことは非効率ですから、スクリーニングの必要性に迫られます。学校名や写真映りなどによるスクリーニングです。エントリーシートに時間をかけることは極めて非効率であることが分かると思います。

自己分析も時間のムダ

大学の就職部では、講師として招いて、学生向けの自己分析講座を開設しています。自己分析とは、過去の経験や出来事から価値観などを整理し、志向タイプをはっきりさせて、自分の強みや弱みを明確にしながら、自分自身の軸や志向を発見するものです。

学生にとって、自己分析は新鮮に映ります。しかし、学生が自己分析に力を注いでも意味がありません。それどころか、「自己分析で見つけた強み」という思い込みは誇大妄想になりかねません。誰もが実績として認めて数値化できるようなものでない限り、他者と一線を画するほどのオリジナリティーにあふれていることは、まずないからです。

自己分析の最大の問題点は自分を一つの型にはめてしまうことにあります。例えば、事業で成功して、社会的地位のある人でも、自己分析ができていない人はいます。自分の軸がない人もいます。それ自体は悪いことではありません。

軸を持たずに自分のやりたいことや思考を目まぐるしく変化させるのは、環境に合わせられる柔軟な思考力を持っているということです。就活の限られた大事な時間を自己分析に費やすよりも、他にやるべき大切なことに費やす方が賢明だということです。

就活がお見合い?とんでもない

就活は学生と企業が出会う素晴らしい機会、「お見合い」だと主張する識者がいます。相手を選ぶという意味では同じ意味ですが、まったくフェアなお見合いではありません。

企業にとって、新卒社員を1名入社させることは大きな先行投資になります。投資という多額の出費がかかることに加えて、費用対効果を考えますから、投資効果が見えやすいものを重視せざるをえなくなります。投資効果が見えやすいものが大学名です。

今の時代はSNSの普及により、ネガティブな情報を隠す方が難しくなっています。「厳選採用を演じる企業」と「就活を演じる学生」の矛盾は双方にとって、機会損失をもたらすことになります。見直した方が双方にとって好ましいはずですが、「学歴フィルター」はなくなりません。「新卒採用」もなくならないでしょう。

以前、学歴不問を打ち出すオープンエントリーがはやりました。ところが、大学名を書かなくても、9割方は大学名を特定することが可能でした。実際にそれらの業務を受託していた企業も存在しました。つまり、会社説明会を訪問した時点で、大学名はほぼ特定されていたのです。

経団連が「新卒一括採用」の見直しを公表していますが、無視したところで罰則はありません。だから、毎年、青田買いが行われます。内々定は解禁前に出されています。何らかの罰則や規制をかけないことには、変わるとは到底考えられないのです。

コラムニスト、著述家 尾藤克之

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