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“わたしの好き”の集合体。SNS世代こそハマる、天狼院書店の「雑誌をつくるゼミ」

  • 2021.12.23

あまり意識はしていないかもしれないが、InstagramやTwitterなどを通じて“わたしの好き”を発信している人は多い。自分の過去の投稿を振り返ってタイムラインを見てみると、そこは“わたしの好き”のアーカイブになっていることだろう。好きなことをまとめる行為をSNSではなく、紙に変えてみよう。自分の好きが詰まったオリジナルの紙……言わずもがな、出来上がるのはオリジナルの「雑誌」だ。

SNSは 編集者が行う“編集作業”と同じこと

InstagramやTwitter、TikTokなどのSNSで、自分の好きなものや日々の出来事をどこかに記録して発信するということは多くの人たちが日々行なっていることである。自分の好きな世界観を考えて、そこに文字や写真、動画を載せていくことは編集の作業に似ている。普段何気なくやっているSNSの投稿の元祖といえるのが雑誌だ。“雑誌を編集する”ことは、シンプルにいうなら、さまざまな情報を集めて取捨選択しまとめるということ。それが、WEBに移行しただけでやっていることはあまり変わらない。SNSがこんなに広がっていることを考えると、みんな「何かを集めてまとめる」ということが好きなのではないだろうか。

SNSを使った“編集”も楽しいが、なんといっても雑誌は形に残るという点に魅力がある。SNSのようにパスワードを忘れてログインできないこともないし、デジタルタトゥーとして公に残ることもない。また、さまざまな雑誌があるなかで、自分の好きなことだけを集約した読みものは存在しないが、アウトプットを蓄積することで密度の濃い1冊を完成することもできる。

雑誌をつくるゼミで自分が喜ぶ雑誌を作ろう

「天狼院書店」が企画し、定期的に行われている「雑誌をつくるゼミ」。いわゆる複数回連続で行われるワークショップだ。このゼミでは職業として雑誌の編集者が行なっているすべての工程を疑似体験できる。SNSのアウトプットだとフォーマットが決まっているが、雑誌は全体の構成やレイアウトなどもう少し融通が効き、この表現方法を模索するのも醍醐味だ。自分がテーマに掲げたことをどのように誌面で表現すると相手に伝わるか考えるだけでも楽しい。

運営を行う山本さんによると、参加者は昔雑誌を読んでいた経験からか、潜在意識のなかで雑誌に憧れを抱いていた20代、30代がほとんど。編集者になりたい、出版社に就職したいということではなく、好きなものを突き詰めたいという目的を持った方が多いそうだ。

雑誌ゼミの講師を務めるのは、『プチセブン』や『ニコラ』『SEDA』をはじめ、複数の雑誌の立ち上げに携わった経験を持つ編集者の岩見奈津代さん。まさにアーティストやクリエイターの方を講師に迎えて、オリジナリティのある作品をつくるワークショップといえよう。全8回の4ヶ月に渡る講義のなかで、企画立案から印刷を含めて雑誌を形にするところまで、プロの編集者が行うプロセスを体験できる。

自問自答を繰り返すことで自分が分かる

そもそも編集の根幹にあるのは、自分自身と向き合うことでもある。テーマに対して「なぜそうなのか?」が発生し、その答えを知りたくて自問自答を繰り返しながら完成形へと近づけていく。この雑誌をつくるゼミでもまさにその編集の頭の使い方を体験でき、「なぜ自分はそうしたいのか」や「人に伝えるにはどうしたらいいのか」など、常に考えをめぐらせることになる。一つひとつのプロセスと徹底的に向き合うことで、自分自身の考え方を理解し、そのことについての興味がより深くなる。自分を理解するためのアウトプットとしてある種の思考整理になるだろう。

雑誌をつくるゼミでは毎回宿題で出されたものに対して、参加者同士でフィードバックしたり、先生にアドバイスをもらえたりすることができる。他者がいることで、また新たな気づきや選択肢を知るのだ。これはワークショップやゼミの形式であるからこそといえる。

たとえば、上の写真に書かれているのが一般的な雑誌制作のうえで重要な要素だ。何気なく雑誌をみている人なら、薄々気づいているかもしれないが、巻頭や連載企画など一冊を通してそれぞれに役割がある。読者に最後まで飽きずに読んでもらうために、企画や見せ方にメリハリをつけながら1冊を構成している。

自分の言葉で他者へ説明をし、また、他者から質問をされることで、より中身の濃度も濃くなっていくだろう。つまり、クリエイティブなアプトプットの幅が広がっていく。そんな体験を職業としてではなく、あくまで「ワークショップへの参加」として行うと自分も気づくことができなかったことに意識を向けるきっかけになるはずだ。何より自分の好きがまとまった1冊には何度見てもワクワクさせられる。

そのほかにも天狼院書店には、ZINE講座やデザインゼミなど自分の中のクリエイティビティを掻き立てる面白いワークショップがいくつもあるので少しでも興味があるものに参加しよう。ただ「何かをつくる」という事以上の価値がそこにはある。

取材協力:天狼院書店
https://tenro-in.com
https://tenro-in.com/zemi/206334/

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