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古閑美保コラム「クリスマスも正月も関係ない“1番”になる人のオフの過ごし方」

  • 2021.12.23
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こんにちは、古閑美保です。年末年始はクリスマスや正月とイベントが目白押しです。国内で戦うプロゴルファーの12月といえば、オフです。国内女子ツアーは開幕の3月から11月までの連戦が終わり一息つく時期であり、イベントやメディア出演をしたり、スポンサーさんへの挨拶も行います。選手の中には、一番忙しい時期という声も聞こえるぐらいです。でもですね、私が現役の時はオフが一番きつい時期でした。

オフは“試合がないシーズン”で練習三昧

世間の方から見ると、私はすごくテレビに出ているイメージがあるようですが、実は現役時代はほとんど出ていないんです。テレビなどに出ていたのは、賞金女王を獲った2008年のオフぐらい。メディア出演やCM出演とかのオファーはたくさんありましたが、全部断わっていました。12月は自分が契約しているスポンサーさんへの挨拶やイベントに参加するぐらいで、あとはゴルフのことを考えていました。それは私が師事していた清元登子先生の方針でもありましたし、私自身も、トレーニングやゴルフをやっていないと感覚がなくなってしまうと思い込んでいたので、何もやらないことへの不安がありました。

2000年代前半、先生の門下生は不動裕理さん、大山志保さんの3人です。毎年1月2日から地元・熊本でボールを打ち始めます。先生は「寒いところで獲れた魚しかおいしくない」という考えで、暖かいところでの練習は否定派でした。極寒の熊本でも全力です。その時に体が動いていなかったら、めちゃくちゃ怒られます。12月にどう過ごしてきたかがバレるんですよね。不動さんは、打ち始めからバンバン振れていて、「もうシーズン入れます」という感じで仕上げていました。1月2日に向けて準備をしないといけないので、クリスマスや正月とか関係ないのです。

2006年頃から海外で合宿するようになりましたが、基本的に私とマネジャー、トレーナーの3人だけで行きます。そしてガッツリ練習です。先生の頃からそうでしたが、オフの合宿は朝から晩までボールを打ってトレーニングをしたり、吐くほどやっていました。3月の開幕に向けての2カ月は、本当にしんどい時間でしたね。トーナメントをやっている時期の方が楽と思える練習内容なので、シーズン中はまったく疲れません。メンタル的には疲れますが、体力的には何の問題もなく1年間戦えていました。オフといっても、休みではないんです。“試合がないシーズン”ととらえていました。

12月24日は、今では特別な日になりました。

先生の教えの結果、私は賞金女王を獲れましたし、ほぼ毎年賞金ランキング10位以内の成績を残せました。不動さんは通算50勝を挙げて、2000年から6年連続賞金女王という偉業を遂げています。大山さんも通算18勝を挙げて2006年に賞金女王を獲り、今もシード選手として活躍しています。門下生が3人も女王を獲るなんて、本当にすごい先生ですよね。

今年賞金女王になった稲見(萌寧)は、最終戦が終わった時に「明日から練習します」というコメントをしている記事を見ました。イボミちゃんが年間7勝を挙げて2億円以上稼いで賞金女王を獲ったときは、食事と寝る時以外は、ゴルフのことを考えて練習していたと聞きます。鈴木愛は寝る間を惜しんでパッティングの練習をしていたといいますし、ジャンボ尾崎さんは、練習のしすぎで寝て起きたら手がグリップの形をしていたという逸話もあります。みんなが寝ているときもやっているし、みんながやっているときもやっているから“1番”になれるのです。特に日本の女子では、年間通してゴルフのことを考えている人間が結果を出せると思います。

ただ、最近は考え方が少し変わりました。オフに遊ぶ時間を作って“抜く時間”がないとケガしやすくなったり、心が持たなくなって短命な選手が増えてしまうのかなと。ゴルフから離れて上手にリフレッシュする時間を作れる人の方が、一つの人生として楽しめるかなとも思います。人それぞれ目標が違いますからね。

ゴルフを中心とした現役生活が長かったので、いまだにクリスマスも正月も特別な感情はありません。ただ、12月24日に披露宴をやったので、披露宴記念日がクリスマスイブです。そういう意味で今では特別な日になりました。

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こが・みほ/1982年7月30日生まれ、熊本県出身。身長167センチ、2001年プロ転向。03年にヨネックスレディスでツアー初優勝を遂げるなど、年間2勝を挙げて賞金ランキング3位。08年には年間4勝を挙げて、賞金女王戴冠。29歳になった11年、シード権保持していたがツアー引退。ツアー通算12勝。21年からGMOインターネットグループのアンバサダーに就任

取材・文/小高拓

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