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映画『タンポポ』:やさしい気持ちになれる、心がふっと温かくなる珠玉の名作選Vol.27

  • 2021.12.19
映画『タンポポ』

愛する人のためにご飯を作り愛する人のためにご飯を食べる

映画『タンポポ』
©伊丹プロダクション

タンクローリー運転手のゴロー(山崎努)がタンポポ(宮本信子)にラーメン作りの極意を教え名店を目指す。カウボーイハットのゴローは流れ者のガンマンのようで惚れ惚れするが、本筋とは別に挿入される食に関するサブストーリーも珠玉。

食道楽のヤクザ、食事のときは音を立てるなと教えるマナー講座の先生、どれも面白いが、一番の衝撃は死ぬ間際に炒飯を作って家族に食べさせるお母さんの話。子供の時分は爆笑したが、いま観ると切ない。いつどんなときも子が何歳になろうが「ご飯を食べてるか」と気にするのが母なのだ。

文・辛島いづみ

Information

『タンポポ』

1985年公開、伊丹十三監督作品。日本のラーメンブームに拍車をかけアメリカでも大ヒットを記録。伊丹監督は本作を「ラーメンウェスタン」と呼んでいた。東宝/¥5,170(BD)

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