1. トップ
  2. ライフスタイル
  3. 冬を彩る「イルミネーション」、その起源や目的は?おすすめスポットも紹介

冬を彩る「イルミネーション」、その起源や目的は?おすすめスポットも紹介

  • 2021.12.19
  • 566 views
イルミネーションの起源は?(2021年11月、時事)
イルミネーションの起源は?(2021年11月、時事)

東京・表参道や丸の内、札幌・大通公園、福岡市・博多駅地区など、色鮮やかなイルミネーションが冬の街を彩っています。今ではすっかり、クリスマスシーズンを中心とした冬の風物詩として定着したイルミネーションですが、いつ、どこで始まったのでしょうか。イルミネーションにまつわるさまざまな疑問やおすすめスポットを含めて、夜景評論家でイルミネーションプロデューサーの丸々もとおさんに聞きました。

「ルターが始めた」説も

Q.イルミネーションはいつごろ、どこで始まったのでしょうか。

丸々さん「イルミネーションの起源は諸説ありますが、有力な説の一つとして、宗教改革で有名なドイツのマルティン・ルターによるというものがあります。16世紀、ルターはクリスマスイブの礼拝帰りに森の中で見た満天の星に感動し、その情景を再現すべく、木の枝に多くのろうそくを飾りつけました。彼はその光景を絵画にしており、それによって広く普及したそうです。

イルミネーションが発展した大きなきっかけが、1880年にアメリカの発明王エジソンが白熱電球を発明したことです。1882年、エジソンは本格的な電灯照明事業に進出。製品の宣伝目的で、マンハッタンの900棟のビルを1万4000個の電球で装飾し、当時の人々を驚かせました。これが世界初の電球によるイルミネーションとされています。

それ以後、クリスマスツリー用の電球として1890年に大量生産が始まり、一般市民へと普及するようになりました。なお、1889年の第4回パリ万博では、史上初の夜間開場が実現。エッフェル塔が3色のアーク灯でライトアップされ、エジソンが発明した白熱電灯が会場を照らし出し、見事な夜景を演出しました」

Q.日本で始まったのは、いつごろでしょうか。

丸々さん「1900(明治33)年、神戸沖の観艦式で夜に各艦船が発光し、海面を照らしたことが始まりとされます(石井研堂『明治事物起原』より)。また、日本に初めて、電球イルミネーションが登場したのが、1903年、大阪で開催された第5回内国勧業博覧会です。夜間開場時に約6700灯のイルミネーションが取り付けられ、ライトアップされた5色の大噴水とともに人気を博しました。

翌1904年、横浜で『明治屋』を創業した磯野計が『銀座明治屋』で、12月15日から毎夜、イルミネーションを点灯。それが一躍話題になり、一般に普及したとされています。なお、1907年の東京勧業博覧会では、約3万5000灯の電球イルミネーションがともされた様子が夏目漱石の小説『虞美人草』(ぐびじんそう)で言及されています」

Q.冬場のイルミネーションは一般的に、どのような目的で実施しているのでしょうか。

丸々さん「まず、寒く厳しい冬季の夜を明るく彩るため。そして、クリスマスイルミネーションとして、また、年末商戦の経済効果を最大化するために華やかと高揚感を創出していることが考えられます。電球によるイルミネーションは時代の経過とともに、一般家庭の装飾レベルから、イルミネーションイベントへと広がり、冬の風物詩として定着しました。

1981年には観光集客を目的として、ヨーロッパのイルミネーションをヒントに、約1000個の電球を札幌・大通公園で飾り付けた『さっぽろホワイトイルミネーション』が誕生。日本における都市系イルミネーションイベントのひな型になりました」

Q.規模によって違うと思いますが、電気代は月いくらくらいかかるものなのでしょうか。

丸々さん「数万〜十数万円まで幅広いです。かつてはもっとかかっていましたが、1993年に開発された青色発光ダイオード(青色LED)が普及し、白熱電球当時と比較して10分の1程度になっています」

Q.費用は誰が負担しているのでしょうか。

丸々さん「イルミネーションの設置や商材購入にかかる費用、電気代などは一般的には、主催する商業施設やテーマパークが負担します。繁華街一帯のイルミネーションでは、商店街組合や地方自治体が負担していることもあります」

Q.雨や雪でも大丈夫な理由を教えてください。

丸々さん「照明に防水加工をしているためです。ただし、100パーセントの防水ではありませんので、大雨や降雪のレベルによっては損耗します。標準的に年間10〜15%は損耗するため、翌年はその分を買い足す必要があります」

Q.イルミネーションは街路樹や建物を彩っていることが多いですが、樹木や建物への影響はないのでしょうか。

丸々さん「LEDはほとんど、熱を発しない性質のため、白熱電球のように樹木が焼けるような影響を及ぼすことは少ないです。LEDは省電力や環境保護などの視点からもメリットが多く、低価格で手に入るようになった2000年以降、急速に拡大しました。開発から、わずか20年ほどの間に全国のイルミネーションがLEDへと変わりました。

ちなみに、冒頭で紹介したルターの時代には、消火用の水を用意しながらも、樹木に火が移って、火災が多かったことで問題にもなっていたようです」

Q.おすすめのイルミネーションを幾つか教えてください。

丸々さん「『日本三大イルミネーション』とされるのが、さっぽろホワイトイルミネーション(札幌市)、あしかがフラワーパーク(栃木県足利市)、ハウステンボス『光の王国』(長崎県佐世保市)です。関東地区では、相模湖イルミリオン(相模原市)、『湘南の宝石』(神奈川県藤沢市)、横浜港大桟橋フォトジェニックイルミネーション(横浜市)も有名です。

そのほか、伊豆ぐらんぱる公園 グランイルミ(静岡県伊東市)、レオマワールド(香川県丸亀市)、小倉イルミネーション(北九州市)、東南植物楽園(沖縄県沖縄市)などもおすすめです」

オトナンサー編集部

元記事で読む
の記事をもっとみる