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青紅葉を閉じ込めた「氷柱」。

  • 2021.12.23
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出典 andpremium.jp

四季折々に迎える歳時記を、京都の花屋『みたて』が植物を通して表現。一つの作品を通して、京都ならではの生活が見えてきます。

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青紅葉を閉じ込めた「氷柱」。

東福寺、高山寺、三千院、圓光寺、蓮華寺。紅葉の名所として知られる寺はまた、新緑を愛でたい場所でもある。境内を緑に染める青紅葉。瑞々しさ溢れるその姿は、不思議なほど心弾ませてくれる存在。5月からは貴船や高雄の川床(かわどこ)も始まった。せせらぎと青紅葉に囲まれ、木漏れ日の中で過ごす心地よさは何ものにも代え難いひととき。新緑の初夏は京都が美しく輝く季節のひとつだ。
『みたて』初夏のあしらいは、青紅葉をガラスの器に閉じ込め涼しげな氷柱に見立てたもの。丸いガラスはかつて金魚すくいで金魚を持ち帰るために使われたか、金魚を飾ったと思われる器。口いっぱいまで水と氷を満たすことで、丸い氷のように仕立てた。水の中をスイスイと泳ぐ金魚のように浮かぶのは唐辛子。水揚げのよくない紅葉は切り口を割って唐辛子を挟み、刺激を与えて水を吸わせることもある。あえて唐辛子を見せ、コントラストの美しさを演出した。
川床を切り取ったような青紅葉と水の組み合わせ。周りに浮かび出た水滴が、涼やかさを際立たせる。京都の避暑地を映したように、小さなガラスの中に世界が広がる氷柱。心動かされて川床へと足を運ぶのも、部屋の中で想いを馳せつつ眺めるのもまた楽しい作品だ。

photo : Kunihiro Fukumori edit & text : Mako Yamato
*『アンドプレミアム』2017年7月号より。

Vol.25

花屋 みたて

和花と花器を扱い、四季の切り取り方を提案する京都・紫竹の花屋。西山隼人・美華夫妻がすべてを分担し営む。

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