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お正月を彩る「門松」その意味や由来、正しい飾り方とは “竹3本”の理由は?

  • 2021.12.22
門松は何のために飾るもの?
門松は何のために飾るもの?

間もなく迎える2022年の正月。日本の正月は玄関先にさまざまな飾りを施しますが、中でも、ひときわ華やかなのが「門松」です。門松を見ると正月の到来を感じられる一方で「そもそも、なぜ飾るの?」「竹が3本なのはどうして?」「喪中だけど、飾ってもいいのかな」など、門松に関する疑問を持つ人もいるようです。

門松の意味や由来、正式な飾り方について、日本礼法家元で令和椿和文化協会会長の椿武愛子(つばき・むつこ)さんに聞きました。

「年神様」への目印として

Q.そもそも、門松にはどんな意味や由来があるのですか。

椿さん「門松は年神様(としがみさま)が迷わずに家へ来ていただくための目印となるものです。平安時代、1年で最初の『子(ね)』の日である『初子(はつね)』に外出して、うたげをする際、松の小さな木を根から引き抜いて持ち帰り、玄関に植えたのが由来とされています。

現在の門松は主に松と竹、そして、梅からできています。松は『神様が宿る木』であると考えられていること、竹は長寿を願うものとして縁起がよいこと、梅は春に先駆けて、『初めに咲く花』であり、紅白でおめでたい意味があることから、年神様を迎えるのにふさわしいとされているためです」

Q.門松に使われる竹はなぜ「3本」なのですか。

椿さん「日本では陰陽道(おんみょうどう)の考え方から、奇数は縁起のよいものとされてきました。門松の竹の『3本』は2で割り切れない縁起のよい数であることに加え、3本それぞれの長さの比率は7:5:3で、同じく、2では割り切れない縁起物の比率になっています。

また、門松の裾の『荒縄』を巻く回数も下が7回、中が5回、上が3回と決まっています。最も長い竹と7回巻いた荒縄は『男性』、最も短い竹と3回巻いた荒縄は『女性』、そして、中間の長さの竹と5回巻いた荒縄は『男女の仲を取り持つ』という意味を表しています。つまり、円満の意味を込めて、3本の竹を飾るようになったのです。

なお、3本の竹の切り口には『斜めに切ったもの』と『水平に切った筒状のもの』とがあります。諸説ありますが、竹を斜めに切った門松には『お金がたくさん入ってくるように』との意味合いが込められており、商売繁盛を願う商店や企業(のビル)で多くみられます。一方、水平に切った筒状の竹を使った門松は『お金が出ていかないように』との意味合いがあり、銀行や証券会社などで飾られることが多いです」

Q.門松の正式な飾り方とは。

椿さん「門松は玄関の門の前に飾るのが正式です。外からの邪気や魔を防ぎ、年神様が降りてくるにふさわしい家の状態をつくるためなので、外と内を隔てる境界の部分に飾りましょう。方角に決まりはなく、家の外に向けて正面に飾ります。最近では、小さいサイズの門松を玄関内に飾るケースもあるようですが、家の中ではなく、外に飾るのが基本です。

飾る時期は『正月事始め』の12月13日から12月28日までの間に飾るのが好ましいです。12月29日は『二重苦』と読めるため、また、31日は年神様を迎えるにあたり、一夜だけ飾る『一夜飾り』となって、葬式を連想させるため、さらに30日は旧暦の大みそかで、やはり、『一夜飾り』となるため、いずれも好ましくありません」

Q.喪中の場合でも、門松を飾ってよいのでしょうか。

椿さん「飾るのを控えた方がよいです。しめ縄や門松、鏡餅といった正月飾りは神道の習慣であり、神道の忌明けとなる『五十日祭』以降は飾っても問題ないという意見もありますが、一方で『喪中の1年は喪に服すべき』と考える人も多いです。そのため、家の外には正月飾りを飾らない方がよいといわれています」

Q.飾り終えた門松はどうすればよいですか。

椿さん「しめ縄飾りなども含めた正月飾りは、年神様が家におられる『松の内』を過ぎる1月8日から15日の間に片付けるとよいとされています。年神様は神社の境内で正月飾りを火にくべて、焼き払う行事『どんど焼き』(『どんと焼き』などとも)の火祭りの煙に乗って、天に帰るとされているので、飾り終えた門松はどんど焼きへ持っていき、おたき上げをしてもらいましょう。

なお、正月飾りにはさまざまな素材で作られた装飾がついています。昨今はSDGsの観点もあり、どんど焼きに持っていく際には、あらかじめ分別をしておくとよいでしょう」

Q.門松における、地域性の違いはありますか。

椿さん「関東での基本の形は短めに切った松を3本の竹の足元に生け込み、こもで包む形です。関西では、長めの松を3本の竹の足元に生け込み、ササや葉ボタンなどを配して足元を竹でまきます」

オトナンサー編集部

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